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ヘルスケア 2024-09-22

大好きなサッカーからトレーナー、鍼灸マッサージの道へ!【もっと知りたいヘルスケアのお仕事 Vol,159】府中きづき鍼灸マッサージ院 高波 洋さん#1

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

今回は府中きづき鍼灸マッサージ院の院長として、地域に密着した診療にあたりながらスポーツトレーナーとしても活動している高波 洋さんにお話しを伺います。

前編ではずっとスポーツに携わっていきたいという想いからスポーツトレーナーの道を選んだこと、最初に就職したスポーツクラブで人としてのあり方を学んだこと、転職した先のフィットネスクラブで働きながら鍼灸師の資格を取得したことなどを語っていただきました。

お話しを伺ったのは…
府中きづき鍼灸マッサージ院
院長 高波 洋さん

スポーツトレーナー養成専門学校を卒業後、スポーツクラブを経て病院(PT・トレーナー科)に勤務。その後、都内のリゾートホテル内にあるフィットネスクラブに勤務しながら鍼灸・あん摩マッサージ指圧師を養成する専門学校に通学し、国家資格を取得。2015年11月に東京都府中市に府中きづき鍼灸マッサージ院を開院する。現在は通院施術の対応のほか訪問鍼灸マッサージ、高校サッカー部、社会人女子フットサルチームのトレーナーとしても活動している。

大好きなサッカーをサポートする仕事に就きたくてトレーナーを目指す!

高校までサッカーに熱中していた高波さん。今も時間があればサッカーやフットサルを楽しんでいるそう。

――ヘルスケアの業界を目指したきっかけは何ですか?

日韓ワールドカップの開催が決まって、すごく盛り上がっていたときが高校3年生で、将来はスポーツ関連の仕事に就きたいと思ったんです。元々サッカーをやっていたというのもありますが。

――進学先はどうやって見つけたんですか?

オープンキャンパスに参加して、いろいろな学校を見学するなかでスポーツトレーナーという職業があるのを知ったんです。そのうちのひとつ、東京リゾート&スポーツ専門学校はサッカー日本代表のトレーナーをしている人が講師だったので、ちょっとミーハーですが、この学校に決めました。

――一流の方から教わる機会はなかなかないですからね。

その先生から、トレーナーをやりたいならアスレチックトレーナーの資格と鍼灸・あん摩マッサージ指圧師の資格は取っておいた方がいいと聞いて、専門学校を卒業してからも勉強を続けました。

――それは就職して、働きながら勉強したということですか?

そうです。アスレティックトレーナーの資格をとるのが難しくて、10年くらいかかりました。途中で制度が変わって、教科書まで変わってしまったので「もう無理かな」と思ったんですけれど。自分の中で諦めずにずっとやりきました。

最初の勤務先で社会人としての立ち居振る舞いなど「基本」を教わる

最初に勤めたスポーツクラブでは、子どもたちの指導も任されていたとか。

――学校を卒業して、最初の就職先はどこですか?

地元のスポーツクラブです。子どもの水泳指導や、一般の方から高齢者までを対象にした運動指導やスタジオレッスンなど運動指導の場でもまれました。

――「もまれる」とは?

スポーツをやっている方だったら簡単にできる運動でも、お客さまの中には「この人はこの動きはできない」とか「筋トレはできても走れない」とか、いろいろな制約があるんです。その人に合わせた運動を組み立てて考えるのは難しかったですね。

――スポーツクラブにはいろいろな方がいらっしゃいますもんね。

頭も使いましたし、あと身体作りですね。専門学校時代も身体を動かしていましたが「運動をちゃんとしてきたか」といえば、そうではない。先輩から「身体の線が細いと、運動を指導するにも信頼されない」と言われたんです。確かに筋肉がついてないトレーナーかた、筋トレを指導されても「本当に?」って思いますよね。それで仕事が終わった後に筋トレをして体を作るようにしました

――トレーナー自身の体作りも、ある意味ノルマなんですね。

あとは言葉遣いですね。お客さまもスタッフも目上の方がほとんどですから、学生時代の言葉遣いは通用しません。「お兄ちゃん言葉」になりがちだったのを直されました。
子どもたちの指導では叱り方を教わりました。子どもって騒がしかったり、言うことを聞かなかったりしますよね。そんなときに怒ってはいけないと教わりました。「怒」という漢字には心つまり感情が入っている。その人のことを思って言うのだから「叱」りなさい、と言われて、今でも肝に銘じています。

――いろいろなことを学べる、良い環境だったんですね。

そうなんです。でも、スポーツクラブが解体されることになってしまって。2年間、勤めましたが、転職を余儀なくされました。

仕事をしながら空き時間に勉強。ついに3つの資格を取得!

――次の勤め先はどちらですか?

北里研究所病院のPT・トレーナー科です。病院に通っていらっしゃる糖尿病の患者さんたちに運動指導をしていました。

――スポーツクラブに通って来る方たちとは、ちょっと違いますね。

病院の中では自分のニーズは見いだせないな…と思っていたところに、たまたまフィットネスクラブの求人を見つけました。募集要項の中に、働きながら医療資格(鍼灸・あん摩マッサージ指圧師や柔道整復師の資格)を取るために学校へ通うことを推奨している、と書いてあったんです。スポーツトレーナーになる夢を叶えるためにも、この資格が欲しかったので、本当にタイムリーでしたね。

――まさに理想的な環境ですね!

そのフィットネスクラブはホテルの中にあって、鍼灸接骨院も併設されていました。その関係で資格取得を推奨しているんですね。
転職するときは、病院に勤めている方が将来的に安定しているだろうな…という想いもありましたが、自分が将来やりたい道は病院にはない。転職した方がやりたい方向に近づけるんじゃないかと考えて決断しました。

――入社してすぐに学校へ通い始めたんですか?

3年間はフルタイムで仕事をすることが条件だったので、その後からですね。
昼間の学校に通って午後からフィットネスクラブに戻って仕事をする…という毎日を3年間送りました。

――勤務先がホテルだと、昼間の学校に通いやすいんですね!

忙しかったんですが、理想的な環境といえば理想的ですね。それでも勉強する時間がなかなか取れない。勤務先から自宅まで1時間半かかるので、電車の中や家に帰って眠る前の時間を使って勉強していました。

――一日のなかでタイムスケジュールを組み立てて勉強していたんですか?

そんなに器用ではなかったので(笑)。定期テストは1週間くらい前から集中して勉強することが多かったですね。ツボの名前は呪文のように覚えました(笑)。
国家試験の前は会社から1週間のお休みをもらえたので、ありがたかったです。おかげで鍼灸・あん摩マッサージ指圧師の資格を取ることができました。決してできのいい学生ではありませんでしたが(笑)。

スポーツトレーナーになる夢を追いかけて、転職をしながら努力を積み重ねていった高波さん。後編では、フィットネスクラブを退職してご自身の鍼灸マッサージ院を開院したいきさつ、患者さんとの信頼関係を築く難しさ、今でもトレーニングを欠かさない理由などをご紹介します。

撮影/森 浩司

information

府中きづき鍼灸マッサージ院
住所:東京都 府中市晴見町3-1-22 レジェンドビル101
TEL:042-306-5107

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