これからの美容業界を変える、チームで売上を作るという改革「senjyuプロフェッショナルチーム」代表・森越道大さん

有名美容室「GARDEN」の社員でありながら、12人のメンバーとともに「senjyuプロフェッショナルチーム」を結成し、社内外のサロンを拠点に月1300万~1500万の売上をあげているという森越道大さん。前編ではその仕組みを伺いました。

トッププレイヤー集団かと思いきや、「トッププレイヤーはだれもいませんし、作る気もありません」と森越さん。個人の売上に頼らず、チーム一丸となって売上を安定させることにはメリットしかないといいます。個人間の争いがなくなり、さらに売上以外のタスクでも評価されて給料に反映される仕組みで、得意分野をいかして活躍することが可能になるというのです。森越さんは「senjyuプロフェッショナルチーム」をモデルに、個人の売上に左右される不安定な美容室経営を変えようと挑戦を続けています。

今回お話を伺ったのは…

森越道大さん

senjyuプロフェッショナルチーム統括代表/「GARDEN」所属リードデザイナー/株式会社SENJYU CEO/株式会社iii COO
北海道、横浜の2店舗で経験を積んだのち、「GARDEN」に入社。24歳でスタイリストデビューをし、初月売上で350万円を達成。当時の日本新記録を樹立し、話題を集める。その後はパーマ美容師として高い技術を武器に、セミナー講師なども数多く務める。「GARDEN」に所属しながら、多くの事業も手掛けており、2020年には「senjyuプロフェッショナルチーム」の結成、新しい形のシェアサロン「NEHAN」の立ち上げに参加するなど、常に美容業界の話題を集める人物。

サロンWEBサイト:https://morikoshi.net/

お客さまに負担をかけず 1000万の売上を達成するため、チームを結成

森越さんの元に集まった「senjyuプロフェッショナルチーム」のメンバーたち。現在は12名で構成されている

――結成のきっかけを教えていただけますか。

「GARDEN」の社長である須崎さんから5年くらい前に、「1000万円売上をあげたら、給料を500万にしてあげる」と言われて、やってみたいなと思ったんです。でもその一方で悩みもあって。その頃おかげさまでお客さまも増えて、400万円くらいの売上をあげることができるようになっていました。でも僕を指名していただいているのに、ほとんどアシスタントが担当している状態で、僕は少ししか入ることができない。「400万円でもこの状態なのに、1000万になったら…」という気持ちと、「でも1000万をやってみたい」という気持ち、そのはざまで揺れ動いていたときに、チームの構想を思いついたんです。

――チームの構想とはどんなものですか?

辞めないアシスタントと「森越チーム」を結成するというものです。「GARDEN」はアシスタントが半年で変わってしまう仕組みでした。でもずっと変わらない、辞めないアシスタントとチームを結成することができれば、アシスタントにも施術の一部を安心して任せられるようになります。お客さまからしても、「森越さんを指名したのにアシスタントがずっと担当している」ではなく、「森越チームに施術をしてもらっている」という安心感が生まれるのではないかと思ったんです。ここにはもうひとつメリットがあって。

――どんなメリットでしょうか?

ずっとアシスタントでいたい人を、うまくいかすことができるという点です。「GARDEN」にはカットはしたくないとか、スタイリストにはなりたいけど集客をするのが怖いなどの理由で、スタイリストになりたくない人が一定数いました。これまでだとそういう人は、辞めざるを得なかったわけです。でもそういう人たちがチームに入れば、win-winの関係が築けると思いました。そこで会社にはそういう人を引き留める代わりにチームに入れること、さらにチームであげた売上は森越につけるという形で納得してもらい、「GARDEN」のなかで森越チームが始動しました。ホームページで僕の働き方を説明し、お客さまにも理解、納得してもらったうえで、森越チームに予約を入れてもらっていたんです。

それで1000万円の売り上げを達成することができました。コロナ禍で経営が大変なときだったので給料500万をもらうことは結局できませんでしたが、交換条件として僕が社外でも事業をやることなどを許してもらい、ここが僕の大きな転機となりました。

給料は個人売上をベースにせず、チーム全体の売上と貢献度で決定

動画撮影を得意とするメンバーによる、撮影の様子。自分のやりたいことを「senjyuプロフェッショナルチーム」内で実現しているメンバーも多いそう

――それが「senjyuプロフェッショナルチーム」に変わったわけですか?

そうです。社外でもこの形で活動したいと思い、名前を変更。今は僕が所属している武蔵小杉の「GARDEN」の店舗だけでなく、青山にある「NEHAN」も含めて2店舗で活動しています。途中から、チームメンバーには僕から給料を支払う形に変更しました。給料の形態もかなり特殊なんです。個人の売上ではなくチーム全体の売上をベースにし、そこに入客人数ではなくリピート率、タスクをどれくらいこなすことができたかをかけあわせて給料を決めています。タスクというのは、たとえばショート動画を撮るとか、公式LINEに返事をする、個人がどれくらいタスクをあげたかを管理する人もいます。個人が得意なことをいかして、給料をあげられるようにしているんです。

個人売上で給料を決めてしまうと争いが起きるので、チームへの貢献度で給料を決めようと考えました

――個人売上の争いは、切磋琢磨することでみんなが技術をあげられると肯定的にとらえられている気がします。どのような点が問題なのでしょうか。

本来チームであるはずの社内で足の引っ張り合いが起こります。たとえば美容室の朝礼とか終礼で話される内容は、10年前からずっと変わっていないんですよね。「僕のお客さんがシャンプーするのに10分待たされた」とか、「アシスタントの使い方ちゃんとしてください」とか。これは意識の問題ではなくて、仕組みの問題だと思うんです。売上が個人に課せられているから争いがかならず起きる。チームが一丸となってみんながwin-winにあがっていく仕組みを作っていかないと、美容院業界が次のステージにいけないのではないかと僕は思っています。

また売上が個人につくというのはリスクだと僕は思っています。非常に不安定なビジネスモデルですよね。トッププレイヤーがやめて独立してしまい、つぶれたお店もたくさんあると思います。

千手観音のように、個人の不得意もたくさんの手で補っていく

高いパーマ技術を持つ、森越さん。しかしチームに支えられて自分があると言い切る

――なるほど。ただトッププレイヤーがいることで、売上が増え、お店の経営が助かるという面もあるのではないでしょうか?

お店という単位で短期的に見れば確かにそういう面はあるかもしれませんが、業界全体で見てみると、売上が増えているかといえばそうではないんです。1.5兆円という市場規模は変わっていないのに、1000万円プレイヤーがごろごろ出てきているということは、今まで100万円売上を上げていた人が50万円になっている可能性があるわけです。格差が出ているということは、業界が発展していくうえでいいことではないと僕は思っています。

そういうこともあって「senjyuプロフェッショナルチーム」では、トッププレイヤーを作らないことを徹底的に意識しているんです。元々は僕の集客力が大きかったかもしれませんが、今では存在感を消すようにしていますね。安定的な売上を維持するには、チームに売上をつけることが一番だと思っています。もうみなさんも気づいていると思いますが、トッププレイヤーだけ集めてもお店は絶対によくならないので

――なぜお店は良くならないのでしょうか?

トッププレイヤーの売上は、その人ひとりが成り立たせているわけではないからです。以前ある人から、人間はだれしもいいところと悪いところを平等に50%ずつもっているという話を聞いたことがあります。いいところがよく見える人と見えない人がいるというだけの違いで。スーパープレイヤーの横には、かならずその人の良くないところ50%を埋める人がいます。それをスーパープレイヤー自身が気付いているかどうかがすごく大切で。それに気づいてない、勘違いしたまま、独立してもうまくいくはずがないと僕は思うんです。

僕もすごく注目していただけるようになりましたけど、それは50%のいいところが見えているだけで、あとの50%はめちゃくちゃ最悪なんです(笑)。それを埋めてくるのが僕のチーム。チーム名の「senjyu」はたくさんの手がついている千手観音からとっています。このチームは千手観音のようにたくさんの手を持って、そのたくさんの手には得意、不得意があって。でもたくさんの手があるから、だれかの不得意も補うことができます

この仕組みをFC展開しているのですが、やる気が起きない、がんばれない美容師さんを救うことができると思っているんです。その人たちを持ち上げることができれば、業界全体の売上もあがっていくのではないかと思っています。


「senjyuプロフェッショナルチーム」で解決できる美容業界の課題3つ

1.担当できる時間が短くなっても、同じチームメンバーが担当することでお客さまが安心できる

2.社内で個人間の争いが起きない

3.個人の売上に頼るというリスクがなくなる

後編では「GARDEN」に中途入社した森越さんが、パーマ美容師を名乗り成功した経緯について伺います。ブルーオーシャンを見極め、飛び込んだことで集客ができるようになり、数多くのお客さまに施術をするうちにどんどん実力がついてきたということでした。またご自身の成功哲学について伺うと、運の要素とどれだけお客さまを思って行動できたかが大きいと森越さんは分析します。成功したいという思いが深い人ほど、たくさん行動し、運もまわってきやすくなると考えているそうです。後編もお楽しみに!

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