メニュー構成もお客様へのアプローチも変化に合わせて即シフトチェンジ/uka 東京ミッドタウン 六本木 打矢佳菜江さん #1
コロナ禍での働き方は「時短で高パフォーマンス」がキーワード。そんなwithコロナ時代を生き抜くために、どんな取り組みを行っているのか、そのプラス効果とは?
今回取材したのは、uka 東京ミッドタウン 六本木のネイリスト・打矢佳菜江さん。指名の絶えない人気ネイリストであると共に、社内教育も担当する打矢さんに、コロナ禍での働き方や業界の変化についてお聞きしました。
お話を伺ったのは…
uka 東京ミッドタウン 六本木
トップネイリスト 打矢佳菜江さん
東京文化美容専門学校卒業。ネイルの他に、美容師免許や着付け、メイク、エステなどの資格も保有するマルチな才能を認められ、期待の新人として2011年4月uka入社。現在は、トップネイリストとして活躍しながら、社内教育の責任者も務める。シンプルでありながらセンスが光る色使いやデザインが好評で、大人の女性たちから支持多数。予約がなかなか取れない人気ネイリストとして注目を集めている。
※2021年5月から、uka 東京ミッドタウン 六本木に在籍しています。
コロナで時短もほぼ通常営業。期間限定で特設サロンも稼働
——コロナ禍で、サロンの勤務体制は変わりましたか?
最初の緊急事態宣言が出て(2020年4月)、全店でお店を閉めることになりました。ukaは商業施設に入っている店舗が多いため、その商業施設がgoサインを出さないと再開できない状況に。世の中的にはGW明けに再開したところが多かったように思いますが、それぞれの商業施設の意向によって5月の半ば過ぎくらいまで休業していた店舗もありました。
休業中、自宅待機していた時も、毎朝オンライン(チームスを活用)で顔を合わせて朝礼をしていました。スタッフには必ず課題を出して、自宅でデザインを作成してもらい、それをチェックしてアドバイスをするということを毎日続けていましたね。
——商業施設のルールがあるのは仕方ないことですが、なかなか再開できずもどかしい時間を過ごしたのでは……。
商業施設からOKが出るまで、実は別の場所で特設サロンを稼働させていました。ukaのオフィスと練習スタジオがあるのですが、その場所にテーブルやイス、施術道具などを全部運び込んで、臨時的にサロンをオープン。ネイルもヘアも一緒にできるようセット面を作って営業していました。
その準備と同時進行で、スタッフ陣はお客様一人一人に電話して、「今こういう状況なので別の場所にサロンを~」と丁寧に説明。限られたスペースのため、予約をうまくやりくりして、ソーシャルディスタンスに気をつけながらの営業でした。
5月半ばくらいに、元の店舗での営業が再開。朝のオープンは11時から(変更なし)、閉店は21時だったのを20時までに。ネイリストの数はそれほど多くないので、基本的に全員出勤で、お客様の席の間隔が近くなり過ぎないよう注意して施術を行なっています。
この先の時代を見据え「ケアメニュー」を充実。情報発信はSNSをフル活用
——集客について、新たに取り組んだことはありますか?
「急にコロナが始まって一時休業になり、これが明けたら時代が急速に変わると思う」。最初に社長からみんなに伝えられた言葉がこんな内容でした。
じゃあ今までのメニュー設定で良いのか? 趣向もやりたいことも変わり、今まで通りにはきっといかない。そんな中でどうしたらネイルサロンに足を運んでもらえるのか。それを踏まえ、メニューの中身から値段まで、改めて考え直したんです。
大きく変えたのは、ネイルケア。サロンになかなか来られない環境や、素爪の健康を大事にしようという方が増えてきたこと、アルコール消毒で手の肌荒れが深刻化していること、そういった観点から、これまで一つだったケアメニューを充実させ、「ネイルケアプラス」「ネイルケアスペシャル」という2つのコースを追加しました。
これが大正解で、休業明けからケアの予約が急増。今までジェルメインだったお客様がケア中心に切り替わり、以前より注目いただけるようになりました。
——ukaでは、SNSからもいろいろな情報を配信していますよね。
1回目の宣言後からインスタライブで「ukaの部屋」を配信していました。おうちでできる美容ネタを中心に、ジェルの除去法やカラーが伸びてきてたらどうすれば良いのかなど、お客様が美容から離れていかないよう、興味を持っていただけるような内容で構成していました。
毎日20時から、同じ時間に配信していたのもポイント。私にも出演オファーが来まして、後輩と一緒に2画面で、爪のセルフケアについてレクチャーしました。
個人のインスタからも投稿をしていましたね。休業に入る前は、ukaのベースコートやポリッシュをいくつか持ち帰り、ネイルチップを作成してインスタにアップ。サロンに来られない間も、自分で簡単にできるお洒落なデザインや色の組み合わせなどをお伝えできればと、という思いでした。
また、サロンケアの大切さも忘れて欲しくなくて、ネイリストである私が自分の爪をケアしている動画を編集してアップしたりも。細かい技術だったり正確さだったり、プロならではのケアの良さを改めて知っていただけるいい機会になったと思います。
お客様により安心してもらえるよう、コロナ対策を「見える化」
——ネイルの施術はお客様との距離が近く、苦労されたのではないですか?
ネイルの施術は一対一で行うのが基本。お客様と対面になるサロンさんも多いと思うのですが、ukaはお客様の横に付いて施術するスタイルです。常時マスクはもちろんのこと、その上からフェイスシールド、あとは手袋(薄いゴム製)も着用します。手袋は最初のうちは戸惑いましたけど、今はもう慣れましたね。
手や道具の消毒も徹底しています。消毒については、コロナ前から入念に行なっていましたが、これを機に「見える化」を意識。施術に使う道具がしっかり消毒済みです、というのがお客様の目で見て安心できるように、あえて見える場所に置いたり、滅菌パックに入っている道具を開封するところから始めるなど工夫しています。
売り上げは徐々に盛り返し、2020年後半からは横ばいをキープ
——コロナ禍で売り上げの変動が大きかったと思います。
2020年4月にいったん休業となり、その月は一気にダウンしています。自粛が明けて再開すると、徐々に盛り返していった感じでしょうか。例年よりはやや少ない月があったものの、2020年後半は横ばいをキープすることができました。夏場のペディキュアの需要が少し減った感じはありますが、ケアメニューを充実させたことが大きく、ケアの予約がぐんと増えたのも事実です。
コロナ禍での特徴としては、予約のキャンセルが入りやすいことかもしれません。今でこそ落ち着いてきましたが、世の中の空気感だったり、感染者数の変動で、キャンセルが多くなる時もありました。
——自社製品がたくさんあると思いますが、店販の売り上げに変化はありましたか?
コロナ前は、サロンでネイルをして、ネイルオイルやハンドクリームなどを買っていくというのが定番の流れでした。今はこのスタイルもありつつ、ECサイトから商品を購入されるお客様も増えています。
ECサイト自体は前々からありましたが、コロナ禍で需要がよりいっそう増えました。これまでよりも自宅でしっかりセルフケアしようというお客様に商品を購入していただけるのはとてもうれしいことです。
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コロナで突然の休業を迫られ、誰もが衝撃を受け、呆然とした。そんな状況で、今できる最善策は何か? お客様が求めるものは? 時代はどう変わっていくのか……。真っ先に行動を起こして突き進んできたukaに、落ち込んでいる印象は全くなくて、むしろ次は一体何をしてくれるんだろうというワクワク感すら感じることも!
後編では、そんなukaで働く打矢さんの1日のタイムスケジュールや、業界の今後の動向などについてお伺いします。
▽後編はこちら▽
選ばれるネイリストの秘訣は技術とセンス、そして人間力/uka 東京ミッドタウン 六本木 打矢佳菜江さん #2>>
取材・文/青木麻理(tokiwa)
撮影:mika
Salon Data
uka 東京ミッドタウン 六本木
(ウカ トウキョウミッドタウン ロッポンギ)
住所:東京都港区赤坂9-7-4
東京ミッドタウン ガレリア2F ビューティー&ヘルスケアフロア
TEL:03-5413-7236
打矢さんのInstagram:@uka_kanae_u
ukaの公式Instagram:@instauka