コラム記事を通して、スタッフの情報発信スキルを育てる【aivee 吉祥寺店 代表 辰野匠さん&店長 西川友規さん】#2

ハワイアンサロン「aivee 吉祥寺店」がSNSの他に力を入れてきたのが、自社ホームページ。「見られる」サイトを目指し、ヘアカラーやおうちケアなどについて解説するコラム記事や、担当者からのコメントを添えたヘアカタログなど、定期的に更新しています。代表の辰野匠さん&店長の西川友規さんにお話を伺ったところ、スタッフが試行錯誤しながら書いたコラム記事は「スタッフ個人の財産になる」とのこと。集客ツールとしての機能より、スタッフの情報発信スキルの向上に役立っているようです。

後編では、コラム記事は「書き足し」方式でPV数を伸ばしてきたこと、記事を書くことでスタッフの知識力や情報発信への向き合い方が変わることについてお話しいただきます。

教えてくれたのは・・・

「aivee 吉祥寺店」代表 辰野匠さん(右)、店長 西川友規さん(左)

吉祥寺に構えて10年になるハワイアンサロン。三鷹にも姉妹店あり。特に、ショートカット・デザインカラー・髪質改善に定評があり、スタッフの肩肘張らない接客スタイルも人気の理由。各スタッフがSNSでの発信に力を入れる一方、自社ホームページ内のコラムやヘアカタログにも発信の場を設け、サロン全体でスタッフの情報発信スキルを高めている。

コラム記事は一度に完結させるのではなく、少しずつ書き足していく


――コラム記事は各スタッフさんが書いているとのことですが、字数でいうと3000字くらいありますし、情報量も多いですね。執筆作業は結構大変なのでは?

辰野さん:最初からその文量を書いているのではなく、実は少しずつ書き足しているんです。それもSEO対策の一環で。一気に数千字を書くよりも、数百字くらいを少しずつ書き足していく方が伸びるらしいんです

月に一回コラムを更新しているのですが、新規記事を書くだけでなく、過去記事もPV数を見て「今月はこの記事とこの記事をもっと加筆してみよう」と調整しているんです。

――継ぎ足し式なんですね。ちなみに、どんな記事やワードが反響が高いですか?

辰野さん:うちの場合はカラーですね。「イルミナカラー」「艶カラー」「メンズのブリーチ」など。

西川さん:一回バズった記事は基本的に下降しないですね。よっぽどの強者が現れない限り。

でも、「なぜこの記事がバズったのか」っていうのは僕らもよくわかっていないんです。Googleのアルゴリズムは常に変わっているというので、正解がないんです。他の人気記事と同じキーワードを使ってみたり、写真枚数を参考にしたり、真似しながら試行錯誤していくしかないですね(笑)。

――記事のまとめ方もわかりやすく、特に、「よくあるQ&A」で記事を締め括っているのが親切ですね。

辰野さん:Instagramを見ていると、一方通行で発信している人が多いと感じました。お客様の意見や疑問を聞く、ということはどのツールでも大事なんじゃないかなと。自分の意見を伝えたあとに「何か質問はありますか?」という構成にした方が記事の深みが出てくるのかなと思います。

スタッフの自主性を引き出す発信スタイル

代表の辰野さんは「美容師の雇用形態」や「給与体制」などの内容を担当。スタッフの適材適所を活かしてコラムを書いているよう

――コラム記事を書く際、スタッフさんにはどのように指示しているのですか?

辰野さん:文章に関してはそれぞれの個性を尊重しているので、文体を指定したり、うるさく添削したりはしません。

西川さん:見出しやタイトルについては、キャッチーな言い回しを一緒に考えています。

――アシスタントさんも記事を書いているのですか?

西川さん:はい。ただ、アシスタントはできる技術に限りがありますし、ヘアスタイルなどの写真素材もあまり持っていません。なので、他スタッフにお客様役をやってもらってヘッドスパメニューを紹介したり、店内の写真を使うだけで成立する記事を考えています。

――コラム記事を書くことに対し、スタッフさんはどう思っているのでしょうか?

辰野さん:月一の締め切りですし、集中すれば短時間で終わるくらいの作業量なので、そこまでの負担はないかと思います。

最初は慣れない部分もありましたが、周りが自分のコラムを読んでくれているという手応えを感じられているようで、今では、コラム記事を自分の世界観や想いを表現する場として楽しんで書いていますよ。

西川さん:営業中でも、お客様の接客が入っていない場合は作業OKとしているので、空いている時間を有効活用してもらえたらと思っています。特に女性スタッフだと、営業中は賃金が発生するという意識が強いためか、手が空いているうちにテキパキとこなす子が多いですね。スタッフの中には締め切り直前までダラダラしている人もいますが(笑)。

締め切りを守れるなら、どう進めるかは本人たちに任せています。

ある記事の目次。少しずつ書き足してきたことで、読みごたえのある記事となっています

――スタッフさんの発信技術も身に付きそうですよね。

辰野さん:そうですね。例えば、Instagramだと「ショート」に特化すると決めた場合、ショートのことしか考えなくなります。でも、コラムでは毎回色々なテーマで記事を書いてもらうので、自分の得意分野だけをやるわけにはいきません。他の美容師さんやお客様に間違った情報を伝えるわけにはいかないため、自分できちんと調べなければいけない。そうすると若手は知らず知らずのうちに知識の幅が広がりますし、自分の発信に対する責任感も持てるようになります

「勉強しなさい」と言われて勉強するより、記事を書くために自主的に勉強する方が知識を吸収しやすいですよね。コラムはスタッフ教育を目的にはじめたわけではありませんでしたが、やっていくうちにそういうメリットもあるんだと気づきました。

――集客のためにSNSを使うことに疲弊している人や苦手と感じている人も中にはいるはず。ですが、aiveeの場合は集客を第一目的とした発信ではないため、スタッフさんのストレスは少ないのではないでしょうか。

辰野さん:そうですね。美容師さんの中にも目立ちたい人と、そうじゃない人がいますからね。でも、うちでは目立ちたくないタイプのスタッフも頑張って個人の集客スキルを身に付けてほしいんです。

そういう子にとってはコラム記事はやや負担かもしれませんが、発信形式はInstagramよりもハードルは下がるはず。Instagramでは自身を前面に出したり、こまめに投稿しなければいけませんが、コラムなら「美容情報」を発信するわけで、頻度もそこまで多くありません。自己PRが苦手な人でも挑戦しやすいツールなんじゃないかなと思います

自分の好きなこと・楽しいことに気づけたら発信も得意になる

aiveeではスタッフたちの将来を見通した教育を大切にしているよう

――最後に、情報発信における秘訣をそれぞれ教えてください。

西川さん:目標は持っているけど、目的を見失っている人が結構いる気がします。疲弊している人は何のためにSNSをやっているか目的を見失ってしまっているんじゃないかなと思うんです。SNSはすぐに結果が出るわけではないので、コツコツ地道に戦うためにも目的を明確にすること。

辰野さん:そうですね。目的を設定するためにも、まず自分の好きなことを見つけてほしい。カットもある程度できる、カラーもある程度できる、パーマもある程度できる、と毎日なんとなく仕事をしている美容師さんって多いんですよね。そこに楽しさを見出していないというか。楽しさや自分の好きなことに気づければ「もっと知識を深めよう」「もっと発信しよう」と思えるはず

そういう段階をすっ飛ばして、漠然と「SNSで集客しなきゃ」とやっていたら作業感が出るし、続けても良いことはないですから。

――今回のお話から、お二人がスタッフ想いであることが伝わってきました。

辰野さん:スタッフには誰にも辞めてほしくないですね。

西川さん:この時代に美容師を続けていくにあたり、お店に来るお客様を接客するだけの受け身姿勢では将来的に危ういと思います。お客様を取れなくて辞めてしまう美容師さんをたくさん見てきましたから。技術の鍛錬だけでなく、情報発信にも強くならなければいけません。

「売れたい」「稼ぎたい」「お客様を取りたい」というアツい気持ちをスタッフたちから引き出すのは僕たちの役目だと思っています。「やれよ」じゃなく、「一緒に盛り上げていこうぜ」というスタンスで育てていきたいですね。

コラム記事の執筆がスタッフ教育に繋がるワケとは?

1.知識の幅が広がり、自分の「好き」が見つかるから

2.情報に対する責任感を持てるようになるから

3.自己PRが苦手な人でも挑戦しやすいから

取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/喜多二三雄

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Salon Data

aivee 吉祥寺店
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町2-7-13 レディーバードビル2F
TEL:0422-27-1027
URL:https://www.aivee-kichijyoji.com/
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