精神保健福祉士の受験資格とは? 取得できる4つのルートを紹介!
精神保健福祉士の国家資格を取得したいと考える方のなかには、試験を受けるための条件が気になっている方もいるでしょう。しかし、精神保健福祉士は誰でも受けられる資格ではありません。
今回は、受験するために必要な条件やルートについて解説していきます。将来、精神保健福祉士になりたいと考えている方は参考にしてくださいね。
精神保健福祉士の受験資格とは?
精神保健福祉士の国家試験を受けるために、必要な資格にはどんなものがあるのでしょうか。ここでは、受験資格をご紹介します。
精神保健福祉士国家試験を受けるために必要な資格
精神保健福祉士は国家資格です。合格するのはもちろんですが、試験を受けるための受験資格を満たしていなければいけません。
しかし、その条件はひとつではなく、合計4種類のルートが用意されています。また、ルートによっては学校で学ぶ期間や実務期間を合わせられるため、人それぞれ受験資格を満たす方法がさまざまです。
精神保健福祉士の国家試験についてはこちら:URL(K-404公開後リンク貼る)
受験資格を取得できる4つのルートを紹介!
受験資格を取得するルートが設けられている精神保健福祉士。ここでは、受験資格を取得するための4種類のルートを解説します。
1. 福祉系大学・短大等のルート
まずは保健福祉系の大学や短大を卒業するルートです。保健福祉系大学は、指定科目や基礎科目を学べる学校が該当します。大学で学ぶ年数は2年から4年ですが、最終的には相談援助実務期間も含めて合計で4年間を必要とします。
また、学んだ学校の科目が基礎科目だった場合には、短期養成施設における6カ月以上の履修が必要です。
指定科目・基礎科目とは?
保健福祉系大学や短大に該当するのは、下記の指定科目または基礎科目を学べる学校です。
<指定科目>
・人体の構造と機能及び疾病、心理学理論と心理的支援、社会理論と社会システム(いずれか1科目)
・現代社会と福祉
・地域福祉の理論と方法
・社会保障
・低所得者に対する支援と生活保護制度
・福祉行財政と福祉計画
・保健医療サービス
・権利擁護と成年後見制度
・障害者に対する支援と障害者自立支援制度
・精神疾患とその治療
・精神保健の課題と支援
・精神保健福祉相談援助の基盤(基礎)
・精神保健福祉相談援助の基盤(専門)
・精神保健福祉の理論と相談援助の展開
・精神保健福祉に関する制度とサービス
・精神障害者の生活支援システム
・精神保健福祉援助演習(基礎)
・精神保健福祉援助演習(専門)
・精神保健福祉援助実習指導
・精神保健福祉援助実習
<基礎科目>
・人体の構造と機能及び疾病、心理学理論と心理的支援、社会理論と社会システム(いずれか1科目)
・現代社会と福祉
・地域福祉の理論と方法
・社会保障
・低所得者に対する支援と生活保護制度
・福祉行財政と福祉計画
・保健医療サービス
・権利擁護と成年後見制度
・障害者に対する支援と障害者自立支援制度
・精神保健福祉相談援助の基盤(基礎)
・精神保健福祉援助演習(基礎)
どちらも、2012年4月以降に改定された内容です。
短期養成施設とは?
基礎科目を学んだルートで必要になる6カ月以上の履修期間が必要な短期養成施設とは、いわゆる専門学校で用意されている履修コースです。
学生だけではなく就職している方も学びやすいよう、基本的には通信性の授業タイプでスクーリングも土日に設定されています。
福祉大学等で4年学ぶ
福祉大学で4年学んだ場合、指定科目を履修していれば卒業と同時に国家試験の受験資格が得られます。履修内容が基礎科目であれば、6カ月以上の短期養成施設などでの履修も必要です。
福祉短大等で3年学ぶ
福祉大学で3年学んだ場合、残り1年分の相談援助の実務経験が必要です。また4年制と同様に福祉大学の履修内容が基礎科目だった場合、6カ月以上の短期養成施設などで履修しなければいけません。
福祉短大等で2年学ぶ
2年の福祉大学で学んだ場合、残り2年分として相談援助の実務経験が必要です。4年制や3年制と同様で福祉大学の履修内容が基礎科目だった場合には6カ月以上の短期養成施設などでの履修も条件に加わります。
2. 一般大学・短大等のルート
卒業した学校が保健福祉系ではなく一般的な大学や短大だった場合には、一般養成施設などで1年以上の履修が必要です。
一般養成施設とは?
一般養成施設は短期養成施設のように、おもに専門学校などで用意されている履修コースです。1年以上と期間が長いため、通信課程以外に昼間課程のコースが用意されている学校も多くあります。
一般大学等で4年学ぶ
福祉大学でない一般大学で4年学んだ場合には、卒業後一般養成施設にて1年以上の履修が必要です。一般大学には大学だけでなく、高等師範学校の専攻科や修業年限5年以上の専門学校や職業訓練大学校の長期課程をはじめとした、ほかの学校も含まれます。
一般短大等で3年学ぶ
一般大学において3年間履修した場合は、加えて1年以上の相談援助実務経験が必要です。学校の種類には短期大学に加えて修業年限3年以上の専攻科がある高等学校や都道府県知事の指定の看護師養成所なども含まれます。
一般短大等で2年学ぶ
一般大学で2年間履修した場合は、加えて2年間の相談援助実務経験が必要です。学校の種類には短期大学に加えて高等専門学校や専修学校、職業訓練短期大学校の専門課程なども該当します。
3. 相談援助(実務経験)ルート
相談援助業務の実務経験は、福祉系短大や一般大学での4年に満たない年数を補うことが可能です。そのため相談援助実務経験が4年間あれば、大学で履修していなくても受験資格となります。
ただし、保健福祉系大学などで基礎科目を履修している場合には短期養成施設などでの6カ月以上の履修、一般大学なら一般養成施設などでの1年以上の履修も受けなければいけません。
相談援助の業務として認められるものとは?
相談援助の業務とは精神障がい者の保健および福祉に関連した専門の知識と技術をもち、精神障がい者が社会復帰するための相談としてアドバイスや指導、訓練のサポートなどをおこなう業務です。具体的な業務は、以下のようなものがあります。
・精神障がい者の相談
精神障がいをもっている方に対し、疾患の状況を気にかけつつも社会活動へ戻るためのアドバイスなど情報を提供します。
・精神障がい者に対する助言、指導
精神障害をもつ方に対し、疾患状況も考慮しながら退院後の住まいや就職活動に対して提案や誘導をおこないます。
・精神障がい者に対する日常生活への適応のための必要な訓練
社会へ復帰しつつある精神障がい者に対して、日常的な家事への習慣づけや公共交通機関の利用などのトレーニングをします。
・精神障がい者に対するそのほかの援助
精神障がいをもった方ができない手続きの代行をおこなう担当者です。ほかにも精神障がい者が通う学校や勤める会社などに対して理解を求めるための活動など、支援をおこなう担当者も含まれます。
・援助をおこなうための関係者との連絡、調整など
上記担当者同士、または精神障がい者が通う機関と機関の連絡調整、ケースの記録係やケースカンファレンスの会議への出席をおこなう担当者も該当します。必ずしも精神障がい者と直接接する担当者だけではありません。
対象となる施設や事業・職種の例を紹介
相談援助の業務をおこなう例としては、下記担当者が挙げられます。
<精神保健福祉センター>
・精神保健福祉相談員
・精神保健福祉士
・精神科ソーシャルワーカー
<精神障害者社会復帰施設>
・精神保健福祉士
・精神障害者社会復帰指導員
<精神障害者グループホーム>
・相談援助業務を専任している職員
<保健所>
・精神保健福祉相談員
・精神保健福祉士
・精神科ソーシャルワーカー
注意として、あくまでも相談を受ける担当者が該当するため、精神障がい者に対して食事や入浴の介助は含まれません。
業務従事期間の計算方法
相談援助業務の実務経験期間は、勤務先の施設や事業所と雇用関係にあって常勤体系にある年数を通算します。また、常勤とは該当する施設において常勤者の勤務時間に対し、4分の3以上が目安です。
たとえば、雇用関係にはないインターンシップや週2回程度の業務などは含まれません。また、期間は通算のため複数の施設で勤務していた場合は合計期間となります。つまり、4施設で各1年ずつ勤務していたならば、業務従事期間は4年間です。
4. 社会福祉士登録者ルート
同じく国家資格である社会福祉士登録者を所有している方はほかのルートと異なり、大学などでの履修期間や相談援助実務期間は不要です。ただし、短期養成施設などによる6カ月以上の履修は必要となります。
精神保健福祉士国家試験には受験資格が必要!
精神保健福祉士国家試験に必要な受験資格を得るには、さまざまなルートがあります。一般大学の場合は4年に満たないぶんの相談援助実務期間と一般養成施設での1年以上の履修が必要です。また、保健福祉大学なら4年に満たない年数を相談援助実務経験で補い、基礎科目を履修した場合には短期養成施設などでの6カ月以上の履修を加えなければなりません。
現在通学しながら精神保健福祉士を目指したい方は、自分のなかで最短もしくは最適なルートを選択して試験を目指しましょう。
社会福祉振興・試験センター 精神保健福祉士国家試験 受験資格(資格取得ルート図)
社会福祉振興・試験センター 精神保健福祉士国家試験 受験資格 福祉系大学等
社会福祉振興・試験センター 精神保健福祉士国家試験 指定科目(平成24年4月入学者からの適用)
社会福祉振興・試験センター 精神保健福祉士国家試験 基礎科目(平成24年4月入学者からの適用)
社会福祉振興・試験センター 精神保健福祉士国家試験 受験資格 短期養成施設・一般養成施設
社会福祉振興・試験センター 精神保健福祉士国家試験 受験資格 一般大学等