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ヘルスケア 2021-02-06

【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.22】『くにしま鍼灸整体院』國嶋 徹さんが鍼灸師を目指したきっかけ

「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』の企画。

今回は、外苑前にある有名鍼灸院から独立し、鍼灸整体院を経営する傍ら、病院での施術も行っているという「くにしま鍼灸整体院」の鍼灸師・國嶋 徹さんにインタビュー。会社員から鍼灸師を目指した経緯や、これまでの道のりについて教えていただきます。

教えてくれたのは…

鍼灸師 國嶋 徹さん

慶応大学卒業後、都市銀行にて2年間勤務。その後スポーツトレーナーを目指し鍼灸学校に入学。港区の有名鍼灸院に弟子入りし、16年間勤務。その後、独立して「くにしま鍼灸整体院」を開く。ダンサーや音楽演奏家、歌手、スポーツ選手など幅広く施術している。

「何かに熱くなりたい」と思い、銀行員から鍼灸師へ

―まず、國嶋さんが鍼灸師を目指したきっかけを教えてください。

東京の大学を卒業後、銀行に就職して地方で暮らしていたんです。学生時代と違って熱くなれないというか、今思うとギラギラした生活ができないことに腐っていたんですよね。大学ではアイスホッケーをしていたんですが、そのころにスポーツで味わっていたような「熱くなれる瞬間」をもう一度感じたいと思って、スポーツトレーナーを目指すことにしたんです。

それで、銀行の先輩の知り合いにトレーナーさんがいたので、何をしたらいいのか聞いてみたら、「まずは鍼灸師の資格を取るといい」と言われました。そこで、僕が学生時代に怪我をしたときにお世話になった鍼灸師の先生に、お話を聞きに行ったんです。後に僕の師匠になる方なんですが、鍼灸の資格を取るならと、いろいろアドバイスをしていただけて…。それで、銀行を辞めて、鍼灸学校に行く覚悟ができました。

―なぜトレーナーではなく鍼灸師に?

鍼灸学校に通っているときから鍼灸院でも働かせてもらって、いろんな患者さんを診るなかで、鍼灸師に魅力を感じるようになりました。僕のイメージですが、トレーナーの仕事って、健康な人を向上させる、ゼロからプラスにしていく感じで、鍼灸師の仕事は痛みのあるマイナスからゼロに持っていく感じなんです。どちらも体験してみて、僕はマイナスからゼロにする方がおもしろかったんですよね。痛い、つらい、というところから、普通の生活ができるようにアプローチして結果を出すことに、充実感を感じられたんです。

―それから、鍼灸師として16年勤められたんですね。そちらでは、どんなことを学ばれましたか?

技術面から、メンタル面、患者さんとの接し方など、本当にいろんなことを学びました。何も知らないところからだったので、それこそ「東洋医学とは」「人とは何ぞや」みたいな哲学的なことも学びましたね。東洋医学は儒学にもルーツを持つので、易経とか陰陽五行論とかマニアックな話になるんですが(笑)。それを知ったおかげで、鍼灸の様々な書物が読めるようになったり。

あとは、師匠の口癖で「見えるものが見えていないのに、見えないものが見えるはずがない」というのがあるんです。鍼灸は体の外側から、内側のことを見る仕事だからこそ、見えているゴミを拾えないのに体の中が見えるはずないと。そういう心構えみたいなものも学びました。

巨大な鍼灸院で、いろいろなニーズの方々が来院されて、スタッフも10人以上いて…それを常に先頭で引っ張っていく。鍼灸師として目指す鏡がそこにいたというのは、本当にラッキーでした。

勤続16年からの独立。巨大な師匠の元を離れて

―独立の経緯を教えてください。

いつかは独立しようと思っていたんですが、15年目くらいで自分にも自信がついて、そろそろかなと。あとは結婚や出産など、家庭の諸事情もあって。

16年働いていると、どんどん後輩が独立していきますし、年をとるほど勇気がなくなってしまうんですよね。失敗するかもしれないという不安が大きくなるというか。何かきっかけがないと動けなかったんです。

実際、独立するとなったら師匠も寛大で、思い切って頑張れと背中を押して下さいました。

―現在、独立されて8年目、どんな働き方をされていますか?

基本的には、鍼灸院で10時~20時半まで施術をしていますが、週に1回は大学病院で外来を担当させてもらっています。大学病院で勤務し始めたのは、独立して4年目くらいからです。独立前にも、師匠の後任として別の病院で働いていました。そのときの同僚の方に声をかけていただいて。鍼灸院だけでの施術に、ちょっと閉塞感を感じていた時期だったので、新しいことがしたいなと思って始めました。大学病院に行く日は、午前中に病院へ行き、午後は鍼灸院に戻って施術、夕方から病院のカンファレンスに参加します。

施術は、1時間~1時間半くらいが多いです。新型コロナウイルス流行前は1日平均15人くらいでしたが、今は平日の来院が少し減って、10人くらいの施術をしています。

「痛みを感じている人を、普通の生活ができるようにする」という鍼灸師の仕事に魅力を感じ、鍼灸師としての道を歩み始めたという國嶋さん。次回は、お仕事を続けていく中で感じた新たな魅力と苦労について語っていただきます。

▽#2はこちら▽
【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.22】『くにしま鍼灸整体院』國嶋 徹さんが語る鍼灸師の魅力>>

取材・文/山本二季
撮影/片岡 祥

Information

くにしま鍼灸整体院

住所:東京都渋谷区広尾1-6-8 第2三輪ビル302号
TEL:03-6277-0289

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