看護師と介護士は仲が悪い? 対立してしまうことがある?|うまく連携するための5つのポイント
あくまで事業所によりますが、看護師と介護士はときに対立する場合があります。この場合、お互い利用者へのアプローチに違いがあることが原因で、どちらが悪いということはありません。
今回は、看護師と介護士でどんなアプローチの違いがあるのか、看護師と介護士で良好な関係をつくるためにはどうしたらよいのかをご紹介します。良好な関係を築いて利用者をサポートしやすくするためにも、お互いの視点や業務内容を理解するようにつとめましょう。
看護師と介護士は対立してしまうことがある?
介護の事業所では、看護師や介護士などいろんな職種の人が集まることから、ときに看護師と介護士は対立してしまうことがあるようです。その理由には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、対立してしまう理由を解説します。
アプローチの違いで対立してしまうことも? 看護と介護の違いとは
看護師と介護士が対立してしまうのは、利用者に対するアプローチの違いが原因のひとつだと考えられます。看護は医療面から、介護は生活の質のことを意味する「QOL(Quality of Life)」の観点からアプローチするためです。これらのアプローチの違いについて、具体的に解説します。
看護のアプローチ|医療面から利用者さんをサポート
看護では、医療面から利用者をサポートします。医療の知識を活かして、利用者が病気やケガになった場合に対処するのは、看護師だからできるアプローチです。具体的な業務内容としては、薬の管理・脈の測定・注射・点滴・採血などがあげられます。
看護師が介護士の業務をおこなう場合はありますが、介護士が看護師の業務である療養上の世話をすることはありません。そのため、事業所によっては、看護師が介護士に高圧的な態度をとったり、介護士が看護師に劣等感を抱いたりしてしまうことがあるのです。
しかし、業務内容に優劣はなく、看護師には看護師ならではの、介護士には介護士ならではの業務があります。そのため、介護士が引け目を感じる必要はまったくないことを覚えておきましょう。
介護のアプローチ|QOLから利用者さんをサポート
介護では、前述したQOLの観点から利用者をサポートします。利用者のQOLを向上させることは、介護士が得意とするサポートの仕方です。具体的な業務内容は、食事・入浴・排せつといった介助や利用者とのコミュニケーションがあげられます。
サポートのし過ぎはQOLを下げることにつながってしまうため、利用者とのコミュニケーションはとても大切な要素です。話を聞き、どんなサポートが必要か把握するのは、ふだん利用者に寄り添う介護士ならではのアプローチでしょう。ただし、利用者のことを思うあまり、事業所によっては看護師の業務範囲に介護士が介入してしまうことがあるといわれています。
看護師は医療面から利用者をサポートするために、介護士とは違った視点で物事を見ています。そのため、介入のし過ぎには注意が必要です。看護師からの指示を聞き入れないことも対立の原因となるため、アプローチの違いをきちんと理解しましょう。
協力しあえる良好な関係を築くには? 5つのポイントを解説
看護師と介護士が協力しあえる良好な関係を築くには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、良好な関係を築く5つのポイントをご紹介します。
1. 専門分野の違い・担当範囲の違いを理解する
大切なのは、看護師と介護士でお互いに専門分野の違いや担当範囲の違いを理解することです。看護師は医療面、介護士はQOLからと、アプローチの仕方に違いがあります。担当範囲の違いを明白にしないままでは、介護士が看護師の業務範囲に踏み込み過ぎたり、看護師が介護士の業務を尊重できなかったりすることもあるでしょう。
基本的に、利用者を第一に考えているのはどちらも同じです。お互いを理解し合えれば、良好な関係を築きながら利用者にとってよいサポートができるでしょう。
2. お互いの分野や業務を学ぶ姿勢を持つ
お互いの専門分野や業務を学ぶのも、良好な関係を築くひとつの手です。看護師なら介護分野を、介護士なら看護分野を学ぶ姿勢を持ちましょう。看護師は介護分野を学ぶことで、現場のたいへんさを知ることができます。一方、介護士は看護分野を学ぶことで、看護師からの指示が理解でき、今まで以上に利用者に寄り添えるようになるでしょう。
職場によっては、看護師が介護士の業務を兼務する場合があります。このような場合は介護士が具体的にどんな業務をこなしているのか体感できるため、自然と介護士の業務を学ぶことが可能です。
介護士は資格上、看護師の業務に手を出せないですすが、どんな視点で業務をおこなっているのか理解することは可能です。看護師の業務内容への理解度を深めることで、思いやりを持って接することができるでしょう。
3. 挨拶や感謝の言葉などコミュニケーションを欠かさない
挨拶や感謝の言葉など、ふだんからコミュニケーションをとるよう努力すると、協力しあえる関係性を築きやすいでしょう。「おはようございます」「お疲れさまです」などの基本的な挨拶をするだけでも、お互い気持ちよく過ごせます。業務を助けてもらう機会があるときには「ありがとうございます」と、しっかり感謝の気持ちを伝えましょう。
ふだんからコミュニケーションをとっていれば、いざというとき協力しあえるので、利用者のサポートがしやすくなります。コミュニケーションをとることで職場が明るくなり、雰囲気もよくなるでしょう。
挨拶や感謝の言葉が自然に飛び交うようになると、職場の結束力が高まるといった効果も生まれます。ひとつのチームとして利用者によりよいサポートができるため、働く側も仕事に対して前向きになれるでしょう。
4. 相手の立場を尊重しつつ意見を言う・相談をする
業務内容に違いがあっても、お互い対等な関係であることを覚えておきましょう。相手の立場を尊重しつつ、意見を言い合ったり相談をしたりすれば、よい関係が築けるはずです。ふだんからコミュニケーションをとり、お互いの専門分野を理解できていれば、なおさら相手の立場を尊重しやすいでしょう。
意見を伝えるときや相談するときは、自分の視野が狭まっていないか確認することも大切です。「看護師の視点でみるとどうですか」「介護士の立場から教えてください」のように、相手を尊重する尋ね方をしてみましょう。
5. 利用者さんを第一に考えているかを見直す
利用者のためには、なにが一番大切なのかを考え直してみてください。空気の悪さは、対立している当事者以外も敏感に感じ取るものです。看護師と介護士の仲が悪くては、利用者も気持ちよく過ごせません。
アプローチに違いがあれば、ときには意見が合わないこともあります。そんなときには、利用者がなにを望んでいるかにフォーカスして、看護師と介護士でよく話し合いましょう。利用者のことを考えたうえでの意見ならば、お互い譲歩や納得ができるはずです。
良好な関係を築いて利用者さんに最適なケアを提供しよう!
あくまでも事業所によりますが、利用者へのアプローチの違いで看護師と介護士が対立する場合があります。対立せず良好な関係を築くためには、専門分野の違い・業務範囲の違いを理解する、お互いの分野や業務を学ぶ姿勢を持つことが重要です。
ほかにもコミュニケーションをとり、相手の立場を尊重しつつ意見を伝える・相談をすることも大切です。利用者のことを第一に考えているかをあらためて見直し、看護師と介護士が連携して利用者にとってベストなケアを提供するように心がけましょう。