20年の実績を誇る確かな技術と、「おもてなし規格・紺認証」の接客で、お客さまの身体も心も癒す唯一無二のサロンへ【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.78 ／リラクゼーション整体サロンふたたび 冬美さん】#1
「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい！ ヘルスケアのお仕事」。
今回お話を伺ったのは、「リラクゼーション整体サロンふたたび」の店長・冬美さん
「ふたたび」は、経済産業省が創設した「おもてなし規格認証制度」で「独自の創意工夫が凝らされたサービス提供者」として高レベルの「紺認証」を取得したリラクゼーション整体サロン。20年の実績を誇る技術はもちろんのこと、心の奥深くまで癒されるおもてなしで、多くのお客さまから愛されています。本来は、「新規のお客さまより定期的にメンテナンスケアをする常連のお客さまを大切にしたいため、取材はお断りしています」とのことでしたが、今回は特別にお話を伺うことができました。
前編では、冬美さんがこの道に進んだきっかけや、サロンの特徴でもある「おもてなし」について。また、すべての施術で取り入れているという「レイキヒーリング」についても教えてもらいました。
独立開店してから、お客さまやスタッフに守られた10年。
これからもこのご縁を大切にしていきたいです
――まず、セラピストになったきっかけを教えてください。
私は幼少期を中国で過ごし、約25年前、17歳の頃に日本に来ました。当時はまだ日本語もうまく話せず、できる仕事も限られていて、友人の紹介でリラクゼーション業界に入ったんです。それがきっかけですね。
とはいえ、父は医師取得者だったので、子どもの頃からツボや経絡の話、カッピング（吸い玉）などは身近な存在でした。実際に熱が出た時や風邪をひいた時などは、それらで治療してもらっていたので、効果も知っていましたしね。なので、たまたまこの業界に進んだとはいえ、すごく運命を感じました。同時に、私はすごく好奇心旺盛な性格なので、「面白そう！ 自分にすごく向いているかも！」って思ったんです。
――そうだったんですね。ちなみに、最初にお勤めされたのは？
温泉施設などの大浴場で働きました。そこでは指圧・ボディケアと足裏のケアをメインにしたマッサージをしていたんですが、のちに別の個人店に転職し、リンパオイルマッサージも行うようになりました。
転職した先のお店では、本当にたくさんのことを経験させてもらいました。当時からお客さまお一人お一人の個性を大切にして接客業務を行っていたので、ほぼ固定の常連さまを施術していましたね。接客はもちろん、店長から「新人スタッフに技術指導してほしい」っていう依頼もありました。
――すごく充実していたんですね。ちなみにそのお店の後が独立ですか？ 独立したきっかけは？
ちょうどその頃、2,980円の安いマッサージ店がたくさんできたんです。それまでは、1時間6,000円でやっているお店が多かったんですが、急に価格競争が激しくなって、私が勤めていたお店も単価を下げるという話になりました。
今でこそ、安さよりサービスの質の良さを求めていらっしゃるお客さまが増えていますが、当時はなかなか安さに勝てなくて……。特に、特徴が少ないお店だと、すぐにお客さまを取られてしまう。難しいですよね。
その価格変更の話をきっかけに、お客さまに対する気持ちだったり、一緒に働くスタッフへの思いやりだったり、お店の方針と私の考えとの間に少しずつすれ違いが増えて、独立を決意したんです。
――ここのサロンは今年で10周年とのことなので、10年前ですね。独立後、どうでしたか？
大変でした！ 日本に来て15年経っているとはいえ、まだまだわからない日本語もありましたし、当時はパソコンもまともに使えなかったので、ちゃんとしたメニュー表が作れなかったんです。お客さまに「改行ってどうするんですか〜⁉︎」って教えてもらいながら、なんとか作りました。業者に頼めばよかったんでしょうけど、更新したい時もすぐ実行できるため、結局自分でやりたくなっちゃって。HPも初めは業者に依頼していましたが、最終的には毎日接客以外の隙間時間や閉店後に独学で勉強して、自分で作りました。
とはいえ、この仕事が大好きで、さらによりたくさんの人に知ってもらうための努力だったので、前向きに頑張れました。それに何よりお客さまが温かかった。独立後も以前勤めていたお店のお客さまが来てくれたのですが、みなさん「このお店が営業を続けられるようにしなくちゃ！」って、まるで家族や友人のように協力してくれて。まだまだ新規のお客さまは少なかったですが、お店の運営で苦労はしませんでしたね。
――すごいですね！ みなさん冬美さんの人柄に惹かれていたんでしょうね。
本当にありがたいですよね。当時のお客さまは今でも通ってくれていて、長い方で17年ぐらいの付き合いになります。これからもこのご縁を大切にしていきたいです。
すべての物体に生命があり、霊魂が宿っていると思うから、
人だけでなく物体にも感謝の気持ちを持って接しています
――では次に、サロンの特徴を伺いたいのですが、こちらは「おもてなし規格認証制度」で「紺認証」を取得されているとか。
はい。商工会議所の勉強会で、講師から「こういう制度があるよ」って教えてもらったのがきっかけなんですが、その認証をもらうにはいくつかクリアしなくちゃいけない項目があって。でもよく見ると、うちのサロンは全部クリアしているな、と。最初は「コアとなるサービスの提案ができる：赤認証」を取得したんですが、その1〜2年後、第三者機関の審査もある「独自の創意工夫が凝らされたサービス提供者：紺認証」を取得しました。この制度は3段階のレベルがあるのですが、紺認証は上から2番目のレベルになります。
――紺認証をもらうには、どういう審査があるんですか？
覆面調査と、審査員が実際に来店して内部調査、さらに勉強会に参加する必要があります。覆面調査では、調査員の方がお客さまとしてサロンにいらっしゃいます。だいたいいつ頃いらっしゃるというのは教えてもらえるんですが、どの方かはわからない。ならいっそスタッフには黙っておこうと思って、内緒にしたまま調査を受けました。
そもそもうちでは、施術も接客も、基本的に各スタッフの判断に任せているんです。常にベストな対応をしてくれているので、いつも通りありのままの接客をしてもらうのが一番だと思ったのですが、正解でしたね。あとからみんなに話したら、びっくりして笑っていました。
――信頼関係がしっかり築かれているんですね。
そうですね。私が迷ったり困ったりしたとき、いいアドバイスをくれるのは、いつもスタッフやお客さま。だから普段からみんなの声を聞くように心がけていますし、最終的な決定は、基本的にスタッフみんなで行うようにしています。
――素敵です！ 他に、普段から大切にされていることは？
感謝の気持ちです。それは人だけでなく物体も同じ。私はすべての物体に生命があり、霊魂が宿っていると思っているんです。施術ベッドも道具も、なんなら待合室に置いてあるこのインテリアも、全てに霊魂が宿っている。だから「いつもありがとう」という気持ちでお手入れしています。清潔を保つというだけでなく、感謝の気持ちを伝えるために。そうすることで、私の心も磨かれているような気持ちになります。
お客さまが履いていらした靴も、磨ける靴であれば、お帰りになるまでに磨いておきますよ。「このお店に連れてきてくれてありがとう」という気持ちですね。気づく方も気づかれない方もいらっしゃいますが、サービスとしてやっているわけではないので、それでいいんです。
お客さまの身体と会話しながら、
一人一人に合わせたオーダーメイドの施術を行います
――では次に、施術メニューについて教えてください。HPを拝見すると、すごくたくさんのメニューがあるようですが。
施術法としてはたくさんあるんですが、基本的にはお客さまの身体に合わせて施術内容を決めているのでオーダーメイドです。
――では冬美さんの得意な施術は？
施術というより、お客さまの身体と会話をすることでしょうか。身体を触って、手の感覚で身体の状態をチェックして、施術方法を決める手がかりにします。常連のお客さまだとそれがわかっているので、「どこか最近気になるところはありますか？」と聞いても「自分で探して」って言って、何も教えてくれないんですよ（笑）。
――なるほど（笑）。ちなみに「レイキヒーリング」とは？
「レイキ」は、いわゆる「手当て」。「レイキヒーリング」は19世紀に臼井氏が創始した日本発祥のヒーリング技法です。小さい頃、お腹が痛い時にお母さんがお腹に手を当ててくれると安心して、痛みが和らぎましたよね。手を当てるというそれだけのことで、人は深く癒されるんです。これもレイキの特徴ですね。
レイキは、身体の不調箇所などに手を当てることで、自然治癒力や自己回復力、免疫力を高め、ストレスによる疲れや不安、怒り、悲しみなどのネガティブな感情を軽くするための技術であり、リラックス法として効果的です。みなさん「温かいカイロを当てられている感じ」とか、「雲の上にふわ〜っと浮いているような感覚で、寝ちゃいそうになる」とおっしゃいます。常連のお客さまには非常に好評ですね。
うちでは基本的に、施術前にお客さまの頭や胸に手を当て、レイキヒーリングを行なっています。これによって呼吸のリズムが整うんです。呼吸が整うとリラックスした状態になるので、効果的な施術ができるんですよ。目元に当てれば眼の疲れ、頭に当てればストレスなどでオーバーヒートした脳の疲れも和らぎます。
実は多かれ少なかれ、みんなレイキが出ているんですが、日々のストレスや生活習慣で、体の中のエネルギーの流れが滞ると出にくくなるんです。ここのスタッフは、その流れをクリアにするトレーニングをしています。そういうセミナーもあるので、チェックしてみるといいと思いますよ。
人にも物体にも感謝の気持ちを大切にして、真摯に向き合われている冬美さん。「いつも周りに助けられているんです」とおっしゃっていましたが、穏やかで優しく、謙虚な人柄こそ、たくさんの人から愛される秘訣であり、また、たくさんの人を癒してきたのではないかと思いました。
後編では、現在の働き方やこの仕事のやりがい、未来のセラピストに向けたアドバイスを伺います。
取材・文／児玉知子
撮影／喜多二三雄
