機能回復だけでなく、利用者様の生きがいづくりをお手伝い/介護リレーインタビュー Vol.36【機能訓練指導員 菊地さん・平林さん】#2
介護の世界で働く方々のインタビューを通して、介護業界の魅力・多様な働き方を紹介する本連載。前編に引き続き、リハビリ型デイサービス「パライソ大和」で働く菊地さんと平林さんからお話を伺いました。
運動療法だけでなく「ほぐし整体」を得意とするパライソ大和。マッサージ技術向上のため転職してきた菊地さんと、この仕事がきっかけで相手の体を整える面白さに気がついた平林さん。勉強熱心なお二人は、業務を通して日々成長を続けています。
不調を治すだけがゴールじゃない!大切なのはコミュニケーション
――お仕事の楽しさややりがいをどこに感じていますか?
平林:マッサージで毎回お体に触れることで、相手の変化を感じ取れるところ。リハビリを続けることで、体の変化だけでなく、生活の質の向上にもつながっているというお話を聞くと、すごく嬉しいです。
菊地:施術面以外だと、利用者様とのコミュニケーションですね。少人数制で一人ひとりとの距離が近いため、カジュアルに話せるし、色んな思い出話やおばあちゃんの知恵袋みたいなお話を聞けて面白いです。
――お二人とも介護未経験からの転職ですが、入社当時は高齢者の方との関わりに戸惑いなどは感じましたか?
菊地:うーん、僕は特に困ることはなかったかな。前の職場でもシニア世代の患者さんと接することは多かったため、比較的スムーズに順応できた気がします。
平林:すごい…。私は戸惑うばかりでしたよ(苦笑)。介護もマッサージもできない状態での入社だったので、自分ができることと言ったら利用者様と仲良くなること。先輩からも「この仕事は相手と話すことが重要だ」と教わったため、とにかくコミュニケーションを取ろうと四苦八苦しましたね。1対1なら平気な場面も、数人の利用者様と私一人というシチュエーションになった途端、場を盛り上げなきゃと焦ってしまい結局うまくいかない…なんてこともありました。
――利用者様との円滑なコミュニケーションのために工夫していることはありますか?
菊地:事業所の行き帰りも楽しい時間だと感じてほしくて、送迎の車中での会話も大切にしています。出勤前にニュースをチェックして仕入れた話題を振ったりと、地味に努力してるんですよ(笑)。
平林:車内はかなり盛り上がってるみたいで「菊地さんったらこんなこと言うのよ」なんて、皆さん大笑いしながら部屋へ入って来られるんです。リハビリ前に利用者様のテンションを上げてもらえてスタッフは助かってます。
――事業所全体の和気あいあいとした雰囲気が感じられます。では、施術面での工夫も教えてください。
平林:ほぐし整体に関しては、毎回ちょっとした変化を付けるようにしています。ストレッチを取り入れてみたり、施術を始める部位を変えたりですね。また、コリや痛みがある場所ばかりでなく、関連する部位を重点的に整えることもあります。
菊地:皆さん週2回いらっしゃっているので、まずは飽きさせないことが重要かなと。ルーティンにならないよう、あの手この手で試行錯誤しています。
一人前の施術者育成を目指し、周囲が全力でフォロー
――現在、こちらでは何人くらいの方が働いているのですか?
菊地:パライソ大和では8名のスタッフが働いています。もう1店舗はこちらより広いので、もう少し人数が多いですね。僕は勤続8年目のベテラン組ということで、新しいスタッフが配属されると、メンターの役割を担うことが多いです。
――平林さんから見て、菊地さんはどのような先輩ですか?
平林:相手を成長させてあげようという気持ちが強く、頼りがいのある先輩です。スタッフの入社が決まると、菊地さんが事前に色々な準備をしている姿を目にします。研修資料の作成をはじめ、私たち周りのスタッフに「新人さんが入るから協力してね」とわざわざ声をかけて、新しい方が職場に早く馴染めるよう根回しも欠かさないんですよ。
――面倒見の良い先輩ですね!
菊地:いやいや(苦笑)。会社としての業務マニュアルもあるんですが、現場の人間として付け加えたいなと思うことが毎回出てきてしまうんですよね。スタッフの質の底上げという面でも、今後は統一したマニュアルを作っていきたいと考えています。
――平林さんのように、無資格・未経験からの入社でも問題ないのでしょうか?
菊地:やる気と熱意さえあれば大歓迎ですよ!むしろ、初めての方はこちらが教えたことを素直に吸収してくれるため、成長が早いと感じます。僕らが一生懸命指導するので、興味をお持ちの方はぜひチャレンジしてみてください。
理想の事業所像に向かって日々努力を!
――最後に、これからの目標を教えてください。
平林:利用者様が毎日でも通いたいと思える事業所が私の理想。技術の向上を目指すのはもちろん、驚きや楽しさを感じてもらえるような新しい仕掛けを考えていきたいです。
菊地:常々、代表が僕たちスタッフに対して言うのが「自分の親を任せたいと思える事業所にしよう」という言葉です。利用者様だけでなくご家族からも「パライソなら大丈夫」と太鼓判を押してもらえるような、質の高いサービスを提供していきたい。目指すは中野区ナンバーワンのデイサービスです!
「ここに来ることを通して、利用者様の日常がより充実した毎日になるように」と話してくれたお二人。仲間とお喋りしながらリハビリに励む利用者様たちの姿に、体の機能回復だけでなく、高齢者の生きがいづくりや居場所として、パライソ大和は大きな役割を果たしていると感じられました。
自身の技術向上とともに、地域貢献にもつながるのがリハビリデイの仕事。他ではなかなか味わえない充足感・やりがいを見つけられるのではないでしょうか。
取材・文/黒木絵美
撮影/高橋進