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特集・コラム 2023-02-07

福祉介護職員処遇改善臨時特例交付金をわかりやすく解説|交付状況を紹介

新型コロナウイルス感染症の影響ではじまった福祉介護職員処遇改善臨時特例交付金。この制度が一体どのような制度なのか、あまり理解できていない方もいらっしゃるかもしれません。

そして、この交付金を果たしてどのくらいの施設が活用しているのかも気になるところです。そんな福祉介護職員処遇改善臨時特例交付金のしくみを、ここでは詳しく解説します。

福祉介護職員処遇改善臨時特例交付金とは? 概要を解説

福祉介護職員処遇改善臨時特例交付金とは、新型コロナウイルス感染症がまんえんしているなかで働く福祉職や介護職への賃上げをするための交付金です。

この交付金がどのような目的で交付されているのか、そして対象となる職種や対象の期間はいつまでなのかについて説明していきます。

どんな目的で交付されたの?

福祉介護職員処遇改善臨時特例交付金の目的を、厚生労働省では「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和3年11月19日閣議決定)にもとづくとしています。

賃上げが継続されることを前提条件として、収入を3%程度にあたる月額9,000円相当を交付するものです。

対象期間はいつからいつまで?

福祉介護職員処遇改善臨時特例交付金の対象期間は、2022年2~9月の8カ月間です。2022年10月以降も臨時の報酬改定により、賃上げが継続される予定となっています。

対象者は?

福祉介護職員処遇改善臨時特例交付金の対象者は、基本的に福祉・介護職員です。しかし、「事業所の判断により他の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てられるよう柔軟な運用を認める」と厚生労働省からの通達にて明記されています。そのため、事業所によってはほかの職種も交付金支給の対象になりうるということです。

ただし、就労定着支援・地域相談支援・障害児相談支援・計画相談支援・自立生活援助の職員は対象外となっています。

補助金額はどれくらい?

福祉介護職員処遇改善臨時特例交付金によって交付される補助金額は、対象の障害福祉サービス事業所等の福祉・介護職員ひとり当たり月額平均9,000円の賃金引上げに相当する額です。あくまで9,000相当であり、一律に毎月9,000円上げるのではありません。

常勤スタッフのための換算となるため、常勤のスタッフの人数分交付されると考えておくとよいでしょう。非常勤のスタッフについては個別対応です。

算定式

福祉介護職員処遇改善臨時特例交付金算定式は次のようになります。

(ある月の総報酬{基本報酬+加算減算}× 1単位の単価)×交付率= 交付額

交付率はサービスの内容によって違います。加算減算には処遇改善加算と特定処遇改善加算分が含まれます。この算定式を活用して支給額を決定するため、一律で月額9,000円の賃金を引き上げるわけではないということです。

交付率

算定式に出てきた交付率は、事業所ごとに異なります。これは、障害福祉サービスなどの種類ごとに、福祉・介護職員数に応じて設定しているからです。事業所別の交付率は次のようになります。

交付金の申請・支払いの流れとは?|実績報告書を提出しよう

交付金の申請方法や支払の流れはどのようになるのか説明します。まずは、2022年2月からの賃金改善実施の報告をおこないます。それから都道府県に計画書を提出する流れです。

2022年6月以降に国保連を通して、対象期間における各月の障害福祉サービス等報酬にもとづき、交付金が各月支払われます。2~4月分はまとめて6月に支払われ、そのあとの分は毎月の支払いです。交付金の実績報告は、2023年1月におこなわなければなりません。

福祉介護職員処遇改善臨時特例交付金の交付要件を解説

福祉介護職員処遇改善臨時特例交付金の交付要件についてくわしく解説していきます。交付要件を満たしていなければ交付金は受け取れません。必ずこの交付要件を確認し、自分の事業所が当てはまっているのかを確認してみてください。

1. 福祉・介護職員処遇改善加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲのどれかを取得していること

福祉・介護職員処遇改善加算のⅠ・Ⅱ・Ⅲのいずれかを取得していなければなりません。すべてを満たす必要はなくひとつだけでも構いませんので、チェックしておきましょう。なお、2022年2月サービス提供分からの取得が必要となります。

福祉・介護職員処遇改善加算とは?

福祉・介護職員処遇改善加算とは、介護職員と福祉職員の処遇を改善することを目的に、キャリアパス要件と環境要件を満たした事業所は加算が受け取れるというものです。

加算はⅠ・Ⅱ・Ⅲまであり、キャリアパス要件と環境要件をすべて満たして加算Ⅰを取得すれば、福祉・介護職員ひとりあたり月額3万7千円相当の加算が受け取れます。

2. 原則として、2022年2月分から賃金改善を実施すること

原則は2022年2月分から賃金を改善することが必要です。しかし、就業規則などの改正が間に合わない場合もあるかもしれません。その場合には2022年3月分とまとめて2月分の賃金改善をおこなえます。

2022年2~3月分は一時金等による賃金改善も認めるなど柔軟に対応してもらえますが、必ずどのような対応をしたのかの報告をしなければなりません。

3. 交付金の全額を賃金改善に充てる|賃金改善の合計額の3分の2以上をベースアップなどに充てる

福祉介護職員処遇改善臨時特例交付金は「全額を賃金改善に充てることかつ、賃金改善の合計額の3分の2以上をベースアップなどに充てること」が必要となります。

ベースアップとは、基本給または決まって毎月支払われる手当を引き上げること。「福祉・介護職員」の賃金改善総額と「その他の職員」の賃金改善総額のどちらも、3分の2以上をベースアップなどに充てることが必要です。

福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金の交付状況を紹介

事業所としては、ほかの事業所がどのくらい福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金を交付しているのかが気になるところかもしれません。

ここでは2022年10月3日発表のデータを参考に、福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金の交付状況についてくわしく解説していきます。

1. 対象となる全サービス合計の交付状況

対象となる全サービス合計の交付状況を見てみると、交付対象に該当する事業所への交付率は約78.1%、全事業所に対する割合は65.8%です。

対象となるサービスの全事業所数は11万9,641事業所あり、このうち交付対象に該当する事業所数は10万812事業所でした。さらに、福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金の交付事業所数は7万8,748です。これらのデータをもとに割合を算出すると、上記の割合に結びつきます。

2. おもなサービス別の交付状況

おもなサービス別の交付状況をみていきましょう。今回は、いくつかのサービスをピックアップしてご紹介します。

生活介護や短期入所では、8割を超える事業所に福祉介護職員処遇改善臨時特例交付金が交付されています。

このデータはいずれも2022年2月サービス提供分となるため、あとから交付金の申請を出している施設のことを考えるとこのデータよりもさらに交付されている事業所は増えているかもしれません。

福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金の交付率は高め

福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金は、介護・福祉職の賃上げを目的としている交付金です。福祉・介護職員ひとり当たり月額平均9,000円の賃金引上げに相当する額が交付されますが、このお金は確実に賃金に充当させなければなりません。

対象となる事業所の7割以上、介護分野においては約8割以上の事業所に交付されており、多くの事業所が交付金を受け取っていることがわかります。うまく活用して、介護職の賃金改善へとつなげていきましょう。

引用元
厚生労働省:福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金
厚生労働省:「福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金」のご案内
厚生労働省:処遇改善に係る加算全体のイメージ(令和4年度改定後)
厚生労働省:福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金の交付状況

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