【子育て応援メソッド】子育てに寛容な老舗サロン。パパになってそのありがたみを痛感/kisa fata テクニカルディレクター ヤマダアキラさん#1

美容業界で働くワーママ・パパに仕事と育児の両立について伺う「子育て応援メソッド」。今回お話をお聞きしたのは、「kisa fata」のテクニカルディレクター・ヤマダアキラさんです。

体調を崩すことが多かったという奥様の妊娠中、急な早退などもあったようですが、サロンが働き方改革を行い、子育てしやすい環境を整えてくれていたおかげで、しっかり奥様をサポートすることができたと言います。

前編では、妊娠期間中にサロンのママさん制度に助けられた話、出産時のエピソード、夫婦喧嘩の仲直りアイテムを教えていただきました。

教えてくれたのは…
kisa fata テクニカルディレクター ヤマダアキラさん

20歳で美容師を目指し、専門学校卒業後にkisa fataに入社。これまでの13年間、同サロンに務める。長年付き合っていた今の奥様と29歳のときに結婚。今年4歳になる女の子のパパ。InstagramやYouTubeでは娘さんをモデルにし、キッズ向けのヘアアレンジを発信。

Instagram:papa_biyoushi

YouTube

ママさん制度が充実している職場のため、急な早退にも寛容だった

奥様とは7年間のおつきあいの末に結婚

――これまでの経歴を教えてください。

高校を一度中退した後、通信制の高校に通いながら溶接の仕事をしていました。二十歳で美容専門学校に入学したので、実は2年遅れて美容師になったんです。専門卒業後にkisa fataに入社し、ずっとこのサロンにお世話になっています。今年で13年目になるでしょうか。今はテクニカルディレクターという役職についています。

うちは来年で30年目になる老舗ですが、コンテストへの出場や、セミナー講師、ヘアメイクの仕事など、色々なことにチャンレンジさせてくれました。

――奥様は同じ美容業界の方ですか?

いえ。僕がアシスタント2年目くらいのときに、知人の紹介で当時大学生だった妻と出会ったんです。大学卒業後は医療事務の仕事をしていましたが、妊娠を機にすっぱり辞めたんです。僕に相談もなく(笑)。今は楽しそうにパートをしていますよ。

――お子さんは今4歳でしたね。

結婚3年目の、僕が31歳のときに授かりました。妊娠を伝えられたときは嬉しかったですが、同時に焦りもしましたね。自分が養わなければ、もっと稼がなければ、とね。男性は特にそうだと思いますけど、子どもがいるとどのくらいの収入があれば安心なんだろう?とすごく考えました。

タイミングも良かったのか、当時の店長の独立もあったり、自分の売上も上がってきていたので、上の役職になりさらに頑張ろうと思える良い機会にもなりました。

――妊娠中、奥様をどのようにサポートされていましたか?

妻はつわりがひどいタイプで、動けないことが多く、6〜7ヶ月目くらいまでその状態が続いたんです。なので、家事全般は僕がやっていました。亭主関白だった父親に似て、僕も以前は妻に何でもやってもらっていたんですけど、「自分のことは自分でやる」という意識に変わりました。あとは寝込んでいる妻のために、コンビニでアイスを何十個も買ってきたり、笑ってくれるかなという思いで色々やりました。

――奥様が体調を崩されていた期間が長かったとのことですが、それに合わせてヤマダさんの働き方も変える必要があったのではないでしょうか?

これもタイミングが良かったんですけど、僕が結婚した頃からうちのサロンで働き方改革をはじめ、早番・遅番シフトを導入し、労働時間をきちんと法律に合わせようということになったんです。もちろん残業も極力しないように、というルールに。

僕は基本遅番シフトだったので、12時半〜21時半くらいまでの勤務でした。後輩の練習に付き添ったりすると帰宅時間が遅くなることはありましたが、朝はゆったりしていたので、家事をやる時間はわりと確保できていたかなと思います。

あと、予約が入っていなければ早上がりをすることも可能だったんですね。今でも、自分の担当の予約が後半入っていなくて、お店的にも僕がいなくても問題ないなと思えば早めに上がらせてもらっています。他のスタッフも同様に、大丈夫そうなときは早めに上がってもらうことも。うちのサロンでは、働いている時間をコンパクトにしながらも売上はしっかり確保あるいはさらに伸ばし、アシスタントなら練習時間を確保する努力をしています。

ママさんに対しては、「オーナーと相談しながら出勤日数、働く時間を自分たちで決めて下さい」という風に、以前からママさん制度が充実していたんですね。自分がパパになってから話が通じやすかったし、急遽の早退や、子どもの行事で遅れて出勤する場合などに理解あるお店だったんです。要するに良いお店ってことですね(笑)。それと同時にお客様にもご理解頂けてとても助かりました。

子どものためにも、夫婦喧嘩は深刻化する前にケーキで和解

――出産当日はやはり緊張しましたか?

その日は出勤していて、13時半くらいに妻から「陣痛が来たから病院に行ってくる」と連絡があり、お客様のカットを全てこなしてから、18時くらいに僕も病院に駆けつけました。痛がっている妻とは会話ができず、僕は妻の背中をさすることくらいしかできなくて…。その日は朝から何も食べていなくて腹ペコだったんですけど、一瞬だけ食べ物を口に入れることも、飲み物を買いに行くことも許されずで(苦笑)。しかも、看護師さんの目も怖くて、深夜3時に産まれるまでひたすら団扇で妻を仰いでいたのを覚えています。

産まれた瞬間は「やっと産まれた」という安堵の気持ちと同時に、低血糖の状態で産まれたため、すぐにNICUに連れて行かれたのでかなり心配でした。

――最初はNICUに入っていたのですね。

一週間くらい入っていたのかな。NICUではスマホ撮影が禁止で、デジカメならOKと言われたんですね。でも今の時代、デジカメなんて持っていませんでしたから、すぐに病院近くの家電量販店にデジカメを買いに走りました。

――いざ子育てがスタートし、大変だったことはありますか?

大変だったことはないんですよね。僕、もともと子どもが好きでしたし。おむつを変えるのも苦ではなかったし、ご飯も食べさせていたし、今も娘と一緒に寝ているし、二人だけでお出かけもよくしています。

うちのサロンはお子さんを連れて来るお客様がとても多く、アシスタント時代からそういう光景をよく見ていたので、子どもに接することに慣れていた部分もあったと思います。

大変だったのは子どものことより、どちらかというと妻への接し方ですね(笑)。

――奥様とぶつかることも多かったのでしょうか?

僕は日中仕事しているので、一日中子どもと一緒にいる妻の大変さを理解できていない部分もあるんですよね…。以前は、娘を叱っている妻に対し「まだ子どもなんだから…」と口を挟んでしまい、喧嘩になることがしょっちゅうでした。妻にも言い分はあると思いますが、自分の性格上、子どもに怒鳴る人が苦手なんです。うちの妻にはそうなってほしくなくて。

――ママさんにもきっと色々な葛藤がありますよね。奥様と喧嘩してしまったときはどのように仲直りをしていますか?

妻の機嫌を上手に取れるようになったのは最近ですよ。それまでは言いたいことをそのまま言っちゃっていましたから。しかも、僕はどちらかというと謝らないタイプで、喧嘩するとお互いに口をきかないんです。2〜3週間口をきかないときもありました。でも、子どもはすぐ感じ取るじゃないですか。僕らが喧嘩をしていると、うちの娘も仲裁に入ってくるんです。僕らが喧嘩している時間は無駄ですし、子育てにおいても良くない

そう思って、方針を変えました。あまり口出しをしないようになったのと、喧嘩をしたら、仕事帰りに美味しいケーキを買って帰ることに。ケーキを買って帰ると結構許してもらえるんですよ。自分が悪いと思っていないので許してもらうって表現もおかしいんですけどね(笑)。

喧嘩をしたときは下手に言い負かそうとしない方が良いと思います。結局ぶつかるだけなので。


「子どもが大好き」という気持ちが全面に出ていたヤマダさん。ご本人のInstagramはまさに娘さんづくし。娘さんの成長記録となっていると同時に、投稿を通じてキッズ向けヘアセットを発信しているようです。後編では、幼稚園のお受験エピソード、ヤマダさんにとってのInstagramのあり方、子育てと仕事を両立するためのコツをお聞きします。

取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/喜多二三雄

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Salon Data

kisa fata
住所:東京都渋谷区恵比寿西1-3-1 2F
電話:03-5459-2936
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