日々が感動の連続!子どもたちの発達の瞬間に立ち会える喜びと楽しさ/介護リレーインタビュー Vol.23【児童指導員/前澤直美さん】#2
介護業界に携わる皆様のインタビューを通して、介護業界の魅力、多様な働き方を紹介する本連載。
前回に続き、東京都東久留米市の児童発達支援教室「こぱんはうすさくら 東久留米教室」で、児童指導員として働いている前澤直美さんにお話をお聞きします。
一度児童発達支援から離れたことで、発達に特性のある子ども、知的障がいのある子どもの魅力を再確認した前澤さん。「こぱんはうすさくら」に再就職し、児童支援に奮闘しています。
前編では、児童発達支援のお仕事内容についてお話をお聞きしました。後編では、前澤さんがお仕事に感じる魅力や大変だと思うこと、今後の目標を教えていただきます。
お子さんに良い影響が生まれる関わりを心がける
──前澤さんが児童発達支援のお仕事に感じるやりがいや魅力を教えてください。
自分が何かを考えたり提供したりした時に、子どもたちが喜び、笑顔になってくれるのが一番のやりがいです。あとは関わっていくなかで、できなかったことができるようになったときは涙ものですね。
何度その場に立ち会っても、すごく感動します。これは児童発達支援ならではだと思います。発達障害があっても、みんな成長していくんですよね。
もしかしたら何もしなくても成長していくのかもしれないけど、特性のある子は意図的に関わらないとできるようにならないことも多いじゃないですか。自分がある程度意図的に関わったことで、成長につながったのかなと思うと嬉しいですよね。
──逆にお仕事のなかで大変なことは?
人手が足りなくて大変だなと感じることはあります。ギリギリの人数でやらないといけない日もあるので、子どもが求めて来てくれても遊んであげられないシーンも出てきてしまう。いつもではないけど、そういうことが増えると辛いなと思います。
数人で遊べる子もいれば、マンツーマンでないと遊べない子もいます。その空間にいるだけになってしまわないように、もっとじっくり関わってあげたいし、もっとコミュニケーションを取れたら子ども側からの発信も出てくるかもしれない。
そういう場面が少しでも減るように、会社としても募集をかけてくれています。現場としても、みんなで話し合ってコミュニケーションを取りながら、子どもたちの幸せにつながるためのいろんなアプローチを考えています。
良い魅力的な職員と一緒に子どものことに集中できる環境が嬉しい
──児童指導員になるために必要な素質は何だと思いますか?
子どもが好きというのは大前提として、職員同士でコミュニケーションが取れることは大切です。支援するのはコミュニケーションが難しいお子さんたちですから、大人同士でコミュニケーションが取れない人にはできないんじゃないかと感じます。
コミュニケーションを取ると言っても、ただなあなあで仲良くすればいいというものではないんです。しっかり意見をぶつけ合いながらも、人の意見もちゃんと取り入れられること。そういう素直さを持って、いくつになっても成長していこうと思える方が向いているんじゃないでしょうか。
「こぱんはうすさくら」の人たちは、そういう人ばかり。年齢を問わずすごく一生懸命な方しかいないので、すごく楽しくお仕事ができています。
──すごくいい職場なんですね。
そのおかげか、入所する子どもの人数がすごく増えてきているんですよ。なので9月から、以前より児童発達支援の時間を伸ばしました。するとさらに問い合わせが来て、日々人数が増えているんです(笑)。職員が追い付かない日もありますが、それでも楽しく次の日を迎えられるのは、いい職場だからだなと思います。
──では、あまり疲れやストレスは感じませんか?休日のリフレッシュ方法は?
体が疲れたというのはあまりないですね。夜更かししてしまうので、休日は思いきり寝ています(笑)。何をしていてもリフレッシュできるタイプなんです。休日に「こんな教材が作りたいな」と思って家で試作する時間も楽しいし、同級生や息子たちとの外出やご飯、テーブルゲームをするのもリフレッシュになっています。
──休日もお仕事のことを考えられるんですね。
昔からのクセで、買い物中とかに「こんなものがあったらいいな」とかチェックするんです。だからと言って、いつも仕事で頭がパンパンってことではなくて。どんな場面でも楽しいことを見つけている感じです。
知識に縛られず、目の前の子どもの心の声を聞いて
──児童指導員を目指す方にアドバイスをお願いします。
児童発達について基本的なことを学んでおくのは大事だと思います。知っていると、これがダメならこれ、ということができますから。
でも、あまり「こうでなければならない」という風に頭でっかちにならずに、いろんな人の意見を聞いて、子どもの気持ちに寄り添いながら療育に関わっていくと良いと思います。自閉症はこういうものだから、こういう時はこうしないといけない、となってしまうのは違う。相手は人間なので「絶対こう」ということはないんですよね。
この仕事は、感性の部分で知識をカバーできることが多いなと、現場を見ていて感じます。空気を読んだり心を感じながら、その人に合った手を差し伸べられる。そういう柔らかさのほうが大切だと思います。
──児童指導員として働き続けるコツは?
子どもとの関わりを楽しまないと続かないと思うので、一緒に楽しんでください。こうしなければならないとか、こうあるべきとか思わずに、子どもが楽しめることを考えてやっていれば、自分も楽しくなると思うんです。だから自分が楽しむこと。
子どもが楽しんでくれたり、笑顔になってくれたりすると、それが自分の喜びになる。そうするとまた、次は何をしよう、楽しめることを考えてみようという風に、次につながっていけますよ。
──最後に今後の課題や目標を教えてください。
「こぱんはうすさくら 東久留米教室」はまだ若い教室で、教材なども十分ではありません。なので、まずはそういうものを作って揃えていきたいというのが課題。子どもたちが楽しめる、いろんな教材を揃えて療育に活かしたいです。
目標は、誰がしても同じ支援、療育ができる体制を作ること。パートさんはまだ入社して日が浅かったり、療育を知らない部分もあるので、子どものことを理解してもらえるように伝えていきたいです。良い療育をみんなができるようになっていくといいなと思います。
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発達のゆるやかなお子さんに寄りそう児童発達支援のお仕事。「関わり方の選択肢を増やすために知識は大切。でも一番大切なのは、子どもが何を求めているのかを知ろうとする感性」という前澤さんのお話から、子ども第一で考えてくれる「こぱんはうすさくら 東久留米教室」の魅力を感じました。「頭でっかちにならず、自分も子どもになって」と笑う前澤さんのアドバイス、ぜひ参考にしてみてください!
取材・文/山本二季
撮影/高嶋佳代