整体師と柔道整復師はどう違う?必要な資格や仕事の内容を紹介
整体師と柔道整復師の仕事は名称が似ているため、混同される方も多いようですが、実は必要な資格や仕事の内容に違いがあるため、当然働く場所も異なります。
それぞれの違いを正しく理解することで、ご自身が進むべき道やそのために学ぶべきことが見えてくるでしょう。ここでは、整体師と柔道整復師の仕事に違い、そして取得が必要な資格をご紹介します。
整体師と柔道整復師、大きな違いは必要な資格
整体師と柔道整復師の大きな違いは資格です。ここでは、それぞれの仕事で必要な資格についてくわしくご紹介します。
柔道整復師と整体師の違いとは? 柔道整復師の資格を取得するメリットを解説!
整体師は民間資格でもなれる
整体師は、カイロプラクティックやリフレクソロジーなどの民間資格を持っている人の総称です。整体師になるためには整体について学ぶスクールに通って民間資格を取得するか、もしくは未経験・無資格から整体院などで働きながら学んで資格を取得するという方法があります。
資格がなくても整体師として働けますが、手技を使って関節や骨の歪みを調整するため、技術や人の体の筋肉や骨格の仕組みに関する知識が必要です。それに加え、接客マナーなども学ばなければいけません。
柔道整復師になるには国家資格が必要
柔道整復師になるためには国家資格が必要で、受験資格は文部科学大臣が指定した学校や都道府県知事が指定した柔道整復師養成施設(専門学校・短大・大学)にて3年以上修得することです。
国家試験は毎年3月上旬におこなわれ、解剖学や生理学、一般臨床医学などを含む11学科の筆記試験があります。合格すると柔道整復師名簿に登録でき、資格の取得が可能です。この資格を持っていることで、整骨院や接骨院を開業させることが可能です。
整体師の仕事とは?
整体師の仕事はさまざまな種類があり、それぞれに資格も異なりますが、とくに多いのがカイロプラクティックやリフレクソロジーです。
まず、カイロプラクティックはアメリカで誕生した手技療法のことで、欧米では国家資格として認められています。手技によって背骨や骨盤の歪みを調整し、身体の機能改善や自然治癒力を高めるのが特徴。身体のあらゆる不調の症状を改善させるのが目的です。
一方、リフレクソロジーは手技を用いて足裏や手の平、耳などを刺激し、疲労回復や血液やリンパの流れをよくする療法のことをいいます。リラクゼーション効果もあり、施術に痛みがともないません。そのため、高齢者施設などでよく用いられています。
柔道整復師の仕事とは?
柔道整復師の仕事は、おもに3つです。まず「整復法」によって脱臼や骨折などの患部をもとの状態に戻し、その後「固定法」によって患部を三角巾、包帯、ギブスなどで固定します。
その後おこなうのが、自然治癒を高めて機能回復を手助けする「後療法」です。いわゆるリハビリのことで、電気や冷却、光などのエネルギーを使って患部に刺激を与える物理療法、長期間のギブスなどによる筋力低下を防ぐ筋力トレーニングなどの運動療法があります。
単独で脱臼や骨折の整復固定をおこなうことが許されているのは、医師以外に柔道整復師しかいません。また、外科手術や投薬を使用せずに手技やテーピングなどで施術をおこなうのも、医師とは違う特徴です。ほかにも、捻挫や打撲なども医師の同意が必要なく、施術できます。
整体師ができないこととは
整体師と仕事の内容が似た仕事として柔道整復師のほかにあん摩マッサージ指圧師という仕事がありますが、どちらも国家資格となり、「その他の保険医療従事者」となります。しかし、整体師は国家資格ではないため、あん摩や鍼灸、マッサージ、指圧などの施術はおこなえません。
ほかにも、脱臼や骨折、捻挫などの怪我に対しても、手技を用いた応急処置やもとの機能に戻るための整復施術などをおこなってはいけないと決められています。また、整体師の施術は民間療法になるため、保険適用外です。
柔道整復師の施術にはどんなものがある?
接骨院や整骨院で施術をしてくれる先生が柔道整復師です。ここでは、国家資格である柔道整復師がおこなう3種類の施術についてくわしく解説します。
整復法
整復法は、骨折した箇所や脱臼した箇所をもとの状態に戻す施術法です。まずは問診からはじめ、視診・触診で体の状態を確認して、治療方針を決定していきます。そして、施術に入るという流れです。
おもに患部を圧迫したり、けん引したりして脱臼・捻挫時の関節のズレを正常な状態へと戻していきます。骨の近くにある神経や血管を傷つけないようにしながら施術するため、高度な技術と豊富な施術経験が必要です。
固定法
整復施術が終わると、ギブスや包帯などを用いて患部を固定します。脱臼や骨折では無理に患部を動かすと症状が悪化して治りが悪くなってしまいますが、固定療法をおこなって患部を一定期間固定することで患部の治癒の促進や転倒防止、痛みの軽減に効果的です。
固定法には、手術をしてプレートなどを入れて骨や関節を直接固定する「内固定」、皮膚の上からギブスなどを用いて固定する「外固定」がありますが、柔道整復師は外固定のみをおこないます。包帯の巻き方によって固定力が変わるため、怪我の症状に合った固定方法が求められる施術です。
後療法(こうりょうほう)
後療法はリハビリテーションとも呼ばれ、症状が回復期にあるときに用いられる方法です。おもに以下の3つの方法があります。
・物理療法
患部を温めたり冷やしたり、電気や超音波器具などを当てるなどして、刺激を与えることで自然治癒力を高める方法
・運動療法
骨折などで長期間固定していた場合は関節が固まり、治癒後に動きが悪くなることがあるため、端部を動かすことで機能を回復させる方法
・手技療法
手技を用いて神経や血液、筋肉に刺激を与える方法
柔道整復師の施術は保険適用される場合がある
柔道整復師は、骨折や脱臼などの怪我を手術しないで施術することが可能です。このような理由から柔道整復師の仕事は医療類似行為にあたり、患部を視診・触診などによって症状を把握し、人間が本来持つ自然治癒力を活かした施術をします。
また、国家資格である柔道整復師の施術は、外傷性が原因の怪我の場合は保険適用されるのが特徴です。ただし、慢性的な肩こりや腰痛で整骨院にて施術を受けた場合は保険適用とはならないため、注意しましょう。
整体師や柔道整復師のおもな職場を紹介
整体師と柔道整復師は手技などで体の不調を改善させてくれることは共通していますが、所有している資格や仕事の内容が異なるため、働く職場は同一ではありません。
ここでは、整体師と柔道整復師が働くことになるおもな職場についてくわしく解説します。
整体師|整体院やカイロプラクティック
整体師の勤務先としてもっとも多いところが、整体院やカイロプラクティック院です。ほかにも、リフレクソロジーなどを用いてリラクゼーションサロンや介護施設や病院などでも働く方もいます。
また、整体院などの施設を開業するにあたり、必要な資格や経験年数などは決まりがありません。そのため、開業届を提出するだけで独立・開業ができます。
柔道整復師|整骨院や接骨院
柔道整復師の資格を持っている方の職場は、整骨院や接骨院、病院、介護施設など多岐に渡ります。
最近では身体の筋肉や構造の知識を活かして、スポーツジムやプロスポーツ選手と契約をしてスポーツトレーナーとして働く方、福祉施設での機能訓練指導員として働く方も増えてきているようです。
柔道整復師は国家資格!自分にあった資格を取得して活躍しよう
整体師と柔道整復師は一見似ているようですが、柔道整復師になるためには国家資格が必要で、整体師は民間資格を取得してスキルアップを図れるものの資格は必要ないという点が大きな違いです。
そのため、仕事内容も異なり、働ける職場も違ってきます。それぞれの仕事内容や働く職場を考慮して、自分の目標に合った資格を取得しましょう。
引用元サイト
日本医学柔整鍼灸専門学校 整体師とは?資格は?柔道整復師との違いは?