音大卒会社員からネイリストに転身。人気に火をつけたのは手描きの「推しネイル」【atelier+LIM 生澤郁香さん】♯1

大阪・梅田にあるショートネイルとアイラッシュのサロン「atelier+LIM」。ショートネイル人気の先駆けであり、「誰かに見せるためではなく、自分の心を満たしてくれるネイル」というコンセプトが多くのお客様に支持されているサロンです。

「atelier+LIM」で店長を務めているのは、生澤郁香さん。生澤さんは音楽大学を卒業後、別業種で会社員として働き、ネイリストに転職したという異色の経歴の持ち主です。

前編では生澤さんがネイリストを志したきっかけや、人気サロン「atelier+LIM」に入社するまでの紆余曲折について伺いました。

今回、お話を伺ったのは…

生澤郁香さん

「atelier+LIM」店長。栃木県出身。尚美学園大学で音楽を学んだ後、接客業・事務職を経験。「LIM NAIL SCHOOL」に入学してネイルの基礎を学び、ネイリストの道へ。日常になじむさりげない推しネイルの施術を得意としている。技術の高さが評判を呼び、セミナーも開講中。美術館とのコラボや、通販サイトと協働し手描きのアートが入ったグッズを発売するなど、活躍の幅を広げている。趣味はお菓子作りと漫画やアニメ、ゲーム。Instagramのフォロワーは1.4万人(2026年5月時点)。

インスタグラム

Ikuka’S PROFILE

お名前

生澤郁香

出身地

栃木県

出身校

尚美学園大学、LIM NAIL SCHOOL

趣味や休みの過ごし方

美術館へ行く、映画鑑賞、ゲーム、お菓子作りなど

道具へのこだわり

筆にはこだわりがあります。繊細なアートを描くため、毛が細く柔らかい、決まったメーカーの同じブラシを愛用しています。

推しがきっかけでネイリストへ。 会社員からネイリストへの転身

お客様が希望したモチーフをナチュラルにネイルに取り入れることを得意としている

――生澤さんは異色の経歴をお持ちだとか。

確かにネイリストとしては珍しい経歴かもしれません。小学生のころからトランペットの演奏に夢中になり、音楽科のある高校と音楽大学へ進学。ただ、当時は大好きな演奏を続けたいという思いだけで進学先を選んでいて、「音楽で食べていくんだ!」という強い意志はありませんでした。

将来のビジョンがないまま卒業することになり、選んだ就職先は都内にあるエンタテイメント業界の接客業。髪を染めるのも、ネイルも禁止という厳しいルールのある会社でした。数年後、自由を求めて事務職に転職し、生まれて初めてサロンへ行きネイルをしました。それが、今私が店長を務める「atelier+LIM」の系列店、「virth+LIM」だったのです。実は高校・大学時代も楽器を傷つけないためにネイルをしたことがなかったので、ひそかに憧れを温め続けていたんですよね。

――なぜ数あるネイルサロンの中から「virth +LIM」を選んだのですか?

私はナチュラルだったり、ポップなテイストのネイルをしたかったのですが、10年ほど前は、原色を使ったり、パーツをたくさん乗せたギャルっぽいデザインをしているお店が多くて。

理想通りのサロンがないことを当時の同僚に話したら、東京にある「virth+LIM」のことを教えてくれたんです。「virth+LIM」 はショートネイルの先駆けで、デザインも私好み。SNSなどで調べるほど、私にぴったりのサロンだと感じました。

――最初はいちお客さんだった生澤さん。なぜネイリストになろうと思ったのですか?

大きなきっかけは、私の「オタク趣味」にあります。当時、私はいろいろなジャンルのオタクをしていて、自分の大好きな推しをネイルに入れたかったんです。当時の推しネイルは、キャラクターそのものが前面に出ているデザインが主流でしたが、私は推しのイメージカラーや、さりげないモチーフをデザインの一つとして取り入れた推しネイルがしたいと思っていました。

ただ、担当ネイリストさんに自分の趣味をオープンにするのが少し恥ずかしくて。推しネイルをしたいことを隠しながら、ネイリストさんに「この色と、このモチーフをうまくデザインに入れてください」とニュアンスを伝えるようにしていました。ネイリストさんも「何かのモチーフだろうな」と察していたと思いますが、あえて深く追及してこないという絶妙な空気感のなかで施術を受けていました(笑)。

「シンプルで日常になじむ推しネイル」の需要に気づき、ネイリストの道へ

プロからの教えを受けて、技術がめきめきと上達したと話す生澤さん

――やりたいデザインが明確にあるけれど、自分の趣味をはっきり伝えることに躊躇したんですね。

はい。ネイリストさんはとても丁寧に私の要望に耳を傾けてくださって、ありがたかったです。でもある日、「自分で技術を身につけたら、自分の理想通りの推しネイルがし放題なのでは?」と気づいたんです。それに、私が「日常になじむナチュラルで可愛いテイストの推しネイルをしたい」と思っているということは、他の人からも同じ需要があるのではないかと気づいて。

――そこからどのようにネイルを学んだのですか?

事務職を続けながら「LIM」が運営するネイルスクールに通い始めました。スクールの費用は決して安くはなく、物理的にも金銭的にも大きな決断でした。しかし、当時の私は毎日のルーティンワークに対して、心のどこかで「ずっとこの仕事を続けていくのかな。ちょっと物足りないな」と感じていた時期でもあったんです。

このスクールを卒業すると大好きな「virth+LIM」の採用試験への応募資格がもらえるということもあって、思い切って入学しました。

――働きながらスクールに通うのは大変ではなかったですか?

平日は事務職の仕事にしっかり取り組み、毎週日曜日に朝10時から夕方17時まで通うコースを選択していました。ハードだと思われるかもしれないですが、好きなことですし、「本格的な大人の習い事」という感じで毎週楽しかったですね。

実はスクールに通う以前に、道具をそろえて本を見ながら自宅でセルフネイルをやってみたこともあるのですが、全然うまくできなくて(笑)。「私にはネイリストの才能がないんだ」と落ち込んだのですが、スクールでプロの先生から理論と技術をきちんと教えてもらったら、みるみるうちに上達しました。

初回の面接はまさかの不採用。2度目のチャレンジで「atelier+LIM」に就職

「virth+LIM」の世界観に魅了され、ここ以外で働くことは考えられないと思っていたそう

――卒業後、いよいよ「virth+LIM」の採用試験を受けたんですね。

卒業にあわせて事務職の仕事を辞め、採用試験を受けました。ところが結果は不採用。面接の場で「入社したら絶対にこういうデザインを打ち出して、お客様を集めたいんです!」という入社後のビジョンを熱く語りすぎてしまったのが原因だと感じました。現場の店舗スタッフからすると、「ガツガツと自己主張が強くて、協調性がなく、チームの和を乱してしまうタイプかもしれない」と誤解されてしまったようでした。

――熱意があるがゆえ、誤解を招いてしまったんですね。

そうなんです。面接に同席していた、ネイル・アイ部門を統括しているスタッフからかかってきた不採用を告げる電話で「東京のサロンは残念だったけれど、生澤さんの熱意とビジョンを気に入りました。もしよかったら、大阪の店舗で一度面接を受けてみませんか?」と提案していただきました。

うれしい気持ちはありましたが、慣れ親しんだ東京を離れることに抵抗があって。1週間時間をもらい将来を考えましたが、「LIM」以外のサロンで働くビジョンが見えなかったので、大阪行きを決意しました。初回の面接の反省を生かして面談を受け、無事採用に至りました。

後編では、ネイリストとして大切にしている心構えや活動の幅を広げたきっかけについて伺います。


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atelier+LIM
インスタグラム
住所:大阪府大阪市北区梅田1-12-6E-MA 4階
TEL:06-6136-3746

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