検索需要を考えた出店と精度の高いネット広告による集客が成功のカギ【メルメイク 栗坂泰輝さん】#2
地方でヘルスケア事業に携わっている方に、集客や売り上げアップのための取り組みについてインタビューする本企画。前回に続き、愛知県名古屋市を中心に展開しているパーソナルトレーニングジム「メルメイク」の代表、栗坂泰輝さんにお話をお聞きします。
後編では、メルメイクがネット広告に力を入れている理由、FCのメリットについてお聞きします。
お話を伺ったのは…
「メルメイク」代表 栗坂泰輝さん
愛知県名古屋市を拠点に広告事業を展開。2019年4月、パーソナルトレーニングジム「メルメイク」をオープン。以降、愛知県内に5店舗、横浜、福岡に各1店舗を展開。
立地選びと集客力はジム開業に欠かせない要素
――前回、地方のジム運営で大切なことの1つとして「立地」とお伺いしました。
大切なことと聞かれたら、まずは「立地」だと思います。これは地方に限りませんが…。
まずは検索の需要が、ちゃんとあるのか。これはお客様がいるのかに直結します。
そこからマーケティングによって、客層に合わせた物件を考えます。電車移動なら駅近なのか、車移動なら駐車場があるのか。他にも、競合がどのくらいいるのかなど、いろいろな要素が絡んできますが、そのエリアによって適切な立地を選ぶことが重要。さらに初期費用や固定費などのバランスも総合的に考えての「立地」選びが大切なんです。
――検索の需要というお話がありましたが、ジム運営で大切なこと2つめの「集客力」にもつながりそうです。
はい。集客力については、とにかくネットマーケティングですね。これも地方に限らず、東京や大阪、福岡などの主要都市に展開しているパーソナルジムであれば、ネットマーケティングは大前提だと思います。業績がのびているところは、どこも取り組んでいることです。
たしかに以前はポスティングだけでも全然よかったんです。それでももちろん集客はできる。でも現状これだけ競合他社が増えている以上、ネットマーケティングに取り組まないと、生き残るのは難しいだろうという印象です。
――メルメイクさんがネットマーケティングの中でとくに力を入れているのは?
ネットマーケティングは基本的にすべて取り組んでいます。ここだけしたらいいということはないんですが、とくにリスティング広告や広告ページの改修には、かなり力を入れています。
サイト上の記事はもちろん、LPランディングページなどの広告ページもいろいろ用意して、まずは入り口を増やしてあげること。メディア露出もそうですね。個人ブロガーさんやメディア媒体に掲載してもらうことで、新規の方の入り口を増やす。
そのうえで、精度の高いページで問い合わせを増やします。ただ見られるだけじゃなく、どんな心理で問い合わせまでたどり着くのかなど、いろいろなデータを加味したうえで広告ページの精度を上げていく。そこまで含めての「集客力」が大切なんです。
広告で新規を獲得し、接客で継続を作る
――入り口を増やして、しっかり獲得できる導線を作るんですね。新規の方が結構入ってきますか。
そうですね。新規の顧客獲得ができないと、会社を大きくしていくのは難しいですから。うちは紹介で成り立っているとか、手持ちの顧客がいっぱいいるから独立するという人もいますけど、それはすごく危険だと思います。既存顧客の中に、30年40年続けて来てくれる人が何人いるのか。5年もすれば生活スタイルは変わりますよね。そこを頼りにやっていくのは違うと私は思います。
――新規で獲得した顧客を継続につなげていくことも大切かと思うのですが、その点の取り組みは?
通っていただくためには、理由付けというものが必要です。それはお客様ごとに違います。トレーナーの存在だったり、生活や嗜好に合わせた食事指導のサポートだったり、完全個室という業務形態だったり。
それら継続のための理由付けにつながるもののベースを高めるには、トレーナーの質の高さがすごく重要です。だからメルメイクでは、高いレベルでの接客を徹底しています。言葉遣いや挨拶の仕方など、すごく細かくて当たり前に感じる部分でも、できていない人はかなり多いんです。
開業するときから大切にしている思いでもあるのですが、私は、パーソナルトレーニングジムは結局のところ接客業だと強く思っています。だからそこは徹底してスタッフにも伝えています。
フランチャイズはトレーナーにも経営側にもメリットが多い
――メルメイクさんはFC展開もされています。FCの経営面でのメリットは?
コロナ前であれば、店舗展開のスピードが早いというのはありました。でもコロナ以降は、みんな慎重になっていたので、直営で出店したほうが早くなりましたね。そこも少しずつ戻ってくるかなというところです。
今すごくFCのメリットを感じるのは、トレーナー本人にお金を還元できること。トレーナーの仕事って働き方としてはすごく忙しいのですが、年収ベースで考えると相当低くて、やりがい一択でしているところが結構ある。だからこそですが、トレーナーとして入社する方は、今後自分で開業したいという気持ちを持っている方が多いんです。
その点FCでオーナーになってもらえば、同じ仕事でも還元できるお金が、給料よりもアップします。するとモチベーション高く仕事ができるんです。
さらに自分のお店を持つことによって、責任感が生まれます。責任を持って仕事をすると、あらゆる面が向上するので、結果的にお客様の満足度が上がる。実際、オーナーさんたちの方が、お客様の継続率は高いんですよ。
そこでまた口コミなどで良い評判が広がれば、ブランド自体の価値が上がる。結果、全店舗に良い影響が生まれるので、経営面でもすごくメリットが大きいと思います。
――今後もFC展開のご予定はありますか?
次に出すところは直営なんですが(2022年1月初旬に女性専用の名古屋店をオープン予定)、今後もフランチャイズ展開は視野に入れています。店舗展開として、FCメインで募集していって、全国展開できたらと。
でもまずは、愛知県内の店舗数を増やしたいですね。「愛知県ならメルメイク」と言われるところまでできたら、すごくいいなと思っています。
――最後に、これから地方でジムを開業する方にアドバイスをお願いします。
ここ数年で、独立する人たちがすごく増えています。だからこそ、いつか開業しようと思っているなら、できるだけ早く独立したほうがいい。勉強してから独立しようと思っていると、状況がどんどん変わってしまいます。
ある程度のことを学んだら、あとは開業しながら学んでいったほうがいい。自分で経営をしたほうが、学べることも多いですよ。
フランチャイズのサポートも充実させているメルメイク。ネット広告の基盤のある栗坂さんのサポートは、地方開業でも心強いのではと感じました。これから地方開業を考えている方は、参考にしてみてくださいね。
取材・文/山本二季