経営初心者でも独立が目指せる「フランチャイズ」という選択 (株)スタイルデザイナー 篠塚 綾さん #1

サロンで働きながら、「ゆくゆくは独立したい」と思い描いている人も多いでしょう。さまざまな「独立の形」を前編と後編にわたってご紹介します。今回、スポットを当てるのはフランチャイズという形。前編では独立を考えている人をサポートしている(株)スタイルデザイナーの篠塚綾さんに、フランチャイズのメリットとデメリット、起業するうえで心がけておきたいことなどを伺いました。

お話を伺ったのは…

(株)スタイルデザイナー 開発部 係長
篠塚 綾さん

美容業界とはまったく関係のない業種で営業職などを経て、2009年(株)スタイルデザイナーへ。現在は年間約60名の独立を希望する美容師と面接し、独立開業のサポートをしている。

初期費用も経営ノウハウも丸ごとサポートしてくれるのがフランチャイズのメリット

――(株)スタイルデザイナーは、どんな会社なのですか?

美容師の独立開業をプロデュースして、美容師さんが思い描いている夢をカタチにするお手伝いをしています。美容室のフランチャイズを統括していますが、みなさんが思っていらっしゃるより自由度は高いと思います。ご自身で店舗の名前や内装、メニューなどを決めていただくタイプから、こちらでご用意した店舗の中で一から経営を学んでいただくタイプまで、さまざまな選択肢からご予算や経験値にあったものを選んでいただいています

――美容師の中でも指名が増えて予約が取れないレベルになれば、独立するのは簡単…と思っていました。そうではないんですか?

美容師としてのスキルを教える場所や機会は多いのですが、美容室経営を教えてくれる場所はほとんどないのが現状です。そのため、開業した後に苦労なさっているケースが多いようです。

また、やる気と実力はあるけれど自己資金が用意できなくて、独立することをあきらめてしまう方もたくさんいます。独立するには、開業と経営のノウハウと、ある程度まとまった資金の2つの問題があります。スタイルデザイナーは、この2つの問題を解決できるように美容師さんをサポートする会社です。

スタイルデザイナーが展開しているサロンは全部で100店舗。
そのひとつ「ICH・GO」は、
神奈川、東京、千葉、埼玉、茨城をメインに27店舗ある

――具体的にどんなサポートをしていらっしゃるんですか?

集客が見込める物件の市場調査や、これから経営者になるための経営勉強会の開催もします。ほかにも求人をサポートするチームもあります。独立を目指す美容師さんに対して一人の担当者がつきますが、それ以外に専門分野の担当者が必要な時期、必要な工程ごとに独立のお手伝いをしています。

開業する場合、とにかくやることが多いです。同時進行で進めないと、オープン日がどんどん延びていきます。そうすると、開業のために仕事を辞めて準備にかかりっきりになるので収入はゼロ。その間も物件の賃料がかかるので自己資金がどんどん目減りしていきます

物件にしても、好立地で集客が見込める空き店舗を探すのは大変。たとえ見つけたとしても、個人では契約するのは難しいことが多いです。個人では無理でも、実績のある企業であれば商業施設内や好立地物件も契約できます。

――自力で開業する大変さがよく分かりました。フランチャイズ契約を結ぶと、どのくらいの期間で開業できますか?

相談会に参加していただいてから、物件のご紹介、求人を含めた開業の準備などを経てオープンまで最短で3か月、平均すると半年から1年くらいですね。独立を希望している方の代わりに私たちスタッフが動くので、サロンにお勤めで新店舗オープンの1~2週間前まで働いていた方もいらっしゃいましたよ。

美容師としてのスキルがどんなに高くても、利益を上げる経営力はまったく別物

――独立をサポートするにあたって、条件はありますか?

まず、美容師免許を持っていることが大前提。その上で店長や同レベルの経験があるといいですね。

――トップスタイリストとしての実績があると、お客様をそのまま自分の店の顧客としてつなげられるのでは?

すべてのお客様をご自身の店舗に連れて来られるわけではありません。お客様は美容師ではなく、お店についている場合もあります。「顧客の8割を連れて来る」と考えていても、実際には2~3割が相場です。

顧客が減れば売上も変わります。「自分は月に100万円の売上を作っているから、独立しても最低それだけの数字は上げられる」と考えている方もいらっしゃいます。以前のサロンとはまったく違う場所でオープンすると、新たにお客様を開拓しなければなりません。ご自身が考えているよりも、売上がガクっと減ってしまうことが多いですね。今までの実績と比べるにはちょっと問題があるかもしれませんね。

せっかく起業しても、
5年後も経営を続けている会社はこんなに減少。
経営を続ける難しさも、ぜひ知っておきたいところ

――経営者に向いている人と向いていない人を教えてください。

独立するだけなら、誰でもできます。利益を上げて、営業し続けることが難しいんです。

年間60名ほどの独立を希望する方と面談をしますが、5年後、10年後のビジョンがしっかり描けていなくて、ただ「独立したい」という想いだけの方や、「今の職場がイヤだから」という逃げたい気持ちだけで独立を考えている方は向いていないですね。

時間や約束を守る、礼儀正しくて社会人としてのマナーが身についていらっしゃる方は、経営者として成功している方が多い。また、とても素直で、「いい」と思ったことは、すぐやってみる行動力のある方も成功している方に共通しています。

――独立を成功させるために、必要なことは何ですか?

計画と準備をしっかり行うことですね。その場しのぎで無計画にオープンしてしまうと、経営が安定しません。「オープンしながら決めていこう」というのでは遅すぎます。特に資金計画と販促計画は、みっちり決めておきたいですね。

例えば、いつまでにどのくらいの売上を上げるのかを先に決めてから、そこから逆算して、オープンの時にどのくらいの広告にお金を使うべきか…などを計画してほしいです。最初に計画を練っておかないと、無駄なところにお金を使ったり、集客に必要な広告費を削ったり、資金を生かしきれず、もったいないことになります

――これから独立を目指す方に向けて、メッセージをお願いします。

長年、独立をサポートして思うことは、美容師の延長では経営はできない…ということ。美容師の仕事と経営者の仕事はまったく別物です。いくら技術がうまくても経営をしっかり行わないと美容室経営は長続きしません。しかも、経営者は孤独になりがちで悩みを抱えている人は多いと思います。経営に苦手意識がある方や、サポートを受けたい方は、フランチャイズという独立方法もあることを覚えておいてください。

独立までに心しておきたい3つのポイント

1. 経営に関する勉強を始めておく

2. 独立してから5年後、10年後のビジョンをしっかり描いておく

3. ある程度の資金を貯めておくこと

独立したい意志はあっても、開業と経営のノウハウがなくて挫折してしまうケースが多い美容室経営。後編では、実際にフランチャイズ経営に乗り出したオーナー兼美容師のお一人にお話を伺います。フランチャイズに興味を持ったきっかけや、実際にオーナーになって感じたことなどをご紹介します。

Campany Data

(株)スタイルデザイナー

住所:神奈川県横浜市中区翁町1-4-1
アルテマリンウェーブビル5F

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