道具はいらない。自分の「手」だけで誰かに貢献できる柔道整復師という仕事【治療・リラクゼーション・歯科業界のお仕事企画 鎌谷直也さん】#2

治療、リラクゼーション、歯科業界など、人々の痛みや不調に寄り添う仕事の魅力を紹介する本企画。今回お話を伺うのは東京・東村山、麻布十番に3店舗を構える「KOTURIBA」代表の鎌谷直也さんです。

前編では、漁師を目指した高校時代から、整骨院との出合い、国家資格取得に向けた努力、そして治療家としての基盤を築くまでの歩みを伺いました。

後編では独立後の鎌谷さんの歩みや、会社として大切にしていることについて伺います。鎌谷さんが一貫して大切にしてきたのは「挑戦する人が報われる社会を作りたい」という思い。そう感じるようになった背景には、独立直後にご兄弟を亡くされた経験があったといいます。

お話を伺ったのは…

鎌谷直也さん

株式会社TOPRAIZE 代表取締役

鹿児島県出身。高校卒業後に上京し、整骨院へ入社。働きながら柔道整復師の資格を取得し、数年で多くの患者様から指名を受ける人気施術者に。2019年4月に独立し、「KOTURIBA」を東京都東村山市の自宅の一室にオープン。たちまち予約が埋まるほど支持を集めるようになる。その後「ここで働きたい」というスタッフが増え、現在は東村山で2店舗、麻布十番で1店舗を運営するまでに成長させている。

インスタグラム

自宅の一室から始まった独立。挑戦する人が報われる社会を作りたい

2019年、自宅の一室から始まった「KOTURIBA」

――その後、独立をされたのですね。

はい。この世界に入ったときから、いずれは独立をすることを決めていたので。最初は自宅の一室からスタートしましたが、ありがたいことにすぐに予約が埋まるようになりました。その後もスタッフが増えて、ベッドが足りなくなったために店舗を広げてきたんです。

最初はひとりで続けるつもりでしたが、僕の働き方を見て「一緒に働きたい」というスタッフが集まってくれました。入社してくれたのは前職で優秀だと評価されていた仲間ばかりで、その姿に惹かれてさらに入社希望者が増えていき、自然と規模が大きくなったんです。

麻布十番へ出店したのは、遠方からいらっしゃるお客様が少しでも通いやすいように考えた結果です。

――会社の理念は?

一番大切にしているのは、挑戦している人を応援することです。

独立直後、僕は兄を亡くしました。兄は不遇な環境でも前向きに生きようとしていたのに、裏切りや社会の理不尽さに翻弄されてしまった。

その姿を見て、「挑戦する人が正当に報われる社会であってほしい」と強く思うようになったんです。「株式会社TOPRAIZE」 という会社には、その思いを込めています。

実はこの「TOPRAIZE」という名前は、もともと兄が起業した際につけた社名なんです。その名前を引き継ぎ、経営を続けています。

弱さに向き合った経験が、人を導く力になる

自分と向き合った経験が、今の自信につながっているという鎌谷さん

――具体的には社内でどんな取り組みをされているのですか?

「TOPRAIZE」は教育をテーマにした会社で、学校のような存在であることを目指しています。整体院の仕事は、技術よりも「高く売る方法」ばかりが独り歩きしてしまい、営業マンのようになってしまう危険があります。

だからこそ、技術・知識・施術者としての在り方を学べる場所を作りたいと思いました。

そのために、9段階のグレード制と「卒業制度」を導入しています。最高位に到達したスタッフは卒業とし、そのあとは独立・提携店舗の幹部・教育マネージャーなど複数の道を選べるようにしています。会社としても全面的にバックアップしているんです。

――この会社で長く働いてもらうことは考えていないのですね。

はい。この会社から卒業した人は社外で活躍し、その姿を見て業界を目指す若者が「かっこいい」、「あんな人になりたい」と思える環境を作ることが目標です。そして会社にはまた新しいスタッフを迎え入れ、教育して送り出す。その循環を大切にしています。

タイパ(タイムパフォーマンス)やコスパ(コストパフォーマンス)ばかりが重視される時代だからこそ、焦らず技術を磨き、患者様、お客様に喜ばれるための土台を時間をかけて身につけることが重要だと考えています。

――この会社では、研修や学びの場でも自分のあり方、考え方を問われることが多いと聞きました。

そうですね。僕は家庭環境に恵まれていなかったこともあり、小さいころから「何のために生きるのか」、「自分はどうありたいのか」と自問することが多かったんです。向き合いたくない自分の弱さにも何度も直面し、20代のころは自信もありませんでした。

――そうだったんですね。今の姿からは想像できません。

でも弱さと向き合い、受け入れられるようになったことで、同じように悩む人の気持ちがよくわかるようになりました。弱さを認められる人ほど、将来は魅力的なリーダーになれると信じています。そして自分が何のために働くかを理解している人は強い。

整体院の業界でも、そんな人が活躍する未来を作りたいですね。

知識にも技術にも終わりがない。「パズル」に向き合うようなやりがい

どんなに長く続けてきても、飽きることがない仕事だと話す鎌谷さん

――柔道整復師としてやりがいを感じた瞬間は?

開業前に1週間、鹿児島でボランティア施術をしたことが印象に残っています。妻の実家に近い東村山で開業しましたが、心のどこかで「鹿児島で開業する」という目標を達成できなかった悔しさがあったんです。

そこで地元に戻り、公民館を貸し切って町内放送で呼びかけ、無料で施術を行いました。祖父母も来てくれて、地元の方々が笑顔になっていく姿を間近で見たとき、「僕の手さえあれば人を救える」と実感したんです。

道具はいらない。場所を選ばない。経験を積むほど技術は手のなかに蓄積され、どこに行っても困っている人を助けられる。この仕事の魅力を強く感じた瞬間でした。

――やりがいが長く続いている理由は?

飽きることがないからですね。この仕事はどんなに体のことを追究し、いくら勉強しても、終わりがありません。毎回訪れるお客様はそれぞれ異なる人生・生活・痛みを抱えています。

だから、僕のなかではパズルをといているような感覚で、毎回毎回そのお客様の人生や生活スタイルを深掘りしていきながら、施術のアプローチを組み立てていく。それがとても面白いんです。

答えはひとつではない。だからこそ、この仕事は追究し続けたくなります。

――最後に今後の目標を教えてください。

社内でいうとこの会社を卒業し、活躍する人を増やすことです。2025年から正社員雇用も増やしてきたので、教育にももっと力を入れていきたいと思っています。

もう少し広く業界、社会でいうと、先ほどもお伝えしたことと重なりますが、挑戦する人が報われる社会を作ること。そして治療業界に憧れる若者を増やしていきたいと思っています。

まだ道半ばですが、全力でその未来を創造していきます。


技術を磨き続け、そして自分の弱さに向き合いながら人を支えてきた鎌谷さんの歩みには、柔道整復師、治療家という仕事の本質が詰まっていると感じました。

「手だけで誰かを救える」という確信と、「挑戦する人が報われる社会を作りたい」という願い。そのふたつの思いが「TOPRAIZE」の理念や教育制度として形になり、多くの仲間やお客様を惹きつけてきました。

これからも鎌谷さんは、ひとりでも多くの人が自分の可能性を信じ、次のステージへ踏み出せるように、施術者として、経営者として、そばで背中を押し続けます。


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KOTURIBA-整体院 麻布十番店
住所:東京都港区麻布十番3丁目5-7 麻布カジタ303

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