「自分らしさ」を追い求めてはじまった、色鮮やかなストーリー【ヘアサロンECLAT代表・ヘアメイクアーティスト 時田ユースケさん】#1
トレンドのハイトーンカラーや韓国ヘアを発信し、若い世代から絶大な人気を誇るヘアサロン「ECLAT(エクラ)」。代表を務める時田ユースケさんは、数多くのモデルやタレントを担当するヘアメイクアーティストとしても活躍中です。
撮影で飛び回る多忙な日々の中、サロンにも立ち続ける時田さん。31歳で設立した株式会社ECLATは、わずか4年で都内に5店舗を展開するまでに成長を続けています。
ヘアメイクとして、グループの代表として。ビューティ業界を猛スピードで駆け抜けるその姿は、多くの関係者から大注目の存在。前編では、美容師を目指したきっかけや働き方への想いなどをお聞きしました。
TOKITA‘S PROFILE
- お名前
- 時田ユースケ
- 出身地
- 千葉県
- 年齢
- 34歳
- 出身学校
-
東京総合美容専門学校
- プライベートの過ごし方
- 犬の散歩、カフェでごはん
- 尊敬する人
- 自分より忙しく働いている方
- 趣味・ハマっていること
- コスメ収集。毎シーズン、新作・新色は自費で購入し、現場で使用するものを選んでいる。
- 仕事道具へのこだわり
- 高品質のものを選ぶ。ブランドにはこだわらず、最新の商品が出れば自分の目で確認し、良いと判断すれば使用する。
高校卒業2週間前に進路変更!スポーツ少年から美容の道へ
──昔からスタイリストやヘアメイクの仕事を目指していたんですか?
実は、この業界自体にまったく興味はありませんでした。子どもの頃は外で走り回っているようなタイプで美容に触れる機会もなかったし、高校卒業後は推薦での大学進学も決まっていました。けれど、他にもっと自分に合う道があるんじゃないか。いつも心のどこかでそう感じていました。
そんなある日、友達の家に遊びに行く機会がありました。その時、美容師をしているという親御さんが仕事の話をしてくれたんです。「あ、美容師って楽しそうだな」と直感的にピンときました。帰宅してすぐ、善は急げと美容学校の願書を取り寄せ、両親の反対を押し切って申し込みました。それが卒業式の2週間前の話です。
──かなりの急展開ですね。
いつも行き当たりばったりなんですよ(笑)。ただ、入学を決めた時期が時期だったため、どこも願書受付は締め切った後。学校を選ぶ余裕もなく、とにかく空きのある所に滑り込んだ感じです。そこで、その後ビジネスパートナーとして一緒にECLATを盛り立てていくことになる友人(現ECLAT店長・浅井俊助さん)との出会いがあり、現在にいたります。これも運命といえばそうかもしれないですよね。
──専門学校ご卒業後はどうされましたか?
大手サロンへ就職しました。先輩方から得るものは多く、勉強の毎日でしたね。大手ならではのシステマチックさやチームプレーの重要性もそこで学びました。けれど、もっと自分らしい生き方・働き方を追求したいとも思い、24歳でサロンは退職しました。
その後はフリーランスのスタイリストとして活動をスタート。並行して、興味があったヘアメイクの仕事にも挑戦することを決意し、アシスタントとしてさまざまな現場で経験を積みました。
フリーランスからサロンオープンへ:自分だけでなく、悩める誰かの居場所となるように
──当時(2010年前後)はまだ、インスタなどのSNSが盛り上がる前でした。フリーの美容師として集客はどのようにされていたのですか?
紹介とモデルハントだけです。サロン退職の際に、付いていたお客様は全員置いてきましたから。それでも、フリーになって1カ月後で120人、2カ月後には月250人の方に施術させてもらっていました。
──すごいハイペース!
技術を磨く毎日が本当に楽しく、充実していました。スピード勝負なのは嫌いじゃないし、長い時間、同じ作業をするのが苦にならない性格なんですよ。他のことに対して欲がないというか。その頃は、まさに寝食を忘れて仕事に没頭した時期です。フリーランスとして約1年間活動した後、サロンを立ち上げることにしました。
──20代半ばでのサロン立ち上げはとても早いですよね。
常識や慣習にとらわれないタイプなんだと思います。不安よりもワクワクの方が大きかったかな。自分がやりたいと決めたことは貫きたいし、そのための努力は惜しみません。それに、僕と同じように「自分らしく働きたい」と感じているスタイリストの居場所をつくることができたらいいなという想いが強くて。誰だって、自分らしく働ける場所は必ずある。僕のお店がその選択肢の1つになりたいと思っていました。
ヘアメイクとして出発:「1」をさらに大きな数字へと創り上げる楽しさ
──ヘアメイクとしてのキャリアスタートも同時期ですか?
そうですね。知り合いの雑誌に声をかけてもらったのが、独り立ちした1本目の仕事です。その後も、編集さんが別の媒体を紹介してくれて、そこで出会った方がまた新たな現場を…の繰り返し。モデルやタレントからも指名をいただくようになりました。今は、全部で30人くらいのヘアメイクを手がけています。人とのつながりのおかげで現在の僕があるわけですから、周囲の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。
──時田さんのお人柄や技術力が、多くの信頼を勝ち得ているんですね。
僕は「0」を「1」にはできないと自覚しています。「1」をもっと大きな数字に広げることの方が得意なタイプ。例えばタレントさんの撮影の場合、その方自身が持つ魅力と、クライアントが求める仕上がりの方向性にズレが生じる場合もありますよね。そんな状況の中、タレント本人の趣味志向やこだわりを反映しながらも、クライアントの意向を汲み取った作品づくりが求められます。
ヘアメイクの仕事は、クリエイティブ能力というより、両者のバランスを取る均衡力や柔軟性の高さの方が重要だと考えています。色んな引き出しから良い所を取り出し、組み合わせることで、モデルや商品がより一層輝きを増すことが目標。クライアントの皆さんが僕のそういった能力を評価してくださっているのなら、とても嬉しく光栄なことだと感じます。
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「チームプレーは苦手」と口にする時田さん。けれど決してスタンドプレーを良しとするわけではなく、その言葉の端々からは、気遣いと優しさの人であることが感じられました。誰かの引き立て役に徹するその姿こそ、時田さんが多くのクライアントから支持される理由であり、彼の魅力なのかもしれません。
取材・文/黒木絵美
撮影/喜多二三雄
Salon Data
住所:東京都渋谷区神宮前6-8-4 アイズビルB1F
電話:03-6427-9740
営業時間:平日12:00-21:00 土日祝 11:00-20:00
定休日:毎週月曜、第3火曜