自由な環境と、教育サロンとのパートナー契約により独立1年で10店舗を経営! 「ECLART」代表・南裕大さん
多くの美容師が憧れる独立の道。しかし成功をおさめるのはそんなに簡単なことではありません。今回は2021年3月に独立し、1年で10店舗を構えるまでになった「ECLART」代表の南裕大さんに登場いただき、その成功の秘訣を伺いました。これまでの美容室の常識にとらわれず、自由な環境を作りスタッフの働きやすさを追求したという南さん。さらに教育サロンとパートナーとなりFC契約を結ぶことで、教育サロンと業務委託サロンのいいとこどりができるようになり、店舗拡大が急激に進んだそうです。
南裕大さん
株式会社ECLART 代表取締役
山野美容専門学校卒業。銀座の美容室で5年間勤務後、業務委託サロンに転職する。1年目で店長に昇格、その後エリアマネージャーとなり13年勤務。2021年3月には株式会社ECLART(エクラート)を設立し、2022年4月時点で直営店3店舗、FC7店舗を経営するまでになり、急成長を遂げている。
南裕大さんのInstagram:@eclart.ceo
独立から1年で10店舗のオーナーに!求人応募が途絶えない会社を目指して
―― 2021年3月に会社を設立されてから、1年で10店舗までになったそうですが、なぜこんなに早く展開することができたのでしょうか。
求人の応募がずっと続く美容室を目指し、自由な環境を柱にサロン作りをしてきました。たとえばカラー剤などは個人が好きなものを導入することができます。コスト削減のためひとつのメーカーを一括導入していたり、薬剤の金額をスタッフに伝えたくないという理由から、個人で発注できるお店はほとんどないのではないかと。新しい薬剤で使ってみたいものがあれば、どのスタッフも会社の許可をとることなくすぐに発注することができ、新しいことにもすぐチャレンジすることが可能です。
――ほかにも自由な環境のためにやられてきたことはありますか?
施術の場に、美容師の飲み物の持ちこみをオッケーにしていて、いつでも飲んでいいことにしました。あとは髪の毛が下に落ちていたら、すぐにはかなくてはいけないというルールもなくしたんです。「ECLART」はすべての店舗が全席個室となっているので、髪の毛をほかのお客さまが踏むこともないですし、問題はないと考えました。
またドライヤーのコードをきれいに巻かなくてはいけないというルールもありません。お客さまからとくに指摘を受けることもないですし、そこまで気にされている人はいないのかなと思うんです。それよりももっと本質的な技術で、お客さまを喜ばせることに集中したいと思っています。
また正社員、業務委託、どちらの働き方も選べるようになっており、業務委託サロンのなかでも高価格帯であることも特徴です。
客単価1万円越えの業務委託サロンで、生涯現役を貫けるように
――高価格帯にした理由を教えていただけますか。
僕は業務委託サロンの出身で、働いていたサロンが低価格帯のサロンでした。若いうちは正社員で働いていたときより給料も高く不満はなかったのですが、将来のことを考えていくと50代、60代と年齢を重ねるに連れて厳しくなってくるなと思ったんです。年齢と価格の高さが比例していないとある程度の収入を得るためにはたくさんのお客さまを施術しなくてはいけませんし、長年培われた技術が価格に反映されていないとお客さまも不安に思うのではないかと。
今のサロンは客単価が12000円なのですが、業務委託サロンでここまで高価格のところはほかにないと思います。僕と同じように高価格帯の業務委託サロンで働きたいと思っている美容師が多かったようで、オープンと同時に多くのスタッフが集まってくれました。
僕は美容師が生涯現役を貫けるようにサポートしたい思いがあり、その実現のためには単価の高いサロン作りは外せないポイントのひとつでした。
求人、教育、独立。美容室の3つの課題を解決するため、教育サロンとの提携
――FC展開を始めたのはなぜでしょうか。
元々は自社スタッフで独立したい人が出てきたときに、用意したものでした。ところが先ほどお話したような自由な環境のある「ECLART」の仕組みを、新卒を採用して育てていくサロン、いわゆる教育サロンの方にお話してみると興味を持っていただけることが多くて。そこで外部の会社とパートナー会社となり、FC契約が結べるようにしたんです。これは教育サロンにとっても、我々業務委託サロンにも大きなメリットがあります。
――どんなメリットがあるのですか?
教育サロン側からすると、自社で働いていたスタッフが独立したいと考えたときにFC店という活躍の場を用意することができます。我々業務委託サロン側からすると新卒のスタッフを採用できることで求人数を確保でき、業務委託サロンでは難しい教育の部分を教育サロンに担ってもらうことができるんです。なぜかというと教育を担当するスタッフにどう手当てをつけるかという問題があって、スタッフが空いた時間で教育を担当することが業務委託サロンでは難しいんですね。
ほかにも売上があがるまでの一定期間はロイヤリティをいただかない、売上が安定するまでは僕が一時的に出向して、細かくフォローすることで、FC店の展開をスムーズにしています。
南さんが「ECLART」を1年で10店舗展開できた3つの理由
南さんが「ECLART」を1年で10店舗展開できた理由を聞くと、以下の3つでした。
1.スタッフが働きやすい自由な環境を生み出した
2.客単価をあげ、美容師が生涯現役を貫けるようにした
3.教育サロンと提携することで、求人、教育の課題をクリアした
後編では2店舗目に入った業務委託サロンで、20人の店長を束ねるエリアマネージャーにまで上り詰めた南さんが大切にしてきたことを伺います。南さんの行動の指標となっているのが、若いときに読んだビジネス書「7つの習慣」。成功者の原則が書かれたこの本に衝撃を受け、自分が本当はどんな人生を生きたいかを考えた結果、主体的に行動ができるようになったそうです。またこの本に書かれた原則に従った結果、スタッフとの信頼関係の構築などに大きく役立ったといいます。後編もお楽しみに!