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介護・看護・リハビリ 2020-02-12

グループホームで働くには、どんな人が向いているか

高齢化に伴って、ここのところ施設の数増えてきているグループホーム。将来は、グループホームで認知症の高齢者の役に立つことができたらと考えている人も多いのではないでしょうか? そこで、今回は、グループホームとはどんなところで、どんなことが行われており、どういった人がスタッフに向いているのかを説明していきたいと思います。

グループホームとは、どういう施設?

グループホームとは、簡単に言うと、認知症の高齢者が自立できることを目指しながら生活をする社会福祉施設です。「要介護2」や「要介護1」といった介護認定を受けている65歳以上の高齢者が5~9人程度で入居し、生活しています。施設でありながら、家庭での生活に近いかたちでの生活を行われるグループホームは、認知症の症状を少しでも抑えることができるように、利用者には役割が与えられます。

どのような役割が利用者に振り分けられるのかは、利用者の認知症の度合いなどにもよりますが、洗濯や料理といった、日常生活を行う上でで必要な家事の作業が分担されるようになっています。スタッフは、こういった利用者を「ケア」するのではなく「サポート」するかたちで寄り添います。そのため24時間のシフト制の勤務となり、もちろん夜勤もあります。

ただし、基本的に医療的な作業は行うことはありません。伝染病などの病気を患っている場合や、重度の介護認定を受けている利用者はグループホームを利用できないことになっているためです。

グループホームでは、具体的にどのようなことが行われているの?

では、グループホームの1日の流れを少しお話しましょう。
まず、利用者は朝は7時頃に起床し、朝食をとります。そして、食事が済むと各自が食器を洗い、後片付けを行ないます。その後、洗濯や掃除など、自分に与えられた役割を利用者がこなし、スタッフはそれをサポートします。その後、バイタルチェックなど看護師が行ない、利用者の体調を管理します。

お昼が近づいたら、次はお昼の食事の支度を始めます。買い物に行く利用者に近くのスーパーマーケットについて言ったり、朝食の支度と同様、野菜を切る作業を手伝うなどします。そして、昼食後は利用者とお茶をしながら会話を楽しみ、一緒にレクリエーションなどをして時間を過ごします。

夜にはまた同様に夕食の準備が行われ、その後利用者がお風呂に入って就寝の準備を行うところをスタッフが手助けして1日が終わります。利用者にできる限りのことを自分で行ってもらいながら、普通の生活を過ごしてもらう、これがスタッフが行うべきことなのです。

グループホームのスタッフに向いている人とは?

これまでの説明の通り、グループホームは高齢者の自立を目指しており、あくまでもスタッフは「サポート」を行う役割を果たします。何か利用者にとって難しい作業があったとしても、それをすべて手伝うのではなく、できる限り利用者に行ってもらい、どうしてもできない部分だけをスタッフが行うのです。また、認知症の方は日常生活のちょっとした動作においても手順を忘れてしまう場合が多いため、たとえば熱いお湯を湯のみに注ぐ際などは、利用者が安全にその作業を行うことができるかどうか、そばで優しく見守ってあげることが大切になります。

このように、スタッフには利用者の動きをよく観察することが求められます。そのため、日頃から周囲の人のことを考えて行動できる人や、人の手助けをすることを楽しいと思えることができるような人が、グループホームでのスタッフに向いているといえます。

いかがでしたでしょうか? グループホームは、一般的に老人ホームと言われる施設とは性質が異なることや、そのためにスタッフに求められることもまた違ってくるのだということがお分かりいただけたかと思います。そのため、グループホームに適している人は、人のサポート役に徹することができる人が向いているといえますね。自分自身の性格を1度振り返って考えてみてはいかがでしょうか。

グループホームの需要の増加

グループホームは介護保険法制定に基づいて、厚生労働省 が2001年に都道府県知事に宛てた通達の中で「痴呆性高齢者に対する支援対策の重要な柱」として表記されていました。また文字通り着実に数を増やしてきました。2001年では定員数が12,486名だったのが2014年には184,600名まで定員数が増加しており、需要が高まっている状況となります。

グループホームの数が増えてきた理由としては、厚生労働省 の後押し以外に、経営者の視点で見ると開設場所が確保できれば比較的低コストで開設ができるという点にあります。介護報酬以外にも入居者から徴収する家賃、食費なども自由に設定できるので、介護報酬に頼らない経営することが可能であり、グループホームを安定的に運営することができる点が挙げられます。

利用者にとってはニーズや費用などから選べるという利点があります。一方利用者のデメリットとしては、入居一時金などの初期費用の他に月々の利用料がかかる点と、気に入った施設が見つかっても入居者の数が限られてるため、すぐには入居できない点が挙げられます。

グループホームの求人はどうなっている

グループホームは設置条件に常勤換算で利用者3人に対して職員が1人が条件で、24時間体制で常駐しなくてはいけません。利用者が少なくてもサポートする場面が多いので介護スタッフの求人も多いです。首都圏地方問わずハローワーク筆頭に数多く、公開求人で募集が常に行われている状態なので採用されやすい職種の一つです。

雇用形態もアルバイトや契約社員の非正規雇用から正社員まで採用形態はさまざまです。また、未経験者や主婦・主夫も応募可能としているところも多いです。アルバイトだと「シフト自由」や「即日勤務可」、「アルバイトから正社員登用」と謳っているところも見受けられ、年齢や経験を問わず多くの人が応募しやすい環境を募集広告で打っているところもあります。

なお、グループホームでは医療・看護スタッフの常駐は義務化されていません。グループホームによっては医療・看護スタッフを募集していないところもあり、看護師資格を持っている人は注意が必要です。

グループホームスタッフの賃金形態

グループホームの求人状況は上述の通り様々な形態で募集広告を打っています。賃金は東京都内では施設にもよりますが、アルバイトだと時給1000円台の施設から1,400円台と差があります。未経験者はやはり経験者と比べると時給は低くなる傾向にあります。中には時給2,000円台という高待遇の求人もありますが、臨床経験2年以上の正看護師という条件がつきます。

正社員だと都内の場合月18万円から25万円である一方、地方によっては正社員でも月13万円といったところもあり、正社員でも施設や地域によって待遇が異なります。スタッフの中には賄い食を作るスタッフを募集している場合もあり業務内容も様々ですが、24時間スタッフが常駐することがグループホームの設置条件にあるところから夜勤は欠かせません。夜勤手当も様々ですが、アルバイトや契約社員など、非正規雇用でも正社員でも時給や給与の中に夜勤手当が入っているところが多いです。

厚生労働省 の発表だと、日常的なサポートがあれば自立した暮らしができる日常自立度2と、常時介護が必要な重度の認知症高齢者は2015年には全国で342万人、2025年には470万人なると推計されています。誰でもなりうる認知症の介護に在宅だけでは家族の負担も大きく、不幸な結果をもたらすことは日々のニュースでも報道されている通りです。これからも需要は増えていくグループホームへの採用を増やすには賃金などの待遇改善が望まれます。

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