ホテル支配人の年収はどれくらい?支配人になるまでのステップや年収アップの方法を紹介
ホテル支配人は、ホテル全体の運営を統括し、多岐にわたる部門をまとめ上げるという責任のあるポジションです。支配人の能力が、ホテルの成功を左右するといっても過言ではないくらい重要であるため、給料は比較的高めの傾向にあります。
そこでこの記事では、支配人の年収や仕事内容、キャリアパスについて詳しく紹介。あわせて、年収アップの方法や求められるスキル、向いている人の特徴までお伝えします。ホテルマンとしてキャリアアップを考えている人は、ぜひ参考にしてください。
ホテル支配人・副支配人の年収

ホテルの各部門を総括する最高責任者である支配人(または総支配人)と、その補佐を務める副支配人。ホテルのなかでは多くの権限を持ち、さまざまな業務を取りまとめる仕事ですが、どれくらいの給料がもらえるのでしょうか。ここでは、2つの職種の年収について紹介します。
なお、ホテルの規模や地域、経験によって異なり、一概には言えないため、目安としておさえておきましょう。
支配人の年収は400万~700万円が相場
支配人はホテル全体の責任者であることから、比較的高めの傾向ではあるものの、その年収の相場は400万~700万円と幅が広いのが特徴です。
小規模のホテルでは300万円台のところもある一方で、総支配人という名で最高責任者を任される規模の大きいホテルや外資系ホテルでは、1,000万~2,000万円になるところもあります。
正社員として支配人を務める場合は、一般企業と同様にボーナスが支給されたり、昇給制度があったりすることが多いようです。また、インセンティブがつくこともあります。
こういったボーナスやインセンティブは、業績に左右されやすいです。旅行客が増えて売上が上がれば、規定の賞与を満額で受け取れますが、業績が落ちると上限の半分程度しか受け取れないケースもあります。
先述したように、同じ支配人という立場であっても、ホテルによって差が大きいことが分かります。
副支配人の年収は300万~400万円が相場
副支配人の年収は、支配人よりも低い300万~400万円が相場です。しかしホテルによっては、400万円以上のところもあります。
なお、支配人と同様に、ボーナスや昇給があり、インセンティブがつくことも多いです。
いずれも年俸制のところがある
ホテルによって、給与体系にも違いがあります。毎月の給料やボーナスが業績によって変わるホテルもあれば、支配人や副支配人などといった管理職の給料は、年俸制としているホテルもあるようです。
その場合、業績に関わらずボーナスは規定の額で支払われるため、自身の年収もおおよそで予想がつきます。
年俸制を取り入れているホテルは、毎月の給与額や年収の見通しが立てやすく、将来設計がしやすいのがメリットです。
支配人や副支配人の位置づけと仕事内容

ここからは、ホテルの運営に関わる支配人や副支配人について、どういった位置づけにあり、どんな仕事を担うかを紹介します。
支配人
支配人は、ホテルの運営や経営を管理する最高責任者です。フロント・料飲・宴会・人事・経理などといったすべての部門を統括し、ホテルの目標設定や経営戦略、財務管理などの責任を担います。運営資金の確保や予算配分なども、その裁量に委ねられるのが一般的です。
また、スタッフを取りまとめる仕事でもあり、副支配人と協力しながら、部門リーダーへの指導や情報共有、モチベーションの管理なども担当します。クレームやトラブル発生時には、最終的に責任者として対応が必要になることも。
対外的な部分でいえば、取引先の重要人物や株主とのやり取りは、支配人クラスの仕事。要人や特別なゲスト、お得意様なども支配人が応対することが多いです。そういったお客様に対応する接客スキルは、ホテルのトップクラスでなければなりません。
総支配人との違い
総支配人とは、大規模ホテルや老舗、一流ホテルの各部門を統括する最高責任者のことを指し、中小規模のホテルには配置されていないことも多いです。
役割はさきほどの支配人と同じ部分もありますが、中小規模ホテルの支配人よりも統括する部門や仕事が多く、その責任や裁量も中小規模ホテル以上。
総支配人がいる場合、支配人は各部門の責任者として配置されます。
副支配人
支配人の補佐として現場とも密に関わりながら、特定の部門やいくつかの部門を管理するのがおもな仕事です。ホテル責任者の二番手という立場で、経営方針に従って現場のオペレーションを管理したり、スタッフのトレーニングをしたりといった役割があります。
また、経営に携わる管理職でもあるため、ホテルによっては採用業務や広報、サービス企画の権限を持つこともあるようです。
支配人になるには?

支配人になるには、一般従業員から段階的に経験を積んでいくのが一般的です。日系ホテルの多くは年功序列型で、支配人のポストが空いたら次のポジションにいた人が支配人に就任します。
もちろん例外もあり、最近は新卒でも本部に配属されたり、実力によって数年でマネージャーや副支配人に就いたりするケースもあるようです。
一方、外資系ホテルは実力主義で、早くに管理職のポジションが与えられることもあります。
ここでは日系ホテルの傾向をふまえて、未経験のホテルスタッフから支配人になるまでのキャリアパスの一例を見ていきましょう。
1. 一般従業員としてホテルに入社する
まずは、一般従業員としてホテルに入社し、フロントスタッフやレストランのスタッフなどからキャリアをスタートします。ホテルの基本業務である接客やホスピタリティ、マナーなどを学ぶためです。
その後、管理業務なども並行して学び、ホテルスタッフとしての知識やスキルを身につけます。
2. チームマネージャーに昇格する
配属された部門で、基本的な接客スキルやその部門ならではスキルを身につけ、新人トレーニングの指導なども一通り経験すると、チームマネージャーに昇格できます。チームマネージャーは、部門の運営やシフト作成など、チーム全体の管理を担う立場です。
部門によって昇格のタイミングは異なりますが、だいたい5年目以降と言われています。フロント部門やレストラン部門で昇格するためには、関連する資格の取得などが求められることもあるようです。
3. 副支配人になる
副支配人になるには、チームマネージャーとして幅広い業務を積み、実績を残していくことが求められます。未経験からスタートした場合、入社10年目以降が目安です。
仕事内容は、先述したように部門全体の統括、複数部門の統括などで、より責任の大きい立場になります。
4. 支配人になる
副支配人として実績を残し、経営に関わる知識やスキルを身につけると、支配人を目指せます。ホテル運営のマネジメントを担うため、ホテル全般の業務を総合的に理解したうえで、相応のビジネススキルが必要です。
支配人が年収アップするには?

さきほどお伝えしたように、一口に「支配人」といっても、年収はホテルによって違います。ここでは、支配人が年収アップする方法について見ていきましょう。
総支配人へのキャリアアップを目指す
今の立場が最高責任者ではなく、部門の統括を任される支配人であれば、総支配人へのキャリアアップを目指すと年収アップも期待できます。支配人としてさらに知識やスキルの幅を広げ、業績に貢献するなどの努力が必要です。
ただし、総支配人は1人しかなれないので、狭き門といえます。すでに総支配人がいる状況では難しく、ポストが空くのを待つしかありません。
また、勤務するホテルに総支配人という役職がない場合、同じ職場での大幅な年収アップは難しいでしょう。
別のホテルの支配人への転職を目指す
ホテルによっては、支配人や支配人候補を募集しているところもあり、相応のスキルがあれば別のホテルの支配人への転職が目指せます。また、優秀な人材であると業界内で認められていれば、ヘッドハンティングを受けることもあるかもしれません。
いずれも、スキルや経験に応じて給与の交渉ができる可能性があるため、希望額を提示して交渉してみるとよいでしょう。
外資系ホテルではMBA取得が条件となることも
外資系のホテルは、MBA(Master of Business Administration=経営学修士号)の取得が必須条件となっていることが多いです。また、海外勤務経験も高く評価される傾向にあります。
MBAとは、資格ではなく学位です。ビジネススクールなどで、経営学の大学院修士課程を修了すると取得できます。
MBAは、ヒト・モノ・カネに関する高い経営知識を学ぶ短期プログラムで、論理的思考力、課題解決力、コミュニケーション力などのビジネススキルも身につけられます。
ただし、この学位自体が評価されるというわけではなく、学んだことがどれだけ現場で活かされたかが重要です。
大学院では経営知識やビジネススキルが身に付くだけでなく、多様な人々と出会い、ネットワークが広がるため、自己成長の機会が増えます。その結果、総支配人や支配人へのキャリアの幅も広がるのです。
引用元
グロービス経営大学院 |MBA(経営学修士)とは?取得のメリットや費用など
支配人に求められるスキル

支配人はホテルの管理や経営を担う立場として、その責任は重大です。そのため、ホテル全体の運営方法や、各部門単位での仕事内容をくまなく理解しておく必要があります。それぞれの部門で、高いサービス品質を実現する力も不可欠です。
ホテルマンとして、お客様に対するホスピタリティのある接客力はもちろん、従業員や取引先などとの円滑なコミュニケーション能力が欠かせず、リーダーシップが求められます。クレームや緊急時には、柔軟かつ迅速な対応力を発揮しなければなりません。
また、マネジメント能力や数字に対する強さ、語学力なども必要で、知識を活かした判断を要する場面も多々あります。
さらに、地域や時代のニーズを見極め、売上や顧客満足度を高めるための企画力も求められるでしょう。
支配人に求められるスキルは、以下の記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
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支配人に向いている人の特徴

支配人に求められるスキルをふまえて、ここでは支配人に向いている人の特徴を紹介します。
チームをまとめるリーダーシップがある人
ホテルの運営を成功に導くためには、スタッフのモチベーションまで考慮する必要があります。そのため、スタッフ一人ひとりがチームとなって仕事にあたれるよう、チームを取りまとめるリーダーシップがある人に向いている仕事です。
すべてのスタッフが業務を円滑に進め、サービス品質やお客様満足度を向上させられるように、管理・誘導することが求められます。
責任感のある人
最高責任者として多くの権限を持ち、あらゆる決断をする立場にあるため、責任感が強い人に向いています。
支配人をはじめ、管理職につけるのはホテルスタッフのほんの一握りです。そのトップに立つ人間として、ホテル全体の責任を担うには相当な覚悟が必要になるでしょう。
冷静かつ柔軟に判断が下せる人
経営状況は常に冷静な分析が必要で、その時々で対応も異なります。また、課題を抱えることも多く、解決能力が問われる立場です。そのため、物事を客観的に見ながら、柔軟かつ広い視野で考え、正しい判断を下せる人に向いています。
ホテル支配人はキャリアアップも狙える!

ホテル支配人は、ホテル全体を統括する責任ある立場です。その年収は、ホテルによって幅がありますが、400万~700万円が相場で、規模が大きいホテルなら1,000万円以上もらえるところもあります。
支配人になるには、現場経験を積みながら段階的に昇格するのが一般的で、誰でもなれるわけではありません。チームマネージャーや副支配人などの経験が重要で、実績も必要です。
高いコミュニケーション能力やリーダーシップ、マネジメント力など、多様なスキルが求められる一方で、それらを活かして成長できる環境でもあります。
自身のスキルを磨き、しっかりと実績を残すことができれば、総支配人への昇進や外資系ホテルへの転職など、キャリアアップや収入アップが狙えるでしょう。





