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特集・コラム 2021-03-09

訪問介護の身体介護とは? 身体介護のほかにはどんなお仕事をするの?

訪問介護をご存知の方は多いかもしれませんが、具体的にどのような仕事をするのかまで知っているという方は少ないのではないでしょうか。訪問介護という仕事の内容は大きくわけると2種類あり、そのおもな仕事のひとつが入浴や排泄、食事などの介助をおこなう身体介護サービスなのです。

今回は訪問介護の身体介護とはどんな仕事なのか、そして身体介護のほかにはどんな仕事をするのかについてご紹介します。

訪問介護の身体介護とは?

訪問介護でのおもな仕事のひとつが身体介護です。ここでは訪問介護の身体介護とはどのような仕事なのか、そしてどんな介護をおこなうのかを具体的にご紹介します。

訪問介護とは|介護保険制度に基づく指定居宅サービス

介護保険法によると訪問介護とは、「入浴、排せつ、食事などの介護そのほかの日常生活上の世話であって、厚生労働省令で定めるもの」と定義されています。

もう少し具体的にいうと、訪問介護員などが利用者(要介護者)の居宅を訪問し、入浴、排泄、食事などの介護や掃除、洗濯、調理などの家事を提供するということです。入浴や排泄、食事などの介助をおこなうサービスを「身体介護」といい、掃除や洗濯、調理などの家事を提供するサービスを「生活援助」といいます。

身体介護|利用者の身体に直接触れて行われる支援サービス

身体介護とは、利用者(要介護者)の身体に直接触れておこなう支援サービスのことです。では、訪問介護の主要な仕事のひとつである、身体介護の内容について具体的にご紹介します。

入浴・食事・排泄の介助

最初にご紹介するのは、入浴・食事・排泄の介助です。まず、入浴の介助とは、自力で入浴することが困難な要介護者に対して介助をおこなうことで、身体を清潔に保つことだけでなく、精神的・肉体的な苦痛と緊張を緩和させることも目的のひとつとされています。

つぎに食事の介助とは、ひとりでうまく食事することができない方へおこなう介助のことで、その内容は食べ物を口に運ぶという行為だけではありません。食事の前に口腔内の雑菌を洗い流すためうがいをおこなったり、唾液の分泌を促すために口腔体操をおこなったりすることなども含まれます。

そして、排泄の介助とは、ひとりでは排泄の行為や動作が困難になった方などを介助することです。トイレへの誘導や排泄の手助け、オムツ交換などをおこないます。

全身清拭・部分浴や更衣の介助

全身清拭とは、入浴できない要介護者に対してお湯などで全身を拭くことによって身体を清潔に保つ方法です。身体のかゆみなどを取り除くことで、精神的な安定を図るという目的もあります。

部分浴とは、体の一部のみをお湯につける入浴方法です。手浴・足浴・座浴などの種類があり、なかでも足浴は足を清潔にするだけでなく、足先の血行をよくすることでリラックス効果や安眠効果もあるといわれています。

更衣の介助とは、その名のとおり自分ひとりではうまく着替えられない方の着替えを手伝うことです。衣服を着替えることにより皮膚を清潔に保てるため、病気の予防にもつながります。

体位変換・移動や外出の介助

体位変換の介助とは、自力で体の位置や向きを変えられない方のために、こまめに体の位置や向きを換えてあげる介助をおこなうことです。血行障害による感覚麻痺や床ずれなどを予防します。

移動や外出の介助とは、起き上がったり座るといった動作や歩くのが困難という方が移動する際に介助したり、ひとりで外出できない方のために外出の手助けをすることです。車いすを利用したり付き添うことも含まれ、外出することで気分転換になったり、生活に潤いを与えたりすることができます。

服薬介助

服薬介助とは、要介護者の処方されている薬についてどの薬をいつ、どれだけ何回飲むのかなどを把握し、服薬を手助けすることです。高齢になると複数の薬を飲まなければならないことも多く、誤薬を防ぐためにも服薬介助は重要となります。

訪問介護では身体介護のほかにどんなお仕事をするの?

これまでご紹介した身体介護は、訪問介護のおもな仕事となりますが、身体介護のほかにはどのような仕事があるのでしょうか。ここでは身体介護を除いた、訪問介護で必要となる仕事についてご紹介します。

生活援助|調理や洗濯、掃除など家事や買い物代行

身体介護と並んで訪問介護のおもな仕事となるのが生活援助で、生活援助とは調理や洗濯、掃除などの家事や買い物代行などをおこなうことです。調理は食材の買い物から料理の下ごしらえ、味付けや栄養面にも気を配り、料理をして片づけるところまで含みます。

洗濯は洗濯物を洗濯機で洗って干し、乾いた洗濯物をたたんでクローゼットなどにしまうところまでが仕事です。掃除は利用者によって変わってきますが、掃除機をかけたり、雑巾で水拭きしたり、整理整頓なども含まれます。

買い物代行はその名のとおり、ひとりで買い物に行くのが困難な方のために必要な日用品などを利用者に代わって買い物することです。

通院時の乗降介助|通院のサポート

通院時の乗降介助とは、乗降場までの移動や乗降時におこなう介助のことです。通院のサポートでは、病院や診療所に通院する際に付き添うことや通院先での受診手続き、薬の受け取りなどといったサポートをおこないます。

これらの介助やサポートは居宅以外でおこなわれますが、居宅において行われる病院などの目的地に行くための準備を含む一連のサービス行為とみなされるため、訪問介護の通院・外出介助として認められている行為です。

訪問介護ではおこなわないサービスとは?

訪問介護でおこなわないサービスとは、利用者の方と同居している家族のぶんの食事を作るサービスや日用品以外の買い物などのように介護保険の対象外となる外出、医療行為などです。これらのサービスは、おこなわないというよりも、やってはいけないといったほうが正しいでしょう。

たとえばインスリンの注射や点滴などは医療行為にあたるため、医師や看護師でなければできませんし、日用品以外の買い物や外食などで外出することは介護保険の対象外となるため、禁じられています。このように訪問介護ではおこなわないサービスややってはいけないサービスは、このほかにもありますので注意が必要です。

訪問介護を仕事にするにはどんな資格が必要なの?

訪問介護を仕事にするためには、どんな資格が必要なのでしょうか。ここでは、ホームヘルパーに必要な資格とサービス提供責任者に必要な資格についてご紹介します。

ホームヘルパー(訪問介護員)

ホームヘルパーになるためには、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)や介護職員実務者研修(旧ホームヘルパー1級)の研修を受けなければなりません。以前はホームヘルパー1級・2級という資格がありましたが、2012年に廃止されており、現在はこれらの研修を修了することでそれぞれの資格保有者に相当します。

介護職員初任者研修の場合は、全130時間の講義を受講し、修了後の試験に合格すれば研修の修了者として認定されるという流れです。介護職員実務者研修の場合は、より深い知識を身につけることが必要とされており、全450時間の講義を受講すれば修了者として認定されます。いずれの研修も受講資格などは特に必要ありません。

キャリアアップを目指したい方は、介護福祉士の資格取得を目指すという方法もあります。介護系の資格のなかでは唯一の国家資格で、介護福祉国家試験の合格を必要としますが、社会的な信頼の厚い資格です。そのぶん、給料面などの待遇もホームヘルパーより高くなります。ただし、介護職員実務者研修を修了していないと受験資格をえられません。

サービス提供責任者

サービス提供責任者とは、ケアマネージャーが立てた介護プランをもとに訪問介護サービスの計画立案やヘルパーへの指示・指導などをするコーディネーター的な業務をおこなう人で、訪問介護サービスのリーダーとなる存在です。

サービス提供責任者という資格があるわけではなく、サービス提供責任者になるためには介護福祉士資格の取得者や介護職員実務者研修の修了者などの資格要件があります。

身体介護は利用者さんに直接触れつつ必要な介助をおこなうお仕事

今回は訪問介護の身体介護とはどんな仕事なのか、そして身体介護のほかにはどんな仕事をするのかについてご紹介しました。身体介護は、利用者さんの身体に直接触れつつ必要な介助をおこなう仕事です。

介助といっても入浴や食事、排泄、更衣などその種類はさまざまで、けっして簡単な仕事ではありません。しかし、とてもやりがいのある仕事です。ホームヘルパーになるためには介護職員初任者研修などを修了する必要があるため、興味のある方はまず研修を受講してみてはいかがでしょうか。

参照元:
厚生労働省 各介護サービスについて
厚生労働省 どんなサービスがあるの? – 訪問介護(ホームヘルプ)

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