看護師からケアマネジャーになるには? 病院からの需要はある?|看護師からケアマネジャーになるメリットとは
介護業界でよく聞く職種に「ケアマネジャー」という職種があり、その正式名称は「介護支援専門員」といいます。ケアマネジャーの主な仕事は、要介護または要支援の方の心身状態を見極め、その方が地域の適切な介護サービスを利用できるようケアプランを作成することと、関係者と調整をおこなうことです。
地域で増え続ける高齢者を支える仕事として、現在ケアマネジャーの需要が高まっています。さらに看護師の資格をもっているケアマネジャーは、医療に関する専門的知識をもって活躍できるため大変重宝されるのです。今回は、看護師からケアマネジャーになる方法についてご紹介します。
看護師からケアマネジャー(介護支援専門員)になるには
ケアマネジャーの資格は、2000年の介護保険制度の設立にあわせて導入されました。ケアマネジャーが担う仕事は、高齢者が住み慣れた町で安心して暮らし続けられるよう、地域にあるさまざまな施設や多職種と協同してケアプランを作成し高齢者を支えていくことです。
現在、ケアマネジャーの資格をもつ人は約70万人います。住み慣れた町で最期の時を過ごしたいという高齢者が増えていて、ケアマネジャーの需要は高まっているにもかかわらず制度設立以降年々受験者は減ってきています。とりわけ2018年度は受験者が4万9,000人弱となり過去最低となりました。
看護師資格を持ったケアマネジャーはどれくらいいる?
では、看護師資格をもつケアマネジャーはどれくらいいるのでしょうか。厚生労働省の資料からケアマネジャーの保有資格をみてみると、2003年には介護福祉士と並び看護師資格保有者も多かったのですが、それ以降の看護師資格保有者は減少しています。一方、介護福祉士などの介護系の資格の保有者は増加しています。
今後は、地域包括ケアシステムのもと、吸引や経管栄養など医療的な処置が必要な高齢者も地域で見守っていくという事例が増えていきます。看護師の資格を持ったケアマネジャーの需要はますます高まり、現場では貴重な存在として活躍されることが期待されます。
介護支援専門員実務研修受講試験に合格しよう!
ケアマネジャーとなり、ケアマネジメント業務をおこなうには、以下の2つの段階を踏む必要があります。
1. 介護支援専門員実務者研修受講試験に合格する
2. 介護支援専門員実務研修を受けて「介護支援専門員証」の交付を受ける
介護支援専門員実務者研修受講試験は、業務に必要な知識を有しているかどうかが問われる試験です。都道府県ごとに毎年10月に行われます。申し込み日はだいたい6~7月にかけてですが、具体的な申し込み日は都道府県により異なるので注意が必要です。
介護支援専門員実務者研修受講試験の合格率は、約10~20%です。介護系の資格の中では難関な試験だといえるでしょう。
受験資格を満たしているか確認しよう
介護支援専門員実務者研修受講試験を受けるには、対象となる資格を保持しており、かつ一定の実務経験を得ている必要があります。看護師は対象とされている資格でありますので、実務経験が条件を満たしているかを確認しましょう。以下で詳しくご紹介いたします。
受験地についての注意点|自分が受験できる地域はどこ?
介護支援専門員実務者研修受講試験は、都道府県により実施されています。試験に申し込みする際、該当資格を保持した業務に従事している場合は「勤務地」の都道府県、従事していない場合は「住所地」の都道府県となります。
間違った受験地に申し込むと受け付けてもらえないので注意しましょう。
対象の国家資格・相談援助業務従事者|看護師は対象となる資格!
介護支援専門員実務者研修受講試験は誰にでも受験資格があるわけではありません。対象となる資格・業務に従事していることが条件となります。
対象となる資格・業務は、ひとつは医師や看護師などの国家資格保持者、および生活相談員などの相談援助業務に従事している者です。看護師は対象の資格となっているので介護支援専門員実務者研修受講試験を受けることができます。
要チェック! 必要な実務経験期間とは?
該当する資格を持っていても、実務経験が条件を満たしているかを確認する必要があります。必要な実務経験とは、通算して5年以上の期間にわたり該当資格および業務に従事したことがあり、かつ、当該業務に従事した日数が900日以上である場合です。
看護師の資格を持っていても、これらの条件を満たしていなければ、介護支援専門員実務者研修受講試験の受験資格を得られないので気を付けましょう。
合格後は介護支援専門員実務研修を受講しよう
介護支援専門員実務者研修受講試験に合格したあとは、介護支援専門員実務研修を受ける必要があります。この実務研修は都道府県ごとに実施されているので、合格後に送付される書類から申し込みをおこないましょう。
この実務研修は、ケアマネジメントに関する必要な知識や技能を習得し、利用者様の自立を支援できるケアマネジャーになることを目的としています。以前は任意受講であった実務従事者基礎研修が、2016年以降は実務者研修として統合され、受講必須となりました。
高齢者が地域で暮らし続けることをサポートする、より網羅的な内容となっています。87時間の講義や演習を前期後期にわかれており、その間の期間に居宅介護支援事業所にて3日間の実習をおこないます。
研修を受けると「介護支援専門員証」が発行され、晴れて介護支援専門員として活躍することができますが、それで終わりではありません。介護支援専門員は介護系資格の中で唯一更新制を設けており、5年ごとに更新する必要があります。
ケアマネジャーとして病院・医療機関で働きたい! 事業所や老人福祉施設以外の需要はある?
ケアマネジャーは基本的には居宅介護支援事業所や介護老人福祉施設などの介護施設で働くことが多いのですが、病院でも求められている職種です。そのため、ハローワークでも「病院」「介護支援専門員」というキーワードで求人を探すことができます。
あるメディカルセンター病院では、居宅支援事業所における要介護者や要支援者に対するケアプラン作成や相談、各機関との調整といった業務で募集しています。また他の病院では、その病院が運営するケアセンターにて同様の業務をおこなうといったケースも見られます。
病院でもケアマネジャーの需要があるため、看護師の資格も持ち合わせていると多職種連携の際に柔軟な対応ができます。また、治療が必要な方のケアプランを作成する際にも強みを発揮できるでしょう。
看護師からケアマネジャーになるメリットとは
看護師がケアマネジャーになる場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。介護を受ける側、および介護施設にとっては、以下のような大きなメリットが期待できます。
利用者への医療系サービス組み込みに知識が活かせる
看護師免許をもつ方がケアマネジャーになると、看護師としての経験や知識を生かすことができます。
ケアマネジャーになると要介護および要支援者の方を対象に支援していくことになりますが、中には経管栄養や吸引、インスリン注射などの高度な治療が必要な方も中にはいらっしゃいます。そのような方が、住み慣れた地域で暮らしていくためには、介護系サービスだけでなく、医療系サービスも組み合わせてケアプランを考えていかなければなりません。
このような際に、看護師として業務をおこなってきた専門知識を生かすことができます。看護師免許をもっているということで、利用者の方のみならずご家族にも安心感を与えることができ、より良好な関係を築くことができるでしょう。
医療機関との連携に経験が活かせる
ケアマネジャーの仕事として、医療機関や福祉施設など地域のさまざまな社会資源サービスと連携をとり、高齢者を支えていくことが任務のひとつとなります。特に医療機関と連携をとるときに看護師としての経験を活かすことができます。
たとえば、持病をもった高齢者が退院するとき、病院や介護サービス事業者を交えてカンファレンスを開き、今後の治療方針や利用する介護サービスを考えます。そのようなとき医療機関と介護の現状を知っている看護師免許をもつケアマネジャーがいることで、話がスムーズに進むことが多くあります。
ケアマネジャーは看護師の知識や経験が活かせるお仕事!
地域包括ケアシステムのもと、これからますます増えていく高齢者を地域で連携して支えていくことが主流になっていきます。
住み慣れた町で暮らし続けることを望む高齢者やそのご家族に、もっとも信頼されベストパートナーとなれることがケアマネジャーの醍醐味です。ましてや、看護師免許を持っているとなればその専門性を評価され大活躍できることでしょう。
看護師のセカンドキャリアとしてケアマネジャーを検討してみてはいかがでしょうか。
出典元:
厚生労働省 (5)居宅介護支援事業所及び介護支援専門員の業務等の実態に関する調査研究事業(結果概要)
公益財団法人 東京都福祉保健財団
別表1 国家資格等に基づく業務に従事する者
別表2 相談援助業務に従事する者
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