ほぐし整体で心も体も穏やかに。リハビリデイで高齢者の日常を支援/介護リレーインタビュー Vol.36【機能訓練指導員 菊地さん・平林さん】#1
介護の世界で働く方々のインタビューを通して、介護業界の魅力・多様な働き方を紹介する本連載。今回は、株式会社Welfare Worksが運営するリハビリ型デイサービス「パライソ大和」(所在地:東京都中野区)へお邪魔しました。
同施設で働く菊地さんと平林さんは、機能訓練指導員として高齢者の日々の生活を支援しています。前編では、お二人が現在の仕事に就いたきっかけや、リハビリデイでの業務内容についてお話を伺いました。
それぞれの想いを胸にスタートしたリハビリデイの仕事
――お二人はパライソ大和に勤務されてどれくらい経ちますか?
菊地:8年目です。医療系の専門学校を卒業した後、3年半ほど整骨院を経験し、現在の職場へ転職してきました。このパライソ大和はちょうどオープン前で、立ち上げの諸々へも関わらせていただきました。
平林:私は7年目ですね。以前は動物病院で動物看護師として勤務していました。
――菊地さんが、整骨院から高齢者に特化したリハビリデイに移った理由は何だったのでしょうか?
菊地:以前勤めていた整骨院では保険適用の治療が多く、施術できる内容にかなりの制限がありました。患者さんの身体を5分程度サッと触れただけで終了とか、治療とも呼べないような施術の毎日にストレスが溜まる一方で(苦笑)。もっと時間をかけて相手と向き合い、身体の不調を取り除くお手伝いができればと思いました。
また、マッサージ技術を追求してみたいという気持ちもあったため、手技を提供できる職場を探したところ、パライソの求人を見つけたんです。リハビリデイの中では珍しく、整体を売りとしている点に惹かれました。色々な体の痛みや不自由さをお持ちの利用者さんがいらっしゃるだろうし、存分に技術を研鑽できるんじゃないかという期待を持って入社しました。
――ヘルスケア一筋の菊地さんと違い、平林さんは異業種からの転職なんですね。
平林:そうなんです。介護もリハビリもまったくの未経験でしたが、運良く採用していただきました(笑)。
動物看護の道に進んだのは、飼っていた愛犬のためでした。残念ながら犬は亡くなってしまったんですが、ちょうど同じ時期に今度は田舎の祖父に介護が必要となってしまって。知識も経験もない私は祖父に何もしてあげられず、自分自身を歯痒く感じました。それがきっかけで、高齢者介護の世界に興味を持つことに。祖父や家族の役に立ちたいという思いもあり、思い切って転職を決めたんです。
「ほぐし整体」で利用者様のやる気スイッチをON!
――パライソ大和で提供しているサービス内容を教えてください。
菊地:介護保険適用で「ほぐし整体」と「機能訓練」を中心とした3時間のリハビリデイサービスを提供しています。赤外線治療やメドマーという医療用マッサージ機器も置いてあり、利用者様それぞれの体の状態に合わせたプログラムを、順番に受けて回ってもらうというシステムですね。9時〜12時・13時半〜16時半の2部制で受け入れており、週2回利用される方が多いです。
――他のデイサービスと比べて、一番特徴的なのはどこですか?
菊地:「ほぐし整体」です。一般的なリハビリデイではそこまで本格的なマッサージは行わないそうですが、うちはお一人あたり最低でも20分は整体の施術を受けていだいています。
――利用者の皆さん、とても気持ち良さそうに整体を受けていらっしゃいますね。
平林:リハビリと聞くと、どうしても「ツライ」「面倒」といったマイナスな反応になってしまいがちです。でもこちらでは整体というご褒美(笑)があるので「よし、今日も頑張るぞ!」と、他のプログラムにも意欲を持って参加してもらえるように思います。利用者様には、ここへ来るのを楽しみにしていただくことが私たちスタッフの目標ですね。
奥深いマッサージの世界。さらなる技術向上が目標
――菊地さんはマッサージ技術を磨くために転職したとのお話でしたが、実際に働いてみていかがですか?
菊地:一人ひとりへの施術時間が長いのと、同じ方を定期的に見ることができるため、身体の変化をしっかり感じられるのがとても勉強になっています。施術後「気持ち良かったよ」なんて笑顔で言っていただけるとモチベーションもアップするし、もっとスキルを身に付けて、より満足してもらえる時間を提供したいと思っています。
――未経験でスタートした平林さんも、今は整体もされているんですよね?
平林:そうですね。最初の業務は転倒予防体操の指導から始まりましたが、色々と勉強して今はすべてのプログラムを受け持っています。仕事と並行して専門学校に通い、鍼灸師とあん摩マッサージ指圧師の資格も取ったんですよ。
――努力なさったんですね!
菊地:本当にすごいと思っています。大人になってから新たな勉強へチャレンジするって、気力も体力も相当必要なことですよね。僕も見習わないといけません。
平林:そんなそんな、やめてください(笑)。学校に通っている間は週1日しかシフトに入れなくて、周囲のスタッフに迷惑をかけました。それでも社長は籍を置いたままにしてくださって、学びを実践する機会を与えてくれたことに感謝しています。現在はこちらで週5日勤務しながら、個人事業主として週に1回訪問マッサージの仕事もしています。
――お忙しい毎日ですね。副業の訪問マッサージは、もっと技術を向上したいという思いからですか?
平林:副業でやっているのは健康保険適応のマッサージのため、パライソで行う施術に比べて「治療」という概念がより強いんです。せっかく取得した鍼灸・あん摩の資格を生かすためにも、医療寄りの経験も積んでみたいと考えてチャレンジしています。
今回のインタビューは、利用者の皆さんが賑やかにプログラムを受けている中でお話を伺うことに。周囲からは「素敵な写真を撮ってあげてね!」なんて声をかけていただき、お二人と利用者様の距離の近さや親しさが感じられ、とても微笑ましい気持ちになりました。
後編では、機能訓練指導員の仕事のやりがい、利用者様との上手なコミュニケーション方法などについてお聞きします。
取材・文/黒木絵美
撮影/高橋進