ホテルのコンシェルジュに資格は必要?おすすめの資格や求められるスキルを紹介
お客様の要望に応え、滞在をより快適にするホテルの「コンシェルジュ」。その業務は多岐に渡り、一流のおもてなしを提供するのが役割です。
お客様のために尽くすこの仕事には、どのような資格やスキルが求められるのか気になる人もいるのではないでしょうか。
この記事では、コンシェルジュを目指す人に向けて、知っておきたい基礎知識や必要なスキル、役立つ資格などを幅広く紹介します。
コンシェルジュになるのに資格は必要?

結論からいうと、ホテルのコンシェルジュに必須資格はありません。しかし、関連する資格を取得することで、仕事に役立つ可能性があります。ここでは、資格取得のメリットについておさえておきましょう。
就職・転職活動に役立つ
資格は専門的な知識やスキルを身につけている証であり、必須資格がないからこそほかの応募者と差をつけることができます。コンシェルジュやホテルスタッフとして必要なスキルが身につく資格であれば、より有効です。
学んだことを実務に活かせる
関連する資格は取得して終わりではなく、取得するまでに学んだことをそのまま仕事に活かせるのもメリットです。資格にもよりますが、基礎から応用まで幅広く学べるものもあり、経験だけでは身につけられないスキルを習得できます。
幅広い知識やスキルを有することは、自信にもつながるでしょう。
コンシェルジュを目指す人におすすめの資格

ここからは、ホテルコンシェルジュを目指す人におすすめの資格を紹介します。
実技技能検定協会|サービス接遇検定
相手に満足を提供する「接遇」について、心構えや応対技術、言葉遣い、態度、振る舞いなどを身につけ、接客スキルの向上を目指せる資格です。
1級・準1級・2級・3級があり、1級が最上位。1級のみ筆記試験(記述)と面接(テレセールスとロールプレイング)があり、準1級はロールプレイングの面接のみです。2級と3級は、選択問題と記述問題の筆記試験が行われます。
お客様に接するホテルコンシェルジュだからこそ、接遇に関するこの資格は取得しておきたい資格です。
日本マナー・プロトコール協会|マナー・プロトコール検定
社会人としてのマナーや、プロトコール(国際礼儀)の知識と対応力を身につけられる資格です。1級・準1級・2級・3級に分かれており、1級が最上位。
1級の試験は、個人面接と実技5課題です。準1級は選択問題と論述問題、2級は選択問題と記述問題、3級は正誤問題となっています。問題数が多めですが、独自のテキストと問題集を活用することで、合格が目指せるでしょう。
コンシェルジュを目指す人は、難易度が高い準1級以上がおすすめです。
引用元
日本マナー・プロトコール協会|マナー・プロトコール検定
日本マナープロトコール協会|マナー・プロトコール 検定とは
日本ホテル教育センター|ホテルビジネス実務検定
ホテル業界で働くうえで必要な知識を、実務レベルで身につけられる資格です。マネジメントレベル1級、マネジメントレベル2級、ベーシックレベル1級、ベーシックレベル2級の4段階で、ベーシックレベル2級から順に難易度が上がります。
ベーシックレベル2級の試験範囲は、接客などのホテルの基礎から宿泊、料飲、宴会、調理まで。ベーシックレベル1級以上は2級までの範囲に加えて、マーケティング、総務、人事、施設管理、 仕入、 経理などホテルの実務全般を網羅する内容です。
コンシェルジュは、ホテルの業務についてまんべんなく理解しておく必要があるため、上位資格の取得をおすすめします。
引用元
日本ホテル教育センター|ホテルビジネス実務検定試験
日本ホテル教育センター|試験要項|ホテルビジネス実務検定試験(H検)
国際ビジネスコミュニケーション協会|TOEIC® Program
日常会話やビジネスシーンを想定した、英語の聞く・読む・話す・書く能力を測定するテストです。聞く・読むスキルを測定するには「Listening & Reading Test」、話す・書く能力を測定するには「Speaking & Writing Tests」を受験します。
また、話す能力のみを測る「Speaking Test」や初心者・中級者向けの「TOEIC Bridge® Listening & Reading Tests」、「TOEIC Bridge® Speaking & Writing Tests」といったプログラムもあります。
いずれも合否ではなく得点が算出されるため、自分の習得レベルを把握できるテストとして知名度があります。
日本内外からお客様が訪れるホテル業界において、TOEICスコアは英語力を証明するのに大いに役立つでしょう。
引用元
国際ビジネスコミュニケーション協会|社会人の皆さま|これから受験する方へ|【公式】TOEIC Program
全国語学ビジネス観光教育協会|観光英語検定
英語による接客に適した、丁寧かつ端正なコミュニケーション能力を身につけられる資格です。1~3級まであり、1級が最上位。
旅行や観光などの分野における専門的な英語での言い回しや、業務に必要な英語力のほか、国内外の文化や地理、歴史などの知識が問われます。
等級によって求められる語数は異なるものの、旅行や観光に関連する専門用語、慣用表現、国際的な常識などの実用的な問題が出題されるのは全級共通です。海外におけるマナーや習慣の違いを理解しておく必要があります。
専門的な知識とあわせて英語力を身につけられるので、国内外のお客様に観光地の案内をする機会が多いコンシェルジュにおすすめです。
コンシェルジュの仕事内容

ここまでホテルコンシェルジュに役立つ資格を紹介してきましたが、ホテルコンシェルジュについて改めて紹介します。
ホテルコンシェルジュとは、宿泊客がより快適に滞在できるよう、お客様の要望に応じて最適なサービスを提供する職業です。すべてのホテルにコンシェルジュがいるわけではなく、一流ホテルや高級ホテル、外資系ホテルなどで見かけるのが一般的。
コンシェルジュがいるホテルでは、フロントとは別に専門のデスクが設けられています。
お客様の要望は多種多様なため、地域の情報をしっかりと把握し、アイデアや引き出しを多く持ち合わせていなければならない仕事です。
そんなコンシェルジュの仕事内容について、以下で詳しく見ていきましょう。
ホテル内外の案内
コンシェルジュの仕事としてとくに多いのが、お客様へのご案内です。ホテルの施設はもちろん、周辺施設や観光スポット、地域のイベントなどを案内します。各所の営業時間や交通手段、ルートなど、詳細な情報が必要です。
予約・手配
お客様の旅行行程や要望に応じて、レストランや施設サービスの予約、チケットの手配などを代行するのもコンシェルジュの仕事の一つです。周辺施設や観光スポットの予約と並行して、旅行プランそのものを提案することもあります。
イベント演出
記念日や誕生日など、お客様の特別な日の演出を任されることもあります。プレゼントを準備したり、レストランでのサプライズ演出をしたりと、要望に応じてさまざまなプランを考案。予算や好みを聞いて、お客様に満足していただけるよう努めます。
コンシェルジュになるには?

ホテルコンシェルジュに必須の資格はありませんが、未経験ですぐにコンシェルジュになることは難しいです。
一般的には、フロントや宿泊、料飲など、ホテルの中枢となる業務経験を積み、専門の研修などでより高度な接客やマナーを学ぶとコンシェルジュへの昇格が目指せます。
そのため、ホテルスタッフとしての基礎知識やスキルを身につけることがコンシェルジュへの第一歩です。
なお、中小規模ホテルでは、フロントスタッフがコンシェルジュの仕事も兼務するケースがほとんど。そのため、「ホテルコンシェルジュ」という仕事に特化したい場合は、一流ホテルや高級ホテル、外資系ホテルへの就職を目指す必要があることには注意してください。
ここでは、ホテルに入社するまでの道のりを2つ紹介します。
専門学校や大学などで学んで就職する
専門学校のホテル科では、ホテルスタッフに必要な知識やスキル、語学力を体系的に身につけることができます。なかには、在学中に関連する資格を取得できるところも。その後ホテルへ就職し、段階的に経験を積んでいくのがコンシェルジュへの近道です。
また、大学で観光や経営についてさまざまな視点から学んだり、語学力を培ったりしたうえで就職する方法もあります。ホテル業界に特化したカリキュラムではありませんが、コンシェルジュの仕事に役立つ知識を幅広く習得できるでしょう。
未経験で就職・転職する
高校卒業後ホテルに就職する、またはほかの職種を経験したのちにホテルに転職するという方法もあります。就職後は、研修を通じてホテルスタッフの基礎から学ぶのが一般的です。アルバイトやパート、契約社員、派遣社員を経て正社員になるケースもあります。
接客の経験があれば、ホテル業界未経験でもスキルを活かすことができるでしょう。
コンシェルジュに必要なスキルや知識

何度もお伝えしているように、コンシェルジュは、お客様の要望を叶えるのが仕事です。もし叶えられそうにない要望をされても、コンシェルジュとしてできる範囲で最善を尽くさなければなりません。
それを踏まえて、コンシェルジュに必要な知識とスキルを紹介します。
接客スキル
ホテルコンシェルジュに求められるのは、お客様を喜ばせることを第一に考えた接客スキルです。お客様に対応する立場としてふさわしい言葉遣いや立ち振る舞いで、おもてなしの心を持ち合わせていなければなりません。
また、お客様に共感する力やお客様の希望を尊重する思いやり、細かな気配りも必要不可欠です。お客様の期待以上の応対ができれば、その分お客様満足度も上がり、リピート率アップにもつながります。
高いコミュニケーション能力
お客様の要望をより深く引き出したり、意図を汲み取ったりできるような高いコミュニケーション能力が必要です。円滑なコミュニケーションが取れてこそ、コンシェルジュとしてお客様の役に立つことができます。
相手の話を丁寧に聞いて、最適な案内や体験を提案できれば、自然と信頼を置いてもらえるはずです。
要望内容によっては、第三者の協力が必要になる場合もあるので、そこでもコミュニケーション能力が試されるでしょう。
ホテルに関する知識
ホテル内の施設や設備はもちろんのこと、ホテル業全般の知識が必要です。さらには、お客様にわかりやすく説明できるようにしておかなければなりません。
ホテル外の知識|観光地や飲食店など
地域の観光名所や周辺施設、飲食店など、ホテル以外の知識も多いに越したことはありません。お客様の代わりにレストランを予約したり、チケットを手配したりすることもあるためです。目的地までの交通手段やルートなども、しっかり頭に入れておく必要があります。
混雑が予想される日時や予約の可否まで把握し、最適な交通手段やルートを案内したり、予約をおさえたりできれば、お客様は親身になってもらえたと感じるでしょう。
情報収集力
インプットした知識は、ときにアップデートする必要があり、情報収集が欠かせません。とくに飲食店は移り変わりが激しく、いつの間にか閉店していることも。また、営業日時が変わったことを知らずにお客様に案内して休みだった場合、迷惑をかけてしまいます。
そういったことを避けるため、常にアンテナを張り、新しい情報を入手しておくことが大切です。
柔軟な対応力(問題解決能力)
コンシェルジュは、たとえ急なお願いをされても基本的にはNOと言えない立場なので、柔軟に対応する力が必要です。要望が叶えらない場合には、お客様が納得のいく別のサービスを考えなければなりません。
また、トラブルや緊急事態が発生した際は、判断力や問題解決能力が求められます。冷静に状況を見極め、迅速に対応することで被害が大きくなるのを防げるでしょう。
語学力
日本人以外のお客様に対応するには、英語や中国語など、ほかの国の言語も習得しておくのがベストです。日常会話の範囲にとどまらず、丁寧かつ適切な提案や案内ができると仕事の幅が広がります。表現力が豊かであるほど、よりよいコミュニケーションが取れるでしょう。
コンシェルジュの魅力

さまざまなスキルが高いレベルで求められるコンシェルジュですが、お客様一人ひとりに丁寧に接することで、喜びを共有できたり、感謝されたりするという魅力があります。毎日が新しい出会いの連続であり、さまざまなリクエストを受けるので、刺激にもなるでしょう。
コンシェルジュに必須の資格なし!スキルを身につけて活躍しよう

ホテルコンシェルジュには、必須の資格はありません。しかし、お客様の要望に最適なサービスで応えるためには、ホテル内外の知識とあわせてさまざまなスキルが必要です。
また、未経験ですぐにコンシェルジュの仕事に就けるわけではなく、ホテルスタッフとしての幅広い経験も求められます。
しかし、接客やマナー、語学などは関連する資格を取得することで、すぐに仕事に活かせるため、コンシェルジュを目指すなら取得して損はありません。
資格や経験を通じてスキルを身に付ければ、未経験からスタートしてもコンシェルジュとして活躍できるでしょう。





