オンラインカウンセリング導入で、デジタルと店頭の融合へ/コスメデコルテ 上野 綾さん #2

コロナ禍により、これまでと同じ働き方が難しくなってきた美容業界。そんなwithコロナ時代を生き抜くために、他の店舗はどんな取り組みを行っているのか、そのプラス効果は?

前回に続き、株式会社コーセー「コスメデコルテ」でBC(ビューティ コンサルタント)として働く上野 綾さんに、コロナ禍の美容部員の働き方についてインタビュー。コロナ以前と働き方が大きく変化する中で、デジタル需要の高まりからコスメデコルテは昨年9月にオンラインカウンセリング「DECORTÉ Personal Beauty Concierge」(PBC)をスタートしました。

後編となる今回は、オンラインカウンセリング専任BCとして働く上野さんが、「DECORTÉ Personal Beauty Concierge」を通して感じていること、美容部員の今後についてお話をお聞きします。

お話を伺ったのは…

コスメデコルテ ビューティコンサルタント 上野 綾さん


化粧品小売店に勤務後、2008年にコーセー化粧品販売株式会社 神戸支店に入社。化粧品専門店を中心に約4年活動。2012年よりセレクティブブランドアドバイザーとしてコスメデコルテ、プレディアの現場指導を担当。2021年9月「DECORTÉ Personal Beauty Concierge」の専任BC として活動開始。2児の母。

美容部員もお客さまも使いやすいオンラインカウンセリングを実現

PBCの主な流れ。BC選択から商品のご案内まで
スムーズな導線と、高画質が魅力

――前編でPBCの導入背景を伺いました。PBCの構想はいつから?

ちょうどコロナが話題になってきた2020年2月ごろから構想が始まり、6月には具体的に動き出したと聞いています。

――導入にあたり力を入れたポイントは?

ブランド担当者:当時既存のオンラインカウンセリングではオンライン会議専用のツールを活用したものが多く、美容カウンセリングにおいては2つの側面で物足りなさがありました。

ひとつは見た目の美しさです。とくに化粧品では、メイクの発色やスキンケアのテクスチャーの質感といった、目で見て確認したい部分が大きいので、「高画質」というのは一番こだわった部分です。

ふたつ目が、お客さまの使い勝手のよさです。お申込みから、当日のカウンセリング時、その後商品を購入いただくまでの導線がスムーズでわかりやすいことが、利用しやすいオンラインカウンセリングには必要だと考えました。

その2点を重視しながら、コスメデコルテらしいものを構築していきました。

――オンラインカウンセリングが始まるに当たりBCとして取り組んだことは?

ローンチ前に1カ月半ほど研修があり、そこでは造形学や骨格に基づいたメイク提案と「言語化」のスキルアップに重点をおいて学びました。

高画質なので色や質感など伝わる部分はあります。しかし店頭で「触ってみてください」「香りはいかがですか」と伝えていたところは、どうしても叶わないので、お客さまがイメージできるような言葉でお伝えすることがオンラインでの課題でした。「できるだけわかりやすい言葉で伝える」という点は、継続して取り組んでいる部分です

オンラインでBCの働き方の自由度がアップ

専用ブース内でカウンセリング準備中の上野さん

――上野さんがオンライン専任BCに志願した理由は?

私は元々、お客さまにスキンケアをして差し上げるようなサロン活動が好きで美容部員になりました。しかしコロナ禍になり、それができなくなってしまったことが、オンラインに挑戦しようと思うきっかけになりました。

私は現在、育児時短で働いているのですが、店頭での接客の場合、状況によっては、時間や場所の制限がでてしまうこともあります。その点でオンラインであれば予約制なので時間が読みやすく、子育てと仕事の両立を考えると、オンラインのメリットは大きいと感じて、志願することにしました。

――実際、サービスがスタートしていかがでしたか?

最初は、タッチアップができないというきっかけでしたが、オンラインでの接客をしてみて、また違う楽しさを感じるようになりました。「この言葉で伝わるかな?」と試行錯誤も面白いですし、そのなかでメンバーと良かったところを共有して高めあえる環境というのも、すごく良いなと感じています。

働き方という点でも、メリットを感じます。オンライン予約がある日は機材の関係上出勤するのですが、退勤時間も決まっていますし、業務内容によっては在宅勤務をすることもあります。時間を有効に使えているなと思います

PBC予約件数推移(2022年1月23日時点)

――お客さまの反応はいかがですか?

これまでのコスメデコルテは店頭販売が原則で、お客さまもカウンターでカウンセリングを受けながら化粧品を触って検討する購入方法が主流でした。コロナ禍以降も店頭でカウンセリングを受けたいというお客さまが多くいらっしゃる一方で、感染防止の観点からタッチアップも叶わず残念に思われる方もいらっしゃいました。また妊娠や出産、育児、介護など、さまざまなライフスタイルの変化により、店頭に足を運べないというお話もよく伺っていました。

そういった方々に、時間や場所を選ばず、オンラインでカウンセリングの予約から商品の購入までを一連の流れで行えるPBCは好評いただいていると感じます。2月のご予約はすでに満席に近く(取材時1月末)、「なかなか予約が取れない」という声もいただくくらい、盛り上がってきて嬉しいです。

中にはカウンターに行くと滞在時間が長くなるので、オンラインカウンセリングでアイテムを絞ってから店頭に行かれるという方もいらっしゃいました。徐々にPBCが浸透して、ライフスタイルに合わせてご活用いただけていると感じます。

オフラインでもオンラインでも美容部員が輝けるように

コロナ以前のコスメデコルテ カウンター(イメージ)

――今後、美容部員の働き方はどうなっていくと思いますか?

広報担当者:PBCでも既に31名もの方が活躍していますが、コロナ禍をきっかけに、これまで以上にBCの活躍の場が多様化し、それに合わせ働き方も変化してきました。PBCは、お客さまにとっては、いつでもどこでも気軽にコミュニケーションが取れる新しいサービスですが、BCにとっても、働き方の自由度が高まるきっかけになりました。これまで、結婚・妊娠・出産など、人生の転換期をきっかけに、好きな美容の仕事を諦めざるを得ない状況になってしまった方もいる中で、生活スタイルに合わせて柔軟に働けることは、大事なポイントになりそうです。

会社としては、2019年10月に美容部員の人事制度が大きく変わったことで、様々なキャリアパスが描けるようになり、BCがさらに活躍できる環境が整いました。例えば、これまで美容部員からのキャリアアップは、教育職などが主流でしたが、希望に合わせて、マーケティング職や営業、メイクアップアーティストなど様々な業務に挑戦できるようになりました。当社の社長はいつも「美容部員は社会と会社にとって最大のインフラであり、もっと輝いてほしい」と話しております。

また、PBCを始め、スタッフコンテンツ、インスタグラム、ライブ配信、YouTubeなど、店頭に限らず、様々な場面で美容の知識やスキルをお客さまに発信できる機会も増えました。これを機に、BCの働き方に様々な選択肢ができ、ライフスタイルやライフイベントに柔軟に対応できるようになれば良いと思います

――今後の展望や目標を教えてください。

まずは、PBCの知名度をさらに上げ、もっとお客さまに活用していただきたいですね。お住まいの近くに店舗がないという方にも、オンラインでカウンセリング&購入いただけるようになりましたので、もっと多くの方にコスメデコルテを知っていただけたらと思っています。

個人的には、ゆくゆくはシステムの方に同時通訳機能などが追加されたら嬉しいです(笑)、コスメデコルテのカウンセリングが世界に広がったらいいなと思っています。また、オンラインカウンセリングで学んだ言語化スキルは店頭でも必ず役立つと感じるので、今後もし店頭に戻ることがあればこのスキルを周りに広げられたらと思います。そうして店頭もオンラインも盛り上がればうれしいです


コロナ禍を経て、オンラインに活躍の場が広がった美容部員の働き方。カウンターでの接客に限らず、豊富な知識と接客力が活かされる場はきっとたくさんあるはず。コスメデコルテをはじめ、コーセーが会社の財産と呼ぶ美容部員さんたちの活躍が、アフターコロナの美容業界全体を牽引してくれるのではないでしょうか。

取材・文:山本二季

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