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特集・コラム 2020-02-03

機能訓練指導員は鍼灸師もなれる! 鍼灸師に必要な実務経験とは?

少子高齢化が進むにしたがって介護業界ではより多くの人材を必要とするようになりました。しかしながら、介護業界においても慢性的な人手不足が深刻化しており、この問題を解消するための制度の改正は頻繁におこなわれています。

機能訓練指導員とは介護関係の施設で利用者のリハビリをサポートする職種であり、その業務では直接の指導だけでなくメニューの作成なども含めた幅広い仕事をこなさなければなりません。したがって、介護業界における人手不足は機能訓練指導員の業務にも影響をおよぼしており、それを解消するための制度改正も実施されています。

この改正によって機能訓練指導員になるためのハードルは若干下がり、介護関係のほかの職種に就いている人でも一定の条件を満たせばその業務に携われるようになりました。

ここでは機能訓練指導員になることのできる職種のひとつである鍼灸師に焦点をあて、このような制度改正が実施された経緯や鍼灸師が機能訓練指導員として働く手段、従事できるサービスなどについて解説します。

機能訓練指導員は鍼灸師もなれる!

鍼灸師とは国家資格のひとつであり、この資格を所持している人は整体院などで鍼灸の施術をおこなうことが可能です。この施術には血行を促進することなどによるけがの治癒促進などの効果が期待できるとされており、マッサージ指圧師や柔道整復師などの資格と並んで取得を目指す人の多い資格となっています。

そんな鍼灸の施術はあん摩マッサージや指圧と並行しておこなわれることも多く、スポーツ施設やサロンなどに鍼灸師の免許を取得した人が在籍していることも珍しくありません。

一方、鍼灸師が活躍する場としては介護関係の施設も挙げることができ、介護業界とも深い関係のある職種であるといえます。鍼灸師は介護施設などで必要とされることの多い機能訓練指導員としても働けることとなっており、自身のステップアップの一環で実際に機能訓練指導員として働くことを志す鍼灸師も少なくありません。

ここでは、鍼灸師が機能訓練指導員としても働けるようにするための制度改正が実施された経緯について解説します。

人材不足解消に向けて|平成30年度の改正から追加

鍼灸師免許を取得するためには国家試験に合格しなければならないため、鍼灸師として働いている人には、その施術方法だけでなく、人体のつくりなどに関する幅広い知識が備わっているといえるでしょう。

このような知識は病気などによって損なわれてしまった人の運動機能の改善をサポートする機能訓練指導員の仕事にも活用できるため、制度改正がおこなわれました。

このような制度改正が実施された根本的な原因には、上述した介護業界における人材不足も大きく関係しています。このことは、介護業とのかかわりが深い鍼灸師が機能訓練指導員に求められる知識・技術を身につければ、新たな人材を一から育てることで事業所などにかかる負担を解消できるという考え方にもとづいているものです。

このような制度改正は平成30年から実施されており、その効果は今後数年内にあらわれるといわれています。

資格だけではダメ! 鍼灸師が機能訓練指導員として働くために必要な実務経験とは?

機能訓練指導員の仕事では、リハビリをおこなう必要のある人と直接かかわりながら、訓練そのものだけでなく訓練メニューなどを決めていくといった仕事もこなさなければなりません。したがって、これらの業務を円滑におこなうためには、勉強をとおして身につけられる知識や技術だけでなく、じゅうぶんな実務経験も積んでおかなければならないのです。

このことから、鍼灸師が機能訓練指導員として働くためには、機能訓練指導員の資格を所持していることだけでなく、実務経験を積んでいることが求められ、その基準に関しても定められています。

続いては鍼灸師が機能訓練指導員として働くために避けてとおることのできない実務経験に関する規定について解説します。機能訓練指導員としても働きたいという鍼灸師の方は、こちらも覚えておくようにしましょう。

柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師などの機能訓練指導員を配置した事業所で6カ月以上勤務する

鍼灸師が機能訓練指導員として働くための基準のひとつとしては、「柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師などの鍼灸師以外の機能訓練指導員がいる事業所で実務経験を積むこと」が厚生労働省によって定められています。したがって、鍼灸師が機能訓練指導員として働くためには、この条件を満たした事業所を探すことからはじめる必要があるのです。

また、この条件を満たした事業所で実務経験を積まなくてはならない期間は、「6カ月以上」と規定されています。この期間中は勤務をしながら実践的な訓練方法などを身につけていかなければなりません。

一方、平成30年に改正された制度では、実務経験を積むべき時間や日数についてはこまかな規定がされていません。また、実務経験を積んだことを証明する「証書」の発行基準に関しても細かな規定はないため、じゅうぶんな実務経験を積んだかどうかの最終的な判断は事業所の管理者に委ねられます。

鍼灸師が従事できるサービスとは|特定施設や通所介護・特別養護老人ホームなど

鍼灸師の国家資格を所持している人が機能訓練指導員の免許も取得した場合、勤務先は以下の6つの施設、もしくはサービスをおこなっている事業所となります。

・特定施設
・特別養護老人ホーム
・認知症対応型通所介護
・ショートステイ
・通所介護
・地域密着型(小規模)通所介護

一方、機能訓練指導員が実施する仕事の内容は、もともと所持していた国家資格の種類によって微妙に異なります。例えば柔道整復師の国家資格を持っていた人が機能訓練指導員として働く場合、その業務では柔道整復師ならではの知識・技術を活かした痛みの緩和をともなう機能回復を図ることとなるでしょう。

したがって、鍼灸師が機能訓練指導員として働く場合にも、鍼灸師ならではの知識・技術を活かすことが期待されます。続いては、このことも踏まえて鍼灸師が機能訓練指導員になった場合におこなうこととなる仕事内容を見ていきましょう。

機能訓練指導員としての仕事内容|リハビリプランの作成・実施

そもそも機能訓練指導員のおもな仕事としては、施設や事業所の利用者のけがの具合などに応じたリハビリプランの作成と、それにもとづいたリハビリの実施・サポートなどが挙げられます。とくにけがの具合に関しては利用者ごとに異なることから、その人に合ったプランを作成するための臨機応変な対応はすべての機能訓練指導員に求められるといえるでしょう。

そんな機能訓練指導員のなかでもとくに鍼灸師の国家資格を所持している人に求められる仕事としては、「痛みを緩和しながらリハビリをサポートすること」が挙げられます。これは鍼灸師の仕事の目的に、けがによって生じている体の特定の部位の痛みを緩和することが含まれるためであり、この技術は機能訓練指導員の仕事にも活かすことができるのです。

鍼灸師の免許を活かして機能訓練指導員になろう!

リハビリをおこなう必要のある人は高齢者に多く、今後少子高齢化がさらに進めばリハビリをおこなうためのさらなる環境整備が求められるでしょう。しかしながら、現状で慢性的な人材不足の状態にある介護業界では、このような要求に応えるのは難しくなってしまうかもしれません。

機能訓練指導員になるためには国家資格を取得していることが前提となるため、ただでさえ人材不足の影響を受けやすいといえます。逆に、すでに鍼灸師をはじめとした国家資格を所持している人にとっては、活躍の場が増えると捉えることもできます。

以上のことから、鍼灸師の免許をすでに取得されている方は、それをさらに活かすために機能訓練指導員の資格取得を目指してみるのもおすすめです。

出典元:
厚生労働省「介護人材について」

参考元:
QLCシステム株式会社|「機能訓練指導員の対象資格(平成30年度改訂版)」

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