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ヘルスケア 2023-02-12

自分で治してもらう。患者さん主体で「何もしない」治療院 「姿勢改善サロンRoots」

2015年、世田谷区用賀にオープンした「姿勢改善サロンRoots」。姿勢改善によって痛みを根本的に解決していくサロンとして人気を集め、なかには20年来の慢性痛を改善した患者さんもいるといいます。院長の髙品昇平さんは「このサロンの方針は『自分の体は自分で治す』で、患者さんが行うセルフケアが主体です。僕は何もしていないんです」といいます。

前編ではどのようにして患者さん主体の治療を実現しているかを伺いました。見えてきたのは髙品さんの痛みの原因を見つける高いスキル。1回の施術で結果を出すことによって患者さんが納得し、主体的にセルフケアに取り組んでくれるようになるそうです。

今回、お話を伺ったのは…

髙品昇平さん

「姿勢改善サロンRoots」院長 鍼灸師/按摩マッサージ指圧師/マニュアルセラピスト

大学卒業後、鍼灸マッサージ専門学校で国家資格を取得。卒業後はすぐにフィットネスクラブ内の治療院にて業務委託の形で独立し、2015年に「姿勢改善サロンRoots」を開業させる。「自分の体は自分で治す」をコンセプトに掲げ、患者さんが行うセルフケアの指導を主軸にした治療により、20年来の慢性痛を根本改善したケースも多数。現在は治療院の経営のほかにも、YouTubeチャンネル「姿勢改善専門YouTube channel~自分の体は自分で治す~」の運営や、治療家向けのオンラインサロン、セミナー、経営コンサルなど幅広く活躍中。

痛みの原因を見つけ、セルフケアにより根本改善

「姿勢改善サロンRoots」の治療方針について説明してくれた院長の髙品さん

――「姿勢改善サロンRoots」では、何十年も患ってきた慢性痛を改善する方も多いとお聞きしました。どのようにしてそれを実現しているのでしょうか。

「姿勢改善サロンRoots」という名前がすべてを物語っているのですが、痛みの原因を見つけ出し、姿勢改善をすることで痛みの根、つまり「Roots」から治療することで、症状を改善できます。痛みというのは、痛んでいる部分が悪いのではなく、正常な体の位置、これを解剖学的肢位と言いますが、その姿勢がずれることによって起こることがほとんどです。たとえば人間の体を横から見たときに、正常な位置というのは外くるぶし、膝関節の真ん中、大転子と呼ばれる太ももの骨、肩峰と呼ばれる肩の骨、耳の穴が一直線上に並んでいるはずです。これがもっとも負担が少なく立てている姿勢。しかしその姿勢から逸脱していると、体に余計な負担が出てくるため、痛みにつながっていきます。

患者さんの訴えている痛みが、体のどの部分がずれていることで起こるのかを発見することを姿勢の評価といいますが、これを的確に行えるかどうかが、痛みを根本的に取れるかに大きく影響します。当院が得意としているのはこの姿勢の評価です

――原因を見つけたらその部分を治療していくわけですね。

もちろん治療も行いますが、当院で大切にしているのは「自分の体は自分で治す」ということ。つまり患者さん自身が自宅で行うセルフケアの指導に力を入れています。よく「整体に行った直後は、調子がいいんだけどね」と仰る方がいらっしゃるのですが、これは患部の痛みをとる施術を一時的にしているだけだから。痛みのない状態をキープするには、セルフケアが不可欠です。初診のときは大体の方が治してもらう意識でいらっしゃるのですが、ここでは自分で治すことが目的のサロンですから、セルフケアをきちんと続けていただくように促します

体に意識を向けてもらい「治してほしい」から「自分で治す」に変える

「姿勢改善サロンRoots」のホームページ。ほかの治療院に通っても改善が見られなかった人が、訪れることも多いという

――大体の方が治してほしいという意識でくるとのことですが、どうすれば「自分で治す」に変えることができるのでしょうか?

一番大切なのは、患者さんに気付いてもらうことです。セルフケアで重要なのは、長く続けてもらうこと。しかしどんなにその重要性を伝えても、患者さんが納得していなければ、長く続けることは難しいと思います。そこで最初の診察では自分の体に意識を向けてもらうこと、そして効果を体感してもらうことを大事にしています

具体的には、まずご自身の姿勢を実際に鏡で見てもらいながら問題点を共有します。ここで先ほどお話した解剖学的肢位や、正常可動域について説明するんです。正常可動域というのは、その言葉のままですが体が正常に動く領域のこと。たとえば首をあげてみてもらったときに、途中までしかあがらない方がいたら、そこには何らかの異常があります。そういった問題点を分かってもらったうえで、1か所、2か所の施術を行うんです。そうすると変化を体感できるわけですね。首の例でいえば、首がさきほどまでよりあがるという状態になる。そうすると患者さんは納得できて、ここまで良くなるんだから自分でもやってみようという気になります。

――セルフケアをしてもらうことで症状の改善をしてもらうとなると、定期的に通ってくださる方が少なくなってしまいませんか…?

いえ、そんなことはないです。どんなに一生懸命ちゃんとやってくださっている方でも、続けているうちに忘れてしまったり、自己流のアレンジを加えてしまっていたり、サボり始めてしまう方もいるので、修正と確認をする目的で月に1回は定期メンテナンスに通っていただいています。見て問題がなければ、体のほかの部分の治療に移行する方もいますし、じゃあ次はゴルフができるように、ジョギングができるように、という感じで、痛みの解消からスポーツを楽しむところにステップアップする方もいらっしゃいます。

効果を実感してくれれば、患者さんは通い続けてくれる

患者さんとの関係性について話す髙品さん

――治してもらえないなら、ここには通わないという方はいらっしゃいませんか?

あまりいらっしゃらないですよ。みなさん体の不調でいらっしゃっているので、結果が出れば続けて通ってくださるようになります。実際、最初の問診票では、「今回の症状だけ治ればいい」と書いた方でも、効果を実感できるようになると、「根本的に治せるのであれば通いたい」と、通院を続けてくださる方が多いんです

でももし「治してほしい」という方がいらっしゃったら、うちの治療院は合っていないと思うので、ほかのところに行っていただくのが、お互いにとっていいのかなと思っています。自分の考えに共感してくださる方が来てくださればそれでいいと思っていますね。ありがたいことに、このサロンには一生懸命セルフケアを続けてくれている患者さんがたくさん通ってくださっています。

――患者さんにセルフケアの方法を伝えるときに心がけていることは、どんなことでしょうか?

1箇所あたりのセルフケアは2分~3分で簡単に終わること、さらに患者さんが効果を実感できること。この2つを柱にして、チョイスしています。あまりあれもこれもと伝えても難しいと続かないですし、効果も出にくくなってしまうと思うんです。数をこなすより、質の高いことを1つだけやってもらったほうが、効果も出やすく、患者さんのやる気につながるのかなと思います。


後編は1回も治療院勤務をせずに、専門学校卒業後すぐに独立したという髙品さんに、経営術についてお話を伺います。その行動の裏にあったのは、患者さんに対して嘘をつかず、自分が本当にいいと思った治療を続けたいという思い。目先の利益にとらわれない経営方法で、患者さんからの信頼を集めています。またYouTubeやオンラインサロン、コンサルなど幅広い活動を続ける髙品さんに、時間術についても伺います。後編もお楽しみに!

Information

姿勢改善サロンRoots
住所:東京都世田谷区用賀4-5-7ルビーノロトンダ3-A
電話:03-3700-6881
姿勢改善サロンRoots – YouTube
姿勢評価・動作分析研究所 – YouTube

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