介護職の面接で必ず聞かれることとは?よくある質問と回答例|面接で受かるためのポイントも紹介
就職試験を受ける際、避けて通れないのが面接です。本番になると緊張してしまうことも多いため、できるかぎりの準備をしておく必要があります。
この記事は介護職に焦点を当て、面接で必ず聞かれることやよくある質問とあわせて回答例も紹介します。面接で受かるためのポイントもお伝えしますので、参考にしてください。
- 介護職の面接を受けるときに気をつけたいポイント
- 介護職の面接でのマナーとは|これだけは押さえておこう
- 介護職の面接でよく聞かれる質問|おすすめの回答例・悪い回答例
- 1. 自己紹介をお願いします。
- 2. 前職の退職理由を聞かせてください。|実務経験者もしくは転職者の場合
- 3. 志望動機
- 4. どうして介護の仕事を志望されたのですか?
- 5. 入社されたらどのような働き方を希望されますか?
- 6. 残業や夜勤がありますが、対応できますか?
- 7. 目標やキャリアプランがあればお聞かせください。
- 8. 介護の仕事で大切にしていることはありますか?(実務経験者の場合)
- 9. 最後に何か質問はありますか?
- 予想外の質問をされたときの対処法
- 面接に受かるためのポイント
- 面接は事前準備が大切|自分の考えをしっかりと持ち対策をして挑もう
介護職の面接を受けるときに気をつけたいポイント
介護の仕事に就くときには、どの職場でも必ず面接を受ける必要があります。面接を受けるときに気をつけるポイントは、その人が新卒なのか、転職者なのかによって異なります。
新卒の場合には人となりを見られること、転職者の場合にはこれまでの経験や前職を辞めた理由を聞かれることが多いでしょう。どちらにせよ面接のときには、事前に対策を練っておくことをおすすめします。
新卒生が面接を受けるとき・実務経験者もしくは転職者が面接を受けるときそれぞれのポイントを紹介しますので、しっかりとおさえておきましょう。
新卒生が面接を受けるとき
介護業界では、今後も介護施設のニーズが高まっていくことが予想されており、介護施設で働く人材がますます必要になってくるでしょう。
しかし、大手企業や待遇のいい施設などは、福祉や介護を専攻としている学生などからの人気も高く、高倍率になることはよくある話です。
一般的には、1次審査は書類選考を行い、2次審査で面接をおこなう企業がほとんどです。面接は、数名の就活生を同時に選考する集団面接もあれば、学生ひとりだけの面接を複数の面接官がおこなう場合もあります。
また、面接官は採用担当者や、施設長、介護現場の人など、さまざまな人が面接官として担当してくれることが予想されます。新卒生のほとんどは、介護現場で働いたことがないため、実際に働いたキャリアについて質問されることはないでしょう。
その代わり、その企業で働くうえで、人柄のよさや介護の仕事に合うような人がどうか、そして言葉づかいや態度といったポイントを判断されることになります。
実務経験者もしくは転職者が面接を受けるとき
これまでに介護施設で働いた経験のある人や、ほかの業界からの転職で介護業界の面接に来ている人の場合は、新卒生の時の面接とは、判断されるポイントが異なります。多くの企業が重視するポイントは、前職を辞めた理由や転職をする理由です。
また、介護の仕事を何年も続けている人が転職をするときには、これまでどのような経験があるのか、面接時に話をしたほうがよいでしょう。
たとえば、介護計画を立てたことがある、介護実習生の受け入れ指導をしたことがあるなど、経験が多ければ多いほど、面接官へのアピールポイントになります。
そして面接では、働くうえでの条件のことも確認されることがあります。たとえば、夜勤や早朝勤務などがある施設であれば、勤務時間や休日出勤について質問されることがあるかもしれません。また、小さな子どもがいる人の場合は、急な出勤に対応できるかどうかも確認されることも。
採用した人に長く働いてほしいために、場合によっては、実際の経験よりも仕事への姿勢や熱意を評価するところも少なくありません。
介護職の面接でのマナーとは|これだけは押さえておこう
身だしなみを整えて最低限のマナーを身につけることは、介護職の面接でも必要なことです。さらに、相手がしっかり聞き取れるような大きくはっきりとした受け答え、わかりやすく相手に伝える能力は、利用者への接遇の際にも重要なことなので、重要視されていると考えたほうがよいでしょう。
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介護職の面接でよく聞かれる質問|おすすめの回答例・悪い回答例
ここからは、介護職の面接で実際によく聞かれる質問を見てみましょう。質問に対する回答のポイントとあわせて、おすすめの回答例・悪い回答例も紹介します。自分の言葉に置き換えて伝えられるよう、参考にしてください。
1. 自己紹介をお願いします。
最初に聞かれる自己紹介では、氏名や持っている資格、職歴などを簡潔にまとめるようにしましょう。最初から自己PRをしてしまうと、面接官が聞きたいことからずれてしまうこともあるので、事実だけを伝えるようにします。
自己紹介|おすすめの回答例
介護職員に応募させていただきました○○と申します。福祉専門学校で介護について学び、介護職員初任者研修を修了しており、前職ではこの資格取得時に学んだことを活かして、高齢のお客様が多い接客業に従事していました。
もっと高齢者の生活に近い分野で、より身近な存在として支えていきたいと考え、応募しました。よろしくお願いいたします。
自己紹介|悪い回答例
介護職員に応募させていただきました○○と申します。○○福祉専門学校卒業後、介護職員初任者研修の資格を取得しました。介護職と接客業の経験があります。
趣味は音楽とスポーツです。学生時代から、バンド活動を続けています。人と接することが好きで、バレーボールの社会人チームにも参加しています。本日はよろしくお願いします。
上記は、介護職に関連する内容が薄い回答例です。自己紹介とはいえ、趣味や特技を羅列するだけでは面接官の印象に残りづらいでしょう。趣味や経験を伝える場合は、介護職で活かせるようにつなげることがおすすめです。
2. 前職の退職理由を聞かせてください。|実務経験者もしくは転職者の場合
新卒生以外は、前職の退職理由を必ず聞かれると思って準備しておくことが大切です。人間関係や待遇面の不満など、面接官に「採用してから、同じ理由で辞めてしまうのではないか」と思わせるような理由は避けたほうが無難でしょう。
退職職理由|おすすめの回答例
前職では入所施設の介護業務に従事してきましたが、介護福祉士の資格を取得する過程で、利用者さんの生活の場であるご自宅に行って、在宅生活を支えるホームヘルパーの仕事に惹かれました。
住み慣れた家や地域での暮らしを支えたいという思いが強くなり、移動の時期に合わせて転職することを決意しました。
退職職理由|悪い回答例
・前職は介護に関係のない業務が多く、待遇面も改善されなかったため転職を考えました。
・ほとんどの利用者と良好な関係を築いていましたが、なかには問題行動を繰り返す利用者もいて、対応に苦労することが多くあり、環境を変えてみようと思いました。
上記の2つは、業務に関する不満や利用者の愚痴など、ネガティブな内容となっている回答例です。
退職理由に不満やマイナス要素があることは想定されていますが、そのまま伝えると印象はよくありません。キャリアアップやスキルアップなど、ポジティブな理由に言い換えて伝えることが大切です。
3. 志望動機
「なぜ数ある介護施設のなかで、この施設を選んだのか」ということは、面接官でなくても興味があるものです。その施設の特徴や仕事の内容を理解して応募しているか、間違った期待を持っていないかなどを判断するために聞かれる質問といえます。
志望動機|おすすめの回答例
御社の「認知症の利用者が安心して楽しく暮らせることを目指す」という理念に共感して、応募しました。
また、介護福祉士の資格を取得してよりよい介護を提供できるようになりたいと考えていたため、御社の介護福祉士支援制度にも魅力を感じました。御社で働きながら資格を取得し、仕事の幅を広げていきたいと思っています。
志望動機|悪い回答例
・自宅から通いやすく通勤に時間をかけずに済むため、長く働くうえで利点だと考えました。
・前職には資格手当がなく、基本給ももう少し低かったのですが、御社は給与面だけでなく福利厚生や教育制度も充実していると感じたからです。
上記の2つは、勤務条件だけを重視している回答となっています。その施設ならではのよさや仕事に対する熱意が感じられず、採用したいと思ってもらうことは難しいでしょう。
その施設でなくてはならない理由や、その施設だからこそと言えるような内容を、仕事に対する熱意と一緒に伝えるのがおすすめです。
4. どうして介護の仕事を志望されたのですか?
介護の仕事は人と接する喜びがある反面、利用者の病気や死などといった辛いこともある仕事のため、介護の仕事を続ける志がないと続かないこともあります。とくに介護職の経験がない場合には、必ず聞かれる質問です。
介護職の志望理由|おすすめの回答例
祖母が介護施設に入所していたため、毎月面会に行っていました。ある日、祖母がお茶をこぼしてしまったのですが、介護職の方が優しく言葉をかけて片付け、祖母を着替えさせてくれたことが印象的でした。
その際に、安心した祖母が嬉しそうに介護職の方と話すのを見て、こんな風に人の役に立つ仕事をしたいと思い、介護の仕事を志望しました。
介護職の志望理由|悪い回答例
・介護職であれば、未経験でもたくさんのことが学べると思ったからです。
・高齢化社会で介護職の需要も増えていて、将来的に見ても安泰だと感じたためです。
上記の2つは、介護職に対する考えがやや浅はかだと言える回答です。介護業界が人材不足であることは確かですが、未経験でも可能で求人も多いことを理由に続けられるほど簡単な仕事ではありません。
仕事に対する理解と主体性のある内容だと、介護職への思いや熱意が伝わりやすくなります。
5. 入社されたらどのような働き方を希望されますか?
入社したあとのビジョンを明確に持っているかどうかを確認するための質問です。具体的な目標を持っていればモチベーションが高いと判断されますし、いろいろな業務を経験してみたいことを伝えれば柔軟性が高いと評価されます。
入社後について|おすすめの回答例
介護職員初任者研修で学んだ入浴介助や排せつ介助などの身体介助の業務をメインでおこないたいと思っておりますが、レクリエーションなどにも積極的に取り組んでみたいと思っています。
また、介護福祉士の資格取得を目指しておりますので、資格を取得できたら介護福祉士としても貢献していけたらと考えております。
入社後について|悪い回答例
・少しでも早く環境に慣れ、ひとりで対応できるようさまざまなことを学びたいです。
・介護業務で多くのことを学ばせていただきたいです。
・どんな仕事でも頑張ります。
上記の3つは、主体性や具体性に欠けている回答です。自分がどんな業務に就いて、何を学びたいのかが漠然としていると、仕事に対する成長意欲が感じられないだけでなく、その施設で働くイメージができているのか疑問に思われてしまいます。
施設の特徴などを理解したうえで、やりたい業務と学びたいことが明確になるような回答を心がけましょう。
6. 残業や夜勤がありますが、対応できますか?
入所施設では、夜勤ができるスタッフは貴重な人材となります。夜勤ができるかどうかは、明確に答えておくことが大切です。
また、残業については聞かれないこともあります。家庭の事情などで夜勤や残業ができない場合は、できない理由を伝えるようにしましょう。
残業・夜勤への対応|おすすめの回答例
夜勤や残業ができる場合は、「夜勤も残業も対応可能です」とか、「あらかじめ決まっていれば対応できます」というように短く答えるだけでじゅうぶんです。
できない場合は「小学生の子どもがいるため、18時以降の残業と夜勤は基本的には難しいです」というように、具体的にできない理由を伝えるようにします。
残業・夜勤への対応|悪い回答例
・対応はできますが、できるだけ残業や夜勤は控えたいです。
・残業や夜勤は希望しません。
上記の2つは、明確な理由を伝えていないため、やりたくないだけだと思われてしまう可能性があります。
・残業や夜勤はどれだけあっても大丈夫です。
こちらは、採用されたいがためにいくらでも引き受けようと思っての回答であれば、入社後に生活に支障をきたして辛くなってしまう可能性があるので危険です。無理のない範囲で引き受けられるように伝えることをおすすめします。
7. 目標やキャリアプランがあればお聞かせください。
施設で働くうえで、目標やキャリアプランをしっかり持っているかを確認する質問です。目標やキャリアプランが採用する施設の実情と剥離しすぎていると、すぐに辞めてしまう恐れがあると判断されることもあるため、施設の仕事の範囲からはじめられる内容がよいでしょう。
目標・キャリアプラン|おすすめの回答例
利用者さんに信頼してもらえるような誠実な対応はもちろんですが、介護専門職としての知識とスキルを身につけるために介護福祉士を目指したいと考えています。
御社の資格取得のための支援を利用させていただいて、介護職員としてより質の高い介護を提供できるようになることが目標です。
目標・キャリアプラン|悪い回答例
・まずは与えられた仕事をしっかりこなしたいと考えています。
・経験のない仕事もできるようになりたいです。
・どんなことでも挑戦します。
上記3つの回答は、一見積極的に感じられますが、主体性に欠けた回答になっています。
与えられた仕事をこなすというのは受け身の姿勢で、自分では何もしないようにも捉えられますし、未経験の仕事でも挑戦したいというのは、介護に対するイメージが湧いていない印象を受けてしまいます。具体的な目標と実現に向けた取り組みを伝えましょう。
8. 介護の仕事で大切にしていることはありますか?(実務経験者の場合)
経験者の場合には、仕事への意欲や姿勢を見るために介護の仕事をする際に応募者がどんなことを大切にして仕事をしているかを聞かれることが多いです。利用者を尊重しているか、介護職の都合を押しつけていないか、職員で協力し合えるかなどをチェックされます。
介護の仕事に対する姿勢|おすすめの回答例
利用者さんの声に耳を傾け、その人の好みや個性を尊重し、丁寧に接することを心がけています。
また、介護職員同士で情報を共有し、利用者さんにより快適に楽しく過ごしてもらえるように協力することも意識しています。
介護の仕事に対する姿勢|悪い回答例
・とくにありません。
・家庭とのバランスが取れるよう、自分の仕事は効率を重視しています。
どちらも仕事に対する意欲が感じられない内容となっています。また、家庭とのバランスは実際には大切なことですが、面接での受け答えとしては自分本位なものになってしまうため避けたほうがよいでしょう。
9. 最後に何か質問はありますか?
面接におけるいわゆる逆質問は、遠慮なく確認したいことを聞きましょう。応募した介護施設で働くことを具体的に考えていることを印象づけるためにも、採用後の研修制度や実際の業務内容、資格取得支援制度などについて質問するのがおすすめです。
逆質問|おすすめの回答例
実際の業務内容や研修制度、評価制度など、求人票を見て、以下のような質問内容をいくつか用意しておきましょう。
・仕事の内容についての質問
「利用者さんの外出支援をする業務もありますか」
・スキルアップについての質問
「資格取得支援の制度について、くわしく聞かせてください」
「社内研修があると求人票にありましたが、頻度はどのくらいですか」
逆質問|悪い回答例
・とくにありません。
・給与が上がる方法や、福利厚生について詳しく知りたいです。
質問はできるだけ聞くことが望ましいです。また、給与や福利厚生など勤務条件についての質問もあまり印象がよくありません。調べればわかること・すでに説明があったことなどは避け、仕事内容に関する質問を準備するとよいでしょう。
予想外の質問をされたときの対処法
予想外の質問には、慌てて言葉を発してしまいやすいですが、かえって話がまとまらないこともあります。焦らず呼吸をおき、気持ちを落ち着かせて回答を考えましょう。沈黙は避けたほうが良いので、相槌を打つことが望ましいです。
回答する内容は、ほかの回答と一貫性を持たせることが大切。その企業や仕事に対する思いと自分なりの考えをしっかり持っておくと安心です。
面接に受かるためのポイント
質問ごとにポイントをおさえた回答例を紹介しましたが、新卒・転職者問わず面接全体を通して大切なこともあります。面接に受かるためのポイントとして紹介しますので、おさえておきましょう。
前向きな姿勢で意欲を示す
採用したい・一緒に働きたいと思ってもらうためには、前向きさが必要です。そして、仕事に対する熱意や意欲をしっかりと伝えましょう。介護職はコミュニケーションが欠かせないため、明るくハキハキとした回答を心がけることも大切です。
一貫性・具体性のある内容を伝える
履歴書や面接での回答は、一貫性のある内容を伝えましょう。履歴書の内容と面接での回答が違ったり、質問によって違うことを言ってしまうと、嘘をついているのではないかと疑われてしまう可能性があります。
具体性を持たせると、面接官がイメージを湧かせやすく説得力も増すため、自分の考えの根拠となるエピソードなどを伝えましょう。
企業についてよく調べておく|求める人材や応募者へのメッセージなど
企業のホームページや求人情報をよく確認し、企業情報だけでなく求める人材・応募者に対する企業側の声なども把握しておくと安心です。
求める人材や応募者へのメッセージの内容に沿った回答ができれば、採用にもつながりやすくなります。
面接は事前準備が大切|自分の考えをしっかりと持ち対策をして挑もう
介護職は深刻な人材不足にあるため、未経験でも応募できる求人が多いです。しかし、誰でもできる仕事というわけではなく、利用者を支えるという責任のある仕事です。
面接官は、責任のある介護職に対するやる気はあるのか・本当にこの施設で働きたいのかなどを見ているため、事前に準備をしておく必要があります。
施設のことをよく調べたうえで自分の考えをしっかりと持ち、紹介した回答例を参考に対策をして挑みましょう。