訪問介護を辞めたい理由は?対処法やおすすめの転職先を紹介!
訪問介護員(ホームヘルパー)をやめたいと思っている人は少なくありません。しかし、何をするべきか明確にならずだらだらと仕事を続けているという人も多いでしょう。
そこで本記事では訪問介護員(ホームヘルパー)をやめたいと思っている人がどんな対処法や転職をしたらよいかについて詳しく解説します。
訪問介護員の仕事のやりがい
訪問介護員の仕事は、高齢者や障害のある人の日常生活を支えることであり、大きなやりがいを感じることができる仕事であるといえます。
ひとり暮らしをしている利用者の中には、訪問介護員の訪問を楽しみに待っている人は多く、訪問介護員はその仕事を通して利用者やその家族からも信頼を得ることができる素晴らしい仕事です。
買い物に行くことが困難な状態になり、食事がきちんととれていない利用者には、買い物に行くことや食事を作ることで感謝してもらえることが多いです。
また、利用者だけではなく、介護が負担になっている家族の支えとなることで、利用者も家族も身体的、精神的負担が軽くなり、快適な毎日を送ることができるようになります。
訪問介護員の仕事は、利用者やその家族の生活をより良いものへと導くことができる、そんなお仕事なのです。
訪問介護員の離職率
前述したように、訪問介護員の仕事は多くの人を笑顔にする、人のためにも自分のためにもなる魅力的なお仕事です。一方で、離職率が高いという現実もあり、訪問介護員の仕事は年々人手が不足してきています。
ここでは、訪問介護員の離職率の問題について詳しく解説します。
訪問介護員の採用状況と離職率
訪問介護員の採用状況と離職率は厚生労働省が改善する必要があるとしています。令和3年に発行された介護雇用管理改善等計画によれば、訪問介護員の不足感があると回答した事業所は81.2%だったと報告されています。
不足している理由として、「採用が困難である」の回答が最も多く、訪問介護事業所で採用が足りず人材が不足してしまっている状況が明らかにされています。
厚生労働省のデータでは、年々訪問介護員の有効求人倍率(1人の求職者に対する求人の割合)は増加傾向です。2022年には15.53倍にも登っており、ヘルパーの約1割は70歳を超えいることが報告されています。
介護労働安定センターが事業者向けに行った、令和4年介護労働実態調査では、令和4年の訪問介護員の離職率は13.3%であることが明らかになっています。
年々離職率と介護職員の不足は深刻な問題となっています。
引用元
厚生労働省:訪問介護
厚生労働省:介護雇用管理改善等計画
厚生労働省:介護従業員過不足の状況
公益財団法人介護労働安定センター:令和4年介護労働実態調査
訪問介護員の従業員不足
訪問介護員は従業員不足に陥っています。令和4年度に行われた介護労働実態調査の中では、過不足状況について調査が行われ、訪問介護員は80%以上の事業所が不足感を感じていて、多くの訪問介護事業所で人材が足りていないと報告されています。
引用元
公益財団法人介護労働安定センター:令和4年「介護労働実態捜査」結果
訪問介護員(ホームヘルパー)における離職理由
訪問介護員を離職する人には、どのような理由があるのでしょうか。離職の理由についてあげてみましたので、それぞれ紹介していきます。
安定した収入が見込めない
訪問介護員の給与は、実際に稼働した分しかありません。そのため、予定をしていても利用者側の都合でキャンセルになってしまった場合は給与が発生せず、変動が大きいため、安定した収入とはいい切れません。
また、事業所によって移動中の給与加算がないところや、移動の交通費の支払いの有無なども違います。
実際に訪問介護員として働くうちに、「思ったよりも収入が期待できない」などの理由からやめる人もいます。
交通手段の問題
訪問介護員は直接利用者の家にいくので、自身で交通手段を考えなければなりません。交通手段を自転車や徒歩にした場合、駐車場などに悩む必要がなく手軽に移動できる反面、天候に左右されるというデメリットもあります。
移動の負担が大きい、という理由からやめる人も少なくはありません。
一人で対応することへの負担
基本的に一人で対応する訪問介護の仕事は、人間関係をあまり気にする必要がなく、自分で時間を決めることができるという反面、責任へのプレッシャーを感じる人も少なくありません。
トラブルの対処や、自分の行動への責任を持つことへの覚悟が必要です。
利用者との関係の問題
利用者からの理不尽なクレーム・無理な要求を受けることも、やめる理由としてあげられるでしょう。
利用者の中には、介護保険外のサービスを要求をしてきたり、また自分の主張が正しいなどの理不尽なクレームをいう方もいたりします。
その対応も、訪問先では一人で対応しなければなりません。そういった環境で働くうちに嫌気がさし、やめてしまう人もいるようです。
キャリアアップのため
訪問介護員として働くことで、介護福祉士や介護支援専門員などの上級職を志す人もいます。上級職を目指すためには、5年以上の実務経験が必要なものが多く、条件を満たすとやめてしまうのです。
引用元
厚生労働省:介護福祉士資格取得について
社会福祉法人:全国社会福祉協議会 介護支援専門
職場の人間関係・上下関係
人間関係・上下関係に悩まされて訪問介護員を離職する人も多いです。
具体的な内容としては「自分とあわない上司や同僚がいる」ことや「部下の指導が難しい」こと、「経営層や管理職等の管理能力が低い、業務の指示が不明確、不十分である」といったことなどが訪問介護員の人間関係や上下関係の悩みになっているようです。
このような人間関係・上下関係の悩みから離職を考える人も多いという現状があります。
結婚・出産・育児
訪問介護員に従事している人は女性のほうが割合として多く、結婚・出産・育児などのライフイベントから仕事を辞める人もいます。
人手不足の状況とあいまって勤務体制が整っている訪問介護事業所は少なく、結婚生活や育児と訪問介護員の仕事で両立を図るのが難しいと考えている人も多いのが現状です
やめたいと思った時の対処法
今まであげてきた理由により、辞めたいと思った時はどうしたら良いのでしょうか?そのまま辞めてしまう方法もありますが、やはり一度は考えてみるのも良いと思います。ここでは、辞めたいと思った時の対処について紹介します。
続けた時のメリットも考える
まずは、「辞めたい」と思った理由を冷静に考えてみてはいかがでしょうか?
たとえば、利用者からのクレームが原因で辞めたいと思ったならば、まずは、自分が受けたクレームの内容に向き合ってみましょう。自分の落ち度によるものなのか、利用者側からの無理な要求なのかをよく考えたうえで、今後の対処法などを考え続けた時のメリットを考慮してみます。
問題解決した先に待つ、訪問介護の良さを洗い出してみるのです。
上司や仕事の仲間に相談
すべてを解決するのは難しいかもしれませんが、交通手段や利用者との関係などは、上司に相談することで改善する可能性もあります。
なにを悩んでいて、どのような解決の方法を求めているのかなど、自分のなかで整理したうえで相談してみてください。
他の事業所に転職する
訪問介護という仕事にはやりがいを感じているものの、職場の環境や労働条件などが原因となり辞めたいと思っている人は、他の事業所への転職を考えてみてはいかがでしょうか。
事業所ごとに交通費や移動手段、育児休暇の有無などの違いがあるので、しっかりと調べてみましょう。
訪問介護員におすすめの転職先
訪問介護員におすすめの転職先にはどのようなところがあるのでしょうか。ここでは、介護業界と介護業界以外、経験を活かすか活かさないかの観点から転職先について紹介します。
施設勤務の介護職など
訪問介護員からこれまでの経験を活かし、同じ介護業界で仕事をする上では、持っている資格などによっておすすめの転職先は異なります。
介護福祉士の資格を持っていれば、訪問介護事業所だけではなく特別養護老人ホームや介護老人保健施設、デイサービス施設などで仕事ができるでしょう。
現場以外
介護の資格やこれまでの経験を活かし、同じ介護業界で介護現場以外の仕事をすることもおすすめです。
利用者と直接関わること以外でも、事務員や病院などへの送迎の担当・介護職員養成校の教員など、資格と経験を持っていることで、違った形で介護に関わることもできるのです。
他業種への転職
介護の仕事で身につけたスキルや能力を活かし、他業界への転職も可能です。
利用者とのコミュニケーション能力は、営業職などに向いてます。お客様のニーズにお応えし、求める商品を提供する営業の仕事は、今まで訪問介護員として培ってきた経験を活かすことができるでしょう。
また、介護福祉士の資格があると保育士資格試験の一部を免除されることから、保育士に挑戦する方もいるようです。
自分の資格や経験を武器に他業界へのチャレンジも検討してみてはいかがでしょうか。
これまでの経験や資格を活かしながら自分に合った選択をしよう
訪問介護員はやりがいを感じる仕事ではあるものの、大変なことも多い職業です。
転職を考えている場合には、訪問介護員としての経験を活かすか活かさないか、介護業界か他の業界かなどの選択肢があります。
これまで培った経験や資格を活かして、自分に合った選択をしてみましょう。