ホテル支配人の仕事内容とは？なり方・必要なスキル・魅力・大変なところをまとめて解説！

ホテルの支配人は、ホテル全体の運営を統括する重要な役職です。施設の管理だけでなく、従業員のモチベーションや顧客満足度の向上なども担います。責任の大きいポジションだからこそ、やりがいの多い魅力的な仕事です。

この記事では、ホテル支配人の仕事内容について紹介します。あわせて、支配人になる方法から必要なスキル、魅力、大変なところまで解説していますので、支配人の仕事に興味のある方は参考にしてください。

ホテル支配人の仕事内容

ホテル支配人は、ホテル全体の運営や部門を統括する最高責任者です。ホテル内で働く人たちのトップとして、大きな役割を担っています。ここでは、支配人の仕事内容について詳しく見ていきましょう。

スタッフの統括・管理

ホテルの業績や顧客満足度を向上させるために、すべてのスタッフを統括および管理をします。具体的には、各部門の担当者や責任者への指導、助言、部門間の情報共有などです。

また、人事や教育などにも権限があります。スタッフの能力を把握し、適材適所の配置ができるかどうかが重要です。

ほかにも、スタッフの要望を聞き取って改善に努めたり、モチベーションを維持し、さらには向上させるための評価や施策を考えたりするなど、組織をけん引する役目もあります。

品質管理

ホテル内を巡回し、接客サービスや設備の品質チェック、管理を行います。

接客サービスについては、フロントやレストランなど、お客様への接客態度が適切かどうかを見て、部門のリーダーに適宜指導が必要です。

また、客室やロビーをはじめ、ホテル内全体の清潔状態や備品、設備の状態もチェック。掃除が行き届いていない箇所には指導を、劣化が見受けられる箇所には交換を依頼するなど、適切に対応します。

業績管理

経営状態をチェックし、収支バランスを分析します。利益を上げるための戦略や価格の見直し、顧客満足度向上のための施策、プロモーション計画などの立案と実施も、業績に直結する重要な仕事です。

コスト管理をしながら、安全対策や衛生管理など、施設維持に必要な管理も徹底します。競合との差別化や、ニーズに応える新規ビジネスの考案なども行いつつ、経営基盤の強化を図ることが大切です。

特別なゲストの対応

通常、宿泊客にはフロント係やベルマンなど、接客担当のスタッフが対応します。しかし、著名人や政治家、海外からのVIP、お得意様などが訪れた際は、支配人が応対することが多いです。

特別なゲストからの評価は、ホテル全体のイメージや信頼に影響するため、どのスタッフよりも優れた接客サービスを提供する必要があります。

ホテル支配人の働き方とスケジュール

ホテル支配人は、ほかのスタッフと同様にシフト制が基本です。休日は、お客様の少ない平日になることがほとんど。多くのお客様が訪れる大型連休は、なかなか休めません。

支配人の1日の仕事の流れは、おおよそ以下の通りです。ホテルによっては順番が前後したり、日によって違う業務を行ったりすることもあります。

ホテル支配人の給料

ホテル支配人の給料は、400万～700万円が相場です。大規模ホテルや外資系ホテルになると、1,000万～2,000万円くらいになることも。

給与体系はホテルによって違い、月給制のところと年俸制のところがあります。月給制のホテルのボーナスは、業績によって大きく左右され、業績が悪いとボーナスが減る可能性があるのが特徴です。

一方、年俸制のホテルでは、ボーナスを含めた人件費が予算として確保されているため、業績に左右されず規定の額を受け取ることができます。

ホテル支配人になるには？

ホテル支配人になるために、必ずしも必要な学歴や資格はありません。しかし、未経験者が就職後にいきなりホテル支配人になることは、ほぼ不可能です。以下で、ホテル支配人になる方法を3つ紹介します。

同じホテルでキャリアを積んで昇進する

ホテル支配人になる方法としてもっともオーソドックスなのが、同じホテルでキャリアを積み、昇進するルートです。

まずは、一般従業員として就職後、フロントや宿泊、料飲などの部門で接客から学びます。その後営業部門や管理部門で、経理・財務・システム・人事などの知識を段階的に身につけ、管理職へ昇格。

さらに、管理職として能力や実績を認められれば、ホテル支配人として選ばれるケースが一般的です。

ほかのホテルに転職する

支配人や支配人候補を募集しているホテルへ転職することで、支配人を目指す方法もあります。支配人やその候補の求人は、新しくできたホテルで、運営会社が地域に根付いていないところなどに多い傾向です。

それまでの実績や管理職としてのスキルが重視され、その地域のホテル業界に精通していると採用される可能性がアップします。

実績を上げヘッドハンティングを受ける

ホテル業界はネットワークが強く、業界内で顔の広いホテルマンや、業績アップなどに貢献しているホテルマンはヘッドハンティングを受けることもあります。スキルを磨いて実績を残し、人脈を広げておくと、そのチャンスに巡り合えるかもしれません。

ホテル支配人に求められるスキルと向いている人の特徴

ホテル支配人は、誰でもなれるわけではありません。ここからは、ホテル支配人に求められるスキルと向いている人の特徴を紹介します。

正確に数字を読み解く能力

業績管理は、ホテル支配人の大切な仕事の一つです。経営状況を把握し、その後の戦略を立てるためには、あらゆる数字を正確に読み解く能力が求められます。経営面で見なければならない数字は、決算書や損益計算書、損益分岐点、原価率、稼働率などです。

そのため、経営学を学んでいる人や日商簿記3級程度のスキルを身につけている人に適しているでしょう。

ホテル業界や経営に関する知識

同じく業績管理において、数字を読み解いたうえで、ホテル業界の幅広い知識や組織を運営する力、目標設定、経営戦略などの立案力も求められ、判断を下す場面が多々あります。また、スタッフの士気を上げつつ、円滑に業務を進められるよう誘導しなければなりません。

そのため、リーダーシップがある人をはじめ、冷静な判断や意思決定ができる人、経営学を学んでいる人に適しています。幅広い知識を習得するためには、勉強熱心で向上心を持ち合わせている必要があるでしょう。

コミュニケーション能力

支配人はお客様をはじめ、スタッフや株主、取引先など幅広い人と関わります。そのため、ホテルの責任者としてトップレベルの接客力と、良好な人間関係を構築するコミュニケーション能力が必要です。

人のために尽くしたり、人を喜ばせたりするのが好きなホスピタリティ精神を持ち合わせている人や、自分から積極的に人とコミュニケーションが取れる人に適しています。

さらには、業界で広いネットワークを築くために、礼節を重んじる人や情報発信ができる人にも向いているでしょう。

語学力

正しい日本語は、ホテルマンとして当然備えておきたいスキルです。さらに、近年のインバウンド需要の高まりから、英語や中国語、韓国語などを身につけなければなりません。

外国人観光客への対応は業績を左右するため、支配人としてほかのスタッフをリードできるほどの語学力が求められます。

あらゆる言語に適切な言葉遣いで対応できれば、サービス品質や顧客満足度の向上が目指せるでしょう。

マネジメント能力

多くのスタッフを抱える組織では、そのマネジメント能力がホテル運営に大きく影響します。スタッフの育成から課題解決まで、さまざまな策を講じ、スタッフが円滑に業務を行えるようにしていくのも支配人の役目です。

また、スタッフが声を上げやすい関係作りを心がけると、健全な組織を運営しやすいでしょう。

チームとして全体をまとめるためには、先述したリーダーシップがある人をはじめ、柔軟な考え方ができる人や、問題解決に向けた解決案を考えられる人に向いています。

ホテル支配人の魅力

ここからは、ホテル支配人の仕事の魅力を紹介します。

お客様が喜ぶ姿を間近で見られる

支配人は、ホテル内を巡回してお客様と遭遇したり、フロントでお客様に対応したりする場面があります。お客様の喜ぶ姿を目の当たりにする機会も多く、満足していただいたお客様から感謝の言葉をもらうことも。

お客様に喜んでいただくために考え抜いたサービスが、スタッフの協力を得て成功している実感も得られます。責任が大きい分、その喜びもひとしおです。とくに、誰かを喜ばせることが好きな人にとっては、大きなやりがいにもなるでしょう。

自分の采配でホテルの方向性を決定できる

自らの経営スキルを活かしてホテルの方向性を決定できることは、もちろんプレッシャーもあります。しかし、責任が重大であるぶん、成功すれば大きな達成感が得られるでしょう。

組織をまとめ、方向性や目標に向かってさらに戦略を考えることそのものも、やりがいがあります。

成果は数字やお客様の声でしっかりと実感でき、業績が上がれば業界内で評価されることもあるでしょう。そこからさらに、キャリアが広がるチャンスに恵まれるかもしれません。

ホテル支配人の大変なところ

ホテル支配人には多くの魅力がある一方で、プレッシャーを感じる局面や大変なところもゼロではありません。以下で詳しく紹介します。

常に責任が問われる立場である

経営している以上は、業績悪化や事故、トラブルなどあらゆる課題を抱える可能性があります。そういった事態が起きたとき、常に最高責任者として責任が問われる立場であることは、大きなプレッシャーになりうるでしょう。

部門間の調整や連携をはじめ、経営悪化やトラブル、クレームを防ぐためには、常に状況を分析し、試行錯誤を重ねなければなりません。

業務量が多い

支配人はスタッフのマネジメントから品質管理、お客様対応、外部との連携や取引に加えて、経営戦略の立案や意思決定など、とにかく仕事が多いです。競合や市場の動向も日々変化するためチェックが欠かせず、常にタスクがある状態。

そして、複数の仕事を並行して行わなければならないため、とにかく多忙です。優先順位を決めながら、効率的に仕事を進めなければならないという点では、大変な思いをすることも多いでしょう。

予期せぬトラブルにも迅速に対応しなければならない

業務が多いなか、予期せぬトラブルが発生した場合には、責任者として迅速な対応が求められます。トラブルの詳細を把握し、適切な解決策を考えなくてはならないため、仕事の優先順位も必然的に変えなければなりません。緊急事態の対応は非常に重要で、責任も重大です。

ホテル支配人に選ばれるには実績とスキルが必要

ホテル支配人は、ホテル全体の運営を担う責任者であり、スタッフのマネジメントから品質・業績管理、特別なお客様対応まで多岐にわたる業務をこなします。従業員のモチベーションを高め、顧客満足度を維持・向上させることも重要な役割です。

マネジメント力やコミュニケーション能力、経営や語学に関する知識など、幅広いスキルが求められ、実績やスキルが認められれば支配人に選ばれる可能性があります。

責任の重いポジションではありますが、自らの判断でホテルを導き、お客様の笑顔に直接触れられるやりがいの大きい仕事です。