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特集・コラム 2025-11-20

【ケアマネの基本】インテークを徹底解説!流れやポイント、注意点を解説

介護現場におけるケアマネジャーは、利用者の状況を的確に把握し、最適な介護サービス提供のためのケアプランを作成するという非常に重要な役割を担っています。

そのためには利用者の情報を正確かつ短時間で理解する必要がありますが、その手法のひとつがインテークです。聞き慣れない言葉かもしれませんが、ケアマネジャーが必ず覚えなければならない用語でもあります。

今回は概要や仕事の流れ、注意点などさまざまな面からインテークをご紹介します。

ケアマネの業務「インテーク」とは?初回面接・情報を得る

インテークを初回面接と言い換えれば、よりわかりやすいかもしれません。福祉サービスの利用開始にあたって欠かせないインテークですが、介護現場でいうインテークはケアマネジャーが在宅の高齢者や家族とおこなう初回面接にあたります。

相手の情報をしっかり把握するために、インテークの目的やアセスメントの違いなどをおさらいしておきましょう。

インテークをおこなう目的は?

利用者や家族の関係・生活環境・課題などを把握する目的でおこなうインテークは、適切な介護サービスにつなげるケアプラン作成のために必須です。

また、インテークが持つもうひとつの目的として、信頼関係を築くというものがあります。

・どんな人なんだろうか?
・この人は信頼できるのだろうか?
・私の悩みを理解・共感してくれるかな?

このように考えている利用者も少なくありません。とくに相談する側は、見ず知らずのはじめて会うケアマネジャーに自分の問題を話すことになるでしょう。そのため、サービス提供側に対し、心を開くきっかけを作るという機能も果たしています。

インテークでは利用者の話に傾聴し、自分が味方であることをアピールしていきましょう。

アセスメントとの違いは?

インテークと同じような面接手法を用いるのがアセスメントですが、両者はそもそもの目的が異なります。内容を表にすると以下のようになるのが特徴です。

インテーク アセスメント
・初回面談

・利用者の情報収集と整理

・電話相談もある

・定期面談

・面談からニーズを掘り起こす

・自宅訪問でおこなうのが基本

 

インテークは初回相談として、短時間で相談者の概要を理解することや信頼関係を築くことが目的です。一方、評価の英訳であるアセスメントは、繰り返し実施することによって問題をより深くかつ客観的に把握するという違いがあります。

また、インテークは電話相談の形をとることもありますが、アセスメントは利用者宅を訪問し、本人や家族を交えたうえでおこなうのが基本です。

インテークシートとは?

インテークでヒアリングした内容は項目に沿ってインテークシートに記載していきます。

・インテークの実施日
・担当者の氏名
・相談者の氏名・年齢・性別
・同居、もしくは別居家族
・健康状態
・就職状況
・障害の有無や程度
・相談の内容
・相談の目的
・相談者が大事にしていること
・解決すべき課題と背景
・緊急支援の必要性

このように、ケアマネジャーのインテークでは、氏名や住所、家族構成などの基本情報に加え、利用者の心身の状態、生活歴や住環境を記録します。最も重要なのは、インテークの中で利用者本人と家族が「どう生活したいか」という意向やニーズ、解決すべき課題を明確にすることです。これらがその後の支援プラン作成の基礎となります。

引用元
厚生労働省|インテーク・アセスメントシート【スタッフ使用】
法務省|インテークシート

インテークのために必要な3つの準備

インテークでは限られた時間のなかで、より多くの情報を把握しなければなりません。また、相手によい第一印象を与えるとともに、心を開いて話してもらうためにも、事前の準備や注意点がいくつかあります。

ここでは、インテークに臨む前にどのような準備をすべきなのか、覚えておきたいことなどを確認しておきましょう。

情報をまとめる|確認すべきことを明確に

一定の時間内でインテークをおこなうためには、あらかじめ質問事項や確認が必要な情報などをまとめておくことが非常に大事です。

確認事項をまとめておくことで聞き漏らしを防ぐとともに、相手のペースに合わせることで話題がそれたとき本来の目的に軌道修正することが可能となります。

また、利用者との距離感を縮めるためにも、インテークの実施中はあまり一般的ではない専門用語や横文字の英語由来の言葉を多用するのは避けるべきです。

質問内容を考える際には、利用者目線に立った言葉選びをしてみるのがおすすめです。

覚えておきたい、インテークでのマナー

インテーク時に注意したいマナーはいくつかありますが、いずれも相談者がリラックスできるように心がけたいポイントです。

こぎれいな服装や名刺のやり取り、電話でインテークをする場合の丁寧な電話対応などは一般的なビジネスマナーと同じですが、介護事業所の代表として不快な印象を与えないよう注意しましょう。

利用者の自己決定をうながすよう心がける

インテークの実施時には、相談者の話に耳を傾けて相手に合わせた質問をすることで、相手に自己決定をうながすことを心がけましょう。具体的には、ケアプランの内容を利用者とその家族が理解できるようにわかりやすく説明します。ケアプランの概要について知ってもらったうえで、相手にその後の判断をさせるという流れで考えておきましょう。

実際のインテークの進め方を解説|当日の流れ

ここでは実際にインテークをおこなうにあたって、基本的な手順を解説します。別の相談相手でも流れは同じで、短時間で効率よく言葉や観察から相談者の情報を得るため覚えておきたいルーティンです。

また、ケアマネジャーに限らず、ほかの相談業務でも同様の手順を踏むため、インテークの進め方をしっかりと理解しておきましょう。

自己紹介

インテークをはじめる前にあいさつや自己紹介をして、相談者の緊張を取り除くことが大切です。氏名を伝えるのはもちろんですが、同時に名刺も渡すことで事業所名も覚えてもらいましょう。具体的には、以下のような会話例が挙げられます。

・「こんにちは、〇〇さん。今日は少し肌寒いですが、体調はいかがですか?お部屋の中は暖かくて気持ちがいいですね。」
・「立派な書道の作品ですね。もしかして、〇〇さんが書かれたものですか?」
・「施設のまわりを散歩していたところ、公園の桜がとても綺麗に咲いていました。〇〇さんもお花見はされたりしますか?」

このように、答えやすい天気にまつわる質問で会話をはじめ、趣味や特技に関するテーマをふったり、周囲の環境の変化について言及して外出頻度を探ったりするのがおすすめです。

また、ケアマネジャーとしてなにができるかを伝え、相談者が抱える不安を和らげることも心がけておきたいポイントです。

守秘義務などの説明

ケアマネジャーはインテークの際、利用者の体調をはじめプライベートな個人情報を取り扱うことになります。場合によっては、家族関係などの深いところまで聞き取る場合も。

そのため、ケアマネジャー本人に守秘義務があることを事前に説明し、相談者が安心してくわしい相談ができるように配慮しなければなりません。

相談者からのヒアリング

自己紹介と注意事項の説明が終わったら、相談者のお話に耳を傾けます。あくまでもヒアリングは傾聴する時間なので、こちらから率先して質問していく必要はありません。

ところで、質問には相手が自由に答えられるオープンクエスチョンと、はい・いいえなどの短い言葉で答えられるクローズドクエスチョンの2種類があります。

オープンクエスチョンで悩みや相談の方向性を確認し、クローズドクエスチョンで選択肢を狭めて整理していくとことで、利用者やその家族のニーズが具体化されていくでしょう。

ケアマネがインテークで質問すべき内容

対人サービスのひとつであるインテークをおこなう際、注意したい点がいくつかあります。

内容を改めておさらいしますが、いずれも人を相手にする仕事である点や調査の目的など、特別なことではありません。

利用者の生活情報に関する質問

利用者の日課や生活リズム、趣味や社会との交流について聞く質問は以下のとおりです。

・「普段、朝は何時ごろに起きられますか?」
・「朝起きてから、午前中はどのように過ごされることが多いですか?」
・「お昼ごはんは、いつもどのようにされていますか?ご自分で作られますか?」
・「午後はテレビを見たり、何かされたりしますか?」
・「今、何か楽しみにしていることや、やってみたいことはありますか?」
・「これまでで、一番心に残っている思い出は何ですか?」
・「ご自身にとって、一番大切にしていることは何でしょうか?」
・「ご家族とは、普段どのくらいの頻度で連絡を取ったり、会ったりされますか?」
・「親しいご友人はいらっしゃいますか?どのような方ですか?」
・「近所付き合いはありますか?気軽に話せる方はいますか?」

このように、相談者の日々の過ごし方や興味関心のあることが明らかになります。こうすることで、その後のケアプランの作成や満足度の高いサービスの提供に役立つでしょう。

心身の状況に関する質問

利用者の心身の状況について質問する際は、ADL・IADLについて聞くのが基本です。

【ADL(日常生活動作)について】
・「ご自身で食事の準備や片付けはできていますか? 食事の際にむせたり、食べこぼしたりすることはありますか?
・「お一人で安全に入浴できていますか? お風呂にまたがることはできますか?」
・「トイレまでご自身で移動し、ズボンの上げ下ろしは問題なくできますか?」
・「顔を洗ったり、歯を磨いたり、髪をとかしたりすることはできますか?」
・「ご自身で服の着替えはできますか? ボタンを留めたり、靴下を履いたりする動作はどうですか?」
・「杖や歩行器などを使わずに室内を移動できますか? 」

【IADL(手段的日常生活動作)について】
・「ご自身で買い物に行くことはできますか?」
・「お薬は忘れずに飲むことができていますか?」
・「ご自身でお金の管理はできていますか?」
・「緊急時にご自身で電話をかけることはできますか?」

引用元:信州大学|高齢者の日常生活動作(ADL)と手段的日常生活動作(IADL)

利用者のニーズに関する質問

利用者のニーズに関する質問は、以下のような流れで自然に尋ねるのがベストです。

・「どのような場所で、どのように暮らしていきたいとお考えですか?」
・「『こういう時に少し手を貸してもらえたら助かるのに』と感じられることやご家族さま自身のことでお困りの点などはございますか?」
・「介護サービスのお話をさせていただきますが、初めてのことでご不安に感じていると思います。今の率直なお気持ちをお聞かせいただけると幸いです。」
・「毎日の生活の中で『ここがもう少し楽になったら嬉しいな』と感じることはございますか?」 お食事の準備でも、お風呂のことでも、何でも構いません。」

このように、利用者やその家族のニーズを具体的に掘り下げていきましょう。

インテークで注意すること

対人サービスのひとつであるインテークをおこなう際、注意したい点がいくつかあります。

内容を改めておさらいしますが、いずれも人を相手にする仕事である点や調査の目的など、特別なことではありません。

安心して話せる雰囲気づくりをする

まずは相手の表情や言葉、住まいの雰囲気をチェックしましょう。笑顔で相手に話しかけたり、落ち着いたトーンでゆっくりめに話したり、時にはジェスチャーを有効活用しながらコミュニケーションをはかることで、話しやすい雰囲気が生まれるはずです。

相手のニーズをくわしく把握するためにも、話しやすい雰囲気づくりを意識しましょう。

身だしなみ、言葉づかいや声のトーン

インテークをおこなうときは相手に不快な印象を与えないよう、清潔感のある身だしなみや言葉遣いなど基本的なポイントもおさえておきたいところです。声のトーンを意識すると、よりよい第一印象を与えられます。

威圧的な態度は論外ですが、強い口調にならないよう気をつける、くだけすぎた表現を避けるなど、丁寧な中にも立場をわきまえた対応を心がけましょう。

専門用語はできるだけ使わない

すべての仕事にいえることですが、介護業界でも「モニタリング」や「在宅」など、一般的にあまり用いられない言葉があります。

専門用語を使って説明しても利用者側が理解できないため、わかりやすい言葉に置き換えることを心がけましょう。やむを得ず専門用語を使う場合は、あらかじめ言葉の意味をきちんと説明するなどの配慮が必要です。

誠実に、でも流されないこと

インテークをおこなう際は相談相手に寄り添う姿勢や誠実な対応が求められますが、課題の把握は客観的におこなう必要があります。

インテークはケアプラン作成や信頼関係構築など、適切な介護サービスの入口です。問題や要望を引き出すという本来の目的から外れないよう、必要以上に感情移入して相談内容に流されないことをとくに意識しましょう。

インテークの目的や流れを理解して、スマートに臨もう

ケアマネジャーがおこなうインテークは、適切なケアプラン作成や介護サービス提供につなげるという重要な目的があります。

こまかい注意点まで説明しましたが、相談者の人格を大切にするという意識やインテークの目的を忘れなければ、それほどむずかしいことはありません。ケアマネジャーとして、よりスマートなインテークができるよう随時自己チェックをしておきたいところです。

インテークの場面では、利用者の生活情報や心身の状況、ニーズにまつわる質問をしていきます。状況に応じて適切な質問をしていく必要がある点がポイントです。

また、相手目線に立った話し方や質問内容、雰囲気づくりを心がけることも大切です。

また、ケアマネジャーとして重要なインテークをスマートに乗り切るために、改めてインテークの目的や流れを理解しておきましょう。

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