介護職の派遣とは? 派遣で働くメリットと注意点|自分に合った派遣会社を選ぶ3つのコツ
かつては正社員や契約社員、パートとして働いている方が多かった介護職ですが、最近は派遣で働く方も多くなっています。介護職での派遣は派遣会社に希望を伝え、派遣会社に紹介された介護施設で介護スタッフとして働くのが一般的です。
今回は、介護職の派遣で働く際に知っておきたい求人情報やメリットと注意点、自分に合った派遣会社を選ぶコツなどをくわしく解説します。
介護職員は派遣でも働けるの? 求人情報を調査!
結論からいってしまえば、介護職員でも派遣で働くことは可能です。しかし、介護職員が派遣として働くには、きちんと仕組みを理解しておく必要があります。まずは、介護職の派遣について詳しく解説していきましょう。
どちらがおすすめ? 登録型と紹介型
派遣と会社直で雇用される契約社員とは異なるものであり、契約社員は雇い主が勤務先の会社になります。一方、派遣の場合は雇い主が勤務先ではなく、自身が契約している派遣会社です。
派遣には「登録型」と「紹介型」の2つのタイプがあるので、自分の働き方に合ったタイプのものを選ぶ必要があります。
どちらの場合も派遣会社の担当がしっかりと本人の希望する条件や、職種をヒアリングして最適な求人を紹介してくれるでしょう。さらに、採用されやすくなるようなアドバイスも受けることも可能です。
登録型派遣とは?
「登録型」の場合は、まず派遣会社に登録し、派遣会社を経由して希望する案件に応募します。希望先に派遣されることが決定したときは、派遣会社と有期の雇用契約を交わし、派遣先で仕事をします。
派遣期間が終了すると派遣会社との雇用契約が終了し、次の派遣先が決まるまでは登録だけの関係に戻るシステムです。登録型派遣は以下のような方に向いています。
・期間限定で働きたい
・働く時間や期間が限られている
・いろいろな現場で働きたい
・スキルアップをしたい
登録型派遣は長期間のものから、1日のみ、中には数時間だけという募集もあるので、主婦や学生をはじめ、副業で利用している方、スキルアップ目的の方も少なくありません。
紹介予定派遣とは?
「紹介予定派遣」は、派遣期間終了後に、派遣先と正社員として直接雇用契約するシステムです。しかし必ず直接雇用するとは限らず、働きによっては契約中止となるケースや、自分から契約を断ることも可能で、派遣先と本人双方が合意した場合に直接雇用となります。
派遣期間は長ければ6カ月ほどになることもありますが、平均すると3カ月程度です。紹介予定派遣に向いているのは次のような方です。
・正社員として働きたい
・正式な入社前に現場の雰囲気などを知りたい
登録型派遣・紹介予定派遣での介護士求人は多い?
もともと介護業界は人材不足のため、正社員だけでなくパート・アルバイトの募集も多い業界です。派遣でも介護士求人は多いですが、紹介予定派遣よりは登録型派遣の求人が多い傾向にあります。
派遣の給与・時給はどれくらい?
給与は低めといわれている介護職の給料ですが、実際に派遣で働く場合の給与・時給はどれぐらいなのかを確認しておきましょう。
・時給:1,000~2,350円
・月収:20~40万円
・日給:2万5,000円~3万5,000円
介護施設では資格がなくても働けますが、介護系や医療系の資格を所有しているほうが給与は高い傾向にあるようです。
介護職員が派遣で働くメリットとは?
介護職員が派遣で働くメリットには、さまざまなものがあります。ここからは介護職員が派遣で働くメリットをご紹介しましょう。
施設が合わなくても辞めやすい
正社員や契約社員など施設と直接雇用契約していると簡単には辞められないでしょう。一方、派遣社員であれば雇用期間が決まっているので、合わなければ契約期間満了で退職できます。
紹介予定派遣の場合はそのまま正社員へ
正社員として働くことを希望するものの、いきなり入社するのは不安という方は、紹介予定派遣であれば施設の雰囲気や人間関係・実際の作業を派遣期間中に確認でき、契約終了後にお互い合意すれば正社員になれます。
勤務時間や日数、仕事内容を選べる
派遣社員の仕事内容が正社員とあまり変わらない施設もありますが、助手や補助のみというケースもあるようです。加えて、派遣社員は正社員ほど強い拘束を受けない点も魅力といえるでしょう。
また、夜勤のない求人もあるほか、雇用期間も超短期なら1日や数時間といったものもあり、自分の都合・希望に合わせた働き方が叶うでしょう。
サービス残業がない
直接雇用の場合、忙しさのあまり仕事時間があいまいになってしまい、ついサービス残業になってしまうというケースもあるでしょう。
しかし、派遣会社経由で勤務する場合、派遣会社がしっかりと勤務時間を確認しているので、残業が発生した場合は必ず残業代を支払ってくれます。そのため派遣社員に残業させる施設は少ないようです。
時給が高い!
介護職員の派遣の給料は、平均すると時給1,000円以上のことが多く、場所によっては2,000円を超えることも。医療事務や歯科衛生士の時給と比べると高い傾向にあります。ときには、看護師や医療研究職の時給と並ぶ場合もあるようです。
派遣の給料が高いのは、人手不足を一刻も早く解消したいという施設の考えも影響しています。ハローワークなどで募集すると、適切な人材をみつけるのに時間がかかってしまうことも。その点、派遣会社に頼めば、希望するスキルを持つ人材をすぐに紹介してもらえるため、多少高くついても派遣会社に依頼するといった施設が多いようです。
資格取得用に実務経験が積める
資格が必要ない介護職もありますが、ステップアップとして「介護福祉士」や「ケアマネージャー(介護支援専門員)」の試験を受けるには実務経験が必要です。
実務経験は派遣で働いた日数も換算されるため、家庭の事情などでフルタイム勤務ができなくても、派遣で働くことで必要な経験日数を得られます。
有給を取得しやすい
雇用形態を問わず、6カ月以上勤務すると介護派遣社員も正社員と同様に有給休暇を取得できます。
雇用主も介護施設ではなく派遣会社になるため、人手不足などの理由がない限りは有給の申請も通りやすいです。
相談しやすい環境がある
仕事するうえで、さまざまな悩みが生じることもあるでしょう。派遣先の介護施設で悩みを相談できるような環境であればよいですが、悩みの原因が勤務している施設のことだとすると相談しづらいのも事実です。
そんなときでも、派遣であれば派遣会社に相談しやすい環境が整っています。万が一、相談しても改善されない場合には派遣先を変更することも可能です。
無資格・未経験でもスタートできる
介護の経験や資格がないと、派遣では働けないと思われがちです。しかし、介護派遣の求人では未経験や介護系の資格を所有していなくても働ける施設が多数あるため、無資格や未経験でもOKな職場を優先して紹介してくれます。
さらに正社員なら未経験NGとしているところでも、派遣なら未経験OKとしている職場もあるため、無資格・未経験でもスタートしやすい環境が整っているのが特徴です。
いろいろな職種を経験できてスキルアップにつながる
ひとくちに介護施設といっても、老人ホームや特別養護老人ホーム、デイサービスなどさまざまな種類があります。
そのため、派遣先での契約が終了した時点で、違う職種や施設に移れば経験を積むことはもちろん、スキルアップができるでしょう。
転職や就職活動のサポートが受けられる
派遣会社に登録するときに、勤務形態や待遇・給与などの希望を伝えておくと、派遣会社がその希望に合うような施設を探して紹介してくれます。
実際に勤務する際には、入社に必要な書類の用意や入社手続きもしてくれるので安心です。また、紹介された施設が合わない場合は、派遣会社に相談すればサポートも受けられます。
事業所面接がないため働きはじめるまでのハードルが低い
派遣社員として働く場合は、あくまでも派遣会社と雇用契約を締結しているため、紹介される介護施設との面接はありません。面接がないため、働くハードルが低いのもメリットでしょう。
また。施設によっては顔合わせとして施設見学をするところもあります。そのときには、派遣会社の人も同席するため安心です。
介護職員が派遣で働くときの注意点とは?
派遣社員として働くことは、メリットだけではありません。勤務してから後悔してしまわないためにも、働く前に介護職員が派遣で働くときの注意点を確認しておきましょう。
ボーナスがない、福利厚生が薄いことも
正社員であれば支給される施設が多いボーナスですが、派遣社員の場合、支給されることは少ないようです。ただし、大手の派遣会社になると一定条件を満たすことで手当が支給されることはあります。
ボーナスと合わせて気になるのが、産休や社会保険などの福利厚生でしょう。こちらも正社員の場合は利用できますが、派遣社員の場合、利用できるかどうかは契約する会社によるようです。福利厚生がしっかりしている大手の派遣会社でも、雇用期間などの条件を満たすことができない場合は福利厚生がつかないことも多いようです。
交通費も別途支給にならず、支給されない派遣会社もあるので、福利厚生や交通費に関しては派遣会社との契約時だけでなく、派遣先との契約前に確認しておきましょう。
気に入った職場でも任期終了で終わりになることも…
派遣の募集はあらかじめ勤務期間が決められていますが、状況によっては期間延長になることもあります。
一方、自分が気に入って長く働き続けたいと思っても、施設や派遣会社側の都合で契約期間途中にもかかわらず雇用契約が終了することも。介護業界の派遣は、ほかの業種と比較すると勤務期間が不安定な傾向があるので、安定した環境で働きたいという方には向かないでしょう。
派遣社員なのに仕事量が正社員並み…
介護職の派遣は1日数時間といった働き方も可能ですが、フルタイムの場合は正社員並みの働き方を強いられるケースもあります。
介護職は人手不足の傾向が強いので、契約にない業務を強要されるケースや、周囲から認められるほど頑張ってもボーナスや昇給がなく、不公平と感じる方もいるようです。
社員との壁を感じる・風当たりが強いことも
派遣社員を受け入れるようになって日が浅い介護施設では、派遣に対する理解がないところもあります。たとえば、「なぜ派遣社員は定時で帰れるのか」と思われたり、経験が浅いのに「派遣=即戦力」を求められたりすることもあるでしょう。
このようなことが重なると派遣先での風当たりが強くなり、ときには仕事がしづらくなることもあるようです。
派遣で働くのがおすすめなのはこんな方!
小さな子どもがいてフルタイムで働くのが難しい方や結婚や育児、介護などでブランクがあって仕事に復帰するのが不安な方は、派遣で働くのがおすすめ。なぜなら、派遣会社が扱う求人は未経験でもOKな介護施設が多く、ブランクがあっても働きやすいからです。
また、派遣は契約期間が決まっているため、スキルアップのためにいろんな施設で働きたい方にもおすすめの雇用形態でしょう。
自分に合った派遣会社を選ぶ3つのコツ
介護に特化している派遣会社はたくさんあり、それぞれに特色があるため、どの派遣会社を選べばいいか迷ってしまうこともあるでしょう。ここでは、自分に合った派遣会社を選ぶコツをご紹介します。
1. 介護の仕事に対するサポートが充実しているか
派遣会社を選ぶ際は、介護の仕事に対するサポートが充実しているかどうかをしっかりと確認しましょう。たとえば、無資格の人には資格取得の支援をしていたり、未経験や実務経験が浅い人のために研修を実施していたりする派遣会社がおすすめ。
ご自身のスキルアップのためにも、研修や就職先をしっかりとサポートしてくれる派遣会社であれば安心して働けるはずです。
2. 条件に合う求人が多いか
介護施設で働くにあたり、希望する条件は人それぞれです。派遣会社によって、未経験や無資格でも働ける施設の求人を多く持っているところ、勤務形態が選べる求人を多いところ、資格支援や研修が充実しているところなど、さまざまな特徴があります。
このような特徴のなかから、自分のライフスタイルや希望する条件に合う施設が多い派遣会社を選ぶとよいでしょう。
3. 社員の対応や会社の雰囲気が自分に合うか
派遣会社に登録する際は、社員の対応や会社の雰囲気もチェックしておきましょう。働きはじめると、仕事環境や人間関係などのさまざまな悩みが出てきます。
そんなときに親身なって相談に乗ってくれるような派遣会社であれば心強く、安心して働けるはずです。
介護職員の派遣は介護業界に興味がある方にもおすすめ!
介護職の派遣は、無資格・未経験の方でも比較的希望する勤務条件の施設を探しやすいです。そのため、介護の仕事に興味があっても、いきなり正社員として働くには不安という方にもおすすめできます。
また、派遣で働く場合、本採用の前に施設の雰囲気や業務内容を確認することも可能。派遣で働くメリットと注意点をしっかりと理解したうえで、介護職の派遣として働く方法も視野に入れてみてはいかがでしょうか。