【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.24】東京メディカルアロマスクール 堀 有紀恵さん流 セラピストの手技・技術
ヘルスケア業界のさまざまな職種にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』の企画。
これまで、東京メディカルアロマスクール ホリスキュアで、セラピストとして施術、講義を行っている堀 有紀恵さんに、ヘルスケア業界を目指したきっかけやお仕事の魅力について伺ってきました。今回は、堀さんが行っている「経絡アロマトリートメント」の施術について、その流れや手技のポイントを教えていただきます。
強みは、精油の薬理作用と、東洋医学の体質診断の相乗効果
―堀さんが行っている「経絡アロマトリートメント」について教えてください。
「経絡アロマトリートメント」は、メディカルアロマと東洋医学を融合させたものです。鍼灸で問診の際に用いる五行説から体質を診断して、メディカルアロマの知識から精油をチョイスし、トリートメントを行います。
メディカルアロマは、フランスやベルギーなどの医療現場で実際に扱われているアロマテラピー。アロマと聞くと、リラクゼーションで少し信ぴょう性が薄いイメージかもしれませんが、メディカルアロマは臨床データが元になっているので、信頼性の高いものです。各精油は、含まれる成分の薬理作用ごとに、グループ分けされています。同グループ内から好みの香りのものをチョイスすることで、より効果的なブレンドが作れます。
メディカルアロマの場合は、薬理作用から精油を選んでいくんですが、そこに東洋医学の体質的な背景を取り入れると、もっともっと効果的に精油が使えるんです。
例えば、五行の「木」は「肝」といって、肝臓や筋肉と関係があるんですが、筋肉に効果がある精油には、肝臓にもいいものが多かったりします。そんな感じで、東洋医学的な体質診断と、メディカルアロマの薬理作用が、ばっちりと一致するんです。
―おもしろいですね! では、カウンセリングがとても大切になりそうですね。何かポイントはありますか?
五行による体質診断で、ある程度その方の状態っていうのはわかるんですが、求めている香りによっても想像がついてきたりするんです。香りって、本能的な部分にも関わってくるんですよね。例えば、お腹が空いているときは焼き肉の香りに惹かれるけど、満腹だと何も感じなかったり。
なので、いつもは気にならない香りが、その日は「いい香りだな」と感じたり、気になったりする時は、本能的に必要としている香りなのかもしれない。そのあたりから想像して、少し掘り下げてあげると、ご本人も気づいていなかった悩みや症状が見つかったりするんです。そんな感じで、いろんなアプローチで症状を判断していくことが大切かなと思います。
―施術にも、東洋医学的なアプローチを組み合わされているんですか?
そうですね。いわゆるアロマトリートメントですと、なでるような優しいタッチで行われると思いますが、「経絡アロマトリートメント」では、経絡やツボに働きかけるように施術を行います。また、お客様の状態によっては、鍼を組み合わせることもあります。
お客様の状態、気分に合わせてオーダーメイドで施術
―「経絡アロマトリートメント」の施術の流れを教えてください。
最初に、問診票にご記入いただき、五行を用いた体質診断を行います。それを元に、その日のお客様の状態を伺いながら、身体と心に合った精油を選んでいきます。
1.体質診断を元にアロマ精油を選ぶ
体質診断で該当した薬理作用に分類される精油をいくつかピックアップし、香りを嗅いでいただいて2~3種類の精油をチョイスします。気になるもの、心地よく感じる香りを選ぶことで、精神面にもいい効果が期待できるようになります。
選んだ精油をブレンドし、トリートメント用のオイルを作ります。ベースとなるホホバオイル20mLに、精油を8滴の割合でブレンド。肌がセンシティブな時は、精油を少し薄めに。再度、香りをチェックしていただき、問題なければ施術に入ります。
施術に入る前に、お着替えをしていただき、足浴をして身体を温めます。身体が温まることで、全身の筋肉もゆるみやすくなるので、施術の効果が高まります。
2.アロマオイルを塗ってトリートメント
施術は、お客様の症状に合わせて、オーダーメイドで行っています。コースに寄りますが、基本的には全身をトリートメントし、つらい症状があるところを中心にアプローチしていきます。触れていく部位は、経絡、リンパ、解剖学を元にしています。
ポイントは、手の使い方です。まずは、自分の手を温かくすること。手が冷たいと、それだけでお客様の身体が緊張してしまいます。次に、体に触れる時は、なるべく手を密着させること。自分自身が緊張していると、手が硬くなり密着できなくなるので、肩や手の力を抜いて、ピターッと吸い付くようにトリートメントします。
慣れてくると、手からいろいろな情報を得られるようになります。奥の方が硬いなとか、ぐにゅぐにゅして変な感じだなとか。それに対して、アプローチしていきます。経絡やリンパを元にしているので、症状がある部位だけでなく、つながりのある部位のトリートメントも行います。例えば首や肩が凝っている場合、つながりのある腕にも触れていきます。そこをほぐすことで、より効果が高まります。
通常のアロマトリートメントと違うのは、経絡やツボを取り入れているところです。そういった部位を触るときは、しっかりと圧をかけていきます。凝りが深い場合は、トリートメント後に鍼を刺します。
3.クロージング
施術後は、ハーブティを飲んでいただきながら、今日の状態の説明と、ご自宅でのアドバイスをして終了です。
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東洋医学とアロマトリートメントを融合した施術は、温かい手による絶妙な圧と、ツボをおさえたトリートメントで、ゆっくりと体がほぐれていくのを体感できました。好みの香りに包まれながらのトリートメントは、リラクゼーション効果も抜群! おうち生活が増えている今、信頼性の高いメディカルアロマの知識は、セラピストのお仕事をワンランクアップさせてくれそうです。
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【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.24】東京メディカルアロマスクール 堀 有紀恵さんが、この道を目指したきっかけとは>>
取材・文/山本二季
撮影/高嶋佳代
教えてくれたのは…
東京メディカルアロマ ホリスキュア 代表講師/鍼灸・指圧マッサージ師
堀 有紀恵さん
化粧品会社に勤務中、肌荒れに悩んだことから東洋医学に興味を持ち、鍼灸・指圧マッサージ師に転身。自身のアトピーがメディカルアロマで緩和されたことから、メディカルアロマの素晴らしさを伝えたいと思い、2007年に「東京メディカルアロマスクール ホリスキュア」を開校。東洋医学とアロマテラピーを融合させたオリジナルの施術、治療や臨床経験をいかしたレッスンの他、クリニックでのアロマ導入プロデュースなど幅広く活躍中。(無料オンラインサロン 薬に頼らずメディカルアロマでヘルスケア「メディカルアロマレシピマスター」)