短くても濃い時間のなかで、裏切らない努力を重ねられるように「Memories」渡来俊彦さんが考えるスタッフ育成法

たったひとりで売上300万円を実現したという「Memories」代表の渡来俊彦さん。前編ではその秘密を伺いました。話しを聞いてわかったのは、「似合わせショート」のブランディング確立と、だれもが来やすいインスタの運用という2本の柱で、高い売上を実現したということ。以前に働いていたサロンで身につけた小顔カットをさらに進化させ、骨格、髪質、顔のパーツを総合し似合わせカットを実現しているという渡来さん。そこには細かなこだわりが詰まっていました。

後編では現在5名のスタッフを抱える渡来さんに、人材育成について伺います。ご自身のサロン勤務時代は、長時間拘束されるのが当たり前だったそうですが、今振り返ってみるとその生き方はさまざまなものを犠牲にしていたと気づいたそうです。そこでスタッフには拘束時間を短くしながらも、濃い時間のなかで学び、成長することを大切にしてほしいと考えていると、渡来さん。「楽しく、美容師として高い水準になってもらう環境を整えることが、自分の役割」といいます。

今回お話を伺ったのは…

渡来俊彦さん

美容師・銀座「Memories」オーナー・美容師のためのオンラインサロン「SEED」オーナー
都内有名店で副店長を経て、30歳で独立。独立後は骨格や顔パーツにあわせたショートの似合わせ技術と、インスタに投稿しているビフォーアフター動画で人気を集め、アシスタントをつけずに、月の売上300万円を実現。その後、同じ銀座に拡張移転し、今では4名のスタッフを抱えている。

努力は裏切らない。 拘束時間を短くし、濃い時間のなかで成長できるように

渡来さんの元には、骨格や髪質にあわせた似合わせの技術を学びたいと、4名のスタッフが勤務している

──現在は4名のスタッフを抱えているとのことですが、育成面で心がけていることはありますか?

拘束時間を短くし、そのなかでも濃い時間を過ごしてほしいという思いを持っています。自分自身がかなり長い拘束時間のなかでガツガツ働いてきて、振り返ってみるといいことがなかったと思うんです。年齢を重ねて家庭を持っても、プライベートの時間がなかなかとれないので。どのサロンもそうかなと思うのですが、新人が入ってきてもつらそうな顔をしているスタッフが多かったり、どんどんやめていってしまったり。そうならないようなサロン作りをしていきたいと思いました。

──具体的にはどのようにして「濃い時間」を実現しているのですか?

拘束時間が9時間弱くらいになるようにして、土日もどちらかを休めるようにしました。ガツガツ仕事をする時期も必要ですし、もちろんいい面もあるのですが、闇雲に時間を長くするのはあまり意味がないのかなと。短い時間のなかで集中して、自分の力をつけていってほしいです。

スタイリストになったら週1くらいしか練習しないという人がいますが、それでは絶対にうまくならないと思うのでスタイリストになっても、練習は続けるように伝えていますね。ほかにも週に1回はかならず、接客の勉強会をサロン全員で行っています。以前先輩に「努力は裏切らない」と言われたことがあり、今でも僕はその言葉を胸に学び続けています。

人のなかにいるからこそ、学びがある。接客も磨きサロンの価値をあげ続ける

明るく清潔感のある店内も人気を集めている「Memories」

──接客を学ぶ時間をとっているとのことですが、具体的にはどのようなことをしているのでしょうか?

美容師役、お客さま役にわかれて実際に接客をやってみます。それを第三者役が見ていて、終わったあとにみんなでどこがよかった、よくなかったということを共有しているのです。たとえばお会計時に、前にお会計をしているお客さまがいたらどうやって待ってもらうのがいいかとか、カラーの待ち時間中にはどんなことに気をつけ、声をかけるのかとか、エレベーターを待つときにはどんなことを伝えるかなど、さまざまなシチュエーションを想定します。

そうすることで自分だけでは気づけないことにたくさん気づけるんです。僕も悪いところが絶対ありますし、逆に下の子の方がいいこともあると思っているので、お互いに共有して高め合いたいと思っています。これが人がいる強さだと思っていますね。人は人のなかでしか成長できないのではないか、と。

厳しくても成長を楽しめる環境を、提供し続ける

オンラインサロン「SEED」では、似合わせを含めたカット技術を動画で伝えているという渡来さん

──美容師向けオンライン「SEED」のオーナーをやられているそうですが、やっていてよかったと感じることはありますか?

一番大きなメリットは、ひとりでやっているより学びが深くなることです。ゲスト講師に来てもらって、その技術を間近で見せてもらうこともできますし、会員の美容師が抱えている悩みに対していろんなアプローチを提案することで、自分の幅も広がります。名古屋を拠点に、東京、大阪でも美容師をやっている西鉄平さんと一緒にサロンを運営しているのですが、自分にないものをもっているし、混ざり合うことでより面白い、コンテンツが作れるかなと思ったんです。コンテンツを提供する側になると、中途半端なものは出せないのでインプットもアウトプットもより精度が高くなったと思っています。

──今後の目標を教えてください。

人との関わりあいのなかで人は成長すると思っていて、人が多くなればなるほど得られるものも増えると思っているので、一番大きな目標としては店舗展開をしていきたいです。スタッフのモチベーション的にもずっと同じところにいると飽きてしまうと思うので、新しい環境を提供してモチベーションを維持し、チャレンジできる場所を増やしていきたいと思っています。そういう場所がなくなったら、スタッフはやめるだけになってしまうので。

もうひとつは美容学校時代に持っていたような純粋な美容の楽しさを、いつまでも持ち続けられるようなサロンでありたいです。今美容師ってすごく大変ですよね。カットだけじゃなく、発信も写真もいろいろなところを伸ばしていかないといけない。でも美容の楽しさを忘れなければ、きっと努力も楽しめるはずで、その結果として成長がついてくるはずなので。良い美容師になれるような環境を提供し続けるのが、僕の役目だと思っています。
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渡来さんが考えるスタッフ育成に大切な3つのポイント

渡来さんが考えるスタッフ育成に大切なポイントを伺うと、以下の3つでした。

1.拘束時間を短くし、濃い時間のなかで成長してもらう

2.スタッフ同士で意見交換をしながら、自分ひとりでは気づけない学びを得る

3.良い美容師になれる環境を提供し続ける

ひとつ質問すると、あれもこれもと答えてくれた渡来さん。面倒見の良さと、美容に対する熱い思いが感じられました。美容師として活躍の幅を広げていきたい方はぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

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Salon Data

Memories
住所:東京都中央区銀座3-3-7サカイリ9ビル3F
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