キャベツ畑が広がる秘境駅での成功!「hair space G.O.D」鈴木さんの転機

1日の乗車客数1000人ほどの閑静な新茂原駅の駅前で美容室「hair space G.O.D」を営む鈴木日出寿さん。スタイリストの奥さまと、まさに二人三脚で10年以上もお店をもり立ててきました。大きな転機が訪れたのは、ちょうど大厄の42歳。「このまま美容室を続けるのは難しいかもしれない」。突如として訪れた経営危機を乗り越え、わずか1年半で年商は大幅に増加。現在も売上は急激に伸び続けているという、その裏話を語っていただきました。

今回お話を伺ったのは…

鈴木日出寿さん

1978年生まれ、20歳から恵比寿や渋谷などで美容師として活躍。2008年12月、31歳で出身地である千葉県茂原市で美容室「hair space G.O.D(ヘアースペースゴッド)」を開業。同月の24日に結婚したスタイリストであるパートナーの秋塲富恵さんと二人三脚でお店を営んできた。2021年からは「髪を傷ませないオーダーメイドの白髪染め専門店」として人気を集め、次回予約率が1年で19%から80%に増加。年商は約400万円アップ、現在も予約1ヶ月半待ちの状況が続いている。

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厄年に訪れたまさかの出来事。42歳からの再出発とは?

 

決してアクセスに優れた立地ではないが沖縄やハワイから足を運ぶお客さまもいるそう

――キャベツ畑が広がるような立地でお店を営業していると伺いました。

たしかに(笑)。最寄りである新茂原駅はテレビ番組で秘境駅として紹介されたこともあります。駅前から徒歩30秒くらいにお店があるのですが、目の前にキャベツ畑が広がっていて、その後ろには線路が見える、のどかな田舎です。

――集客は大変ではないのでしょうか?

開業して13年、月によって売上は上下していますが、基本的には右肩上がりで伸びていて経営状態は悪くありません。2017年にはマイホームも購入し、このまま大好きな美容師が続けられると思っていました。しかし1年半ほど前に店舗の大家さんから突然「あと3年で退去してほしい」と告知されまして……夫婦で経営していますから、下手をすると二人同時に失業する可能性も出てきました。私は当時42歳、3年後となると45歳です。再出発するには、なかなかシビアな年齢とも言えます。

――それは深刻な問題ですね。どのように対処したのでしょうか?

第一に店舗の移転を考えました。この辺りで美容室に適した賃貸物件を探すのは難しく、美容室兼自宅を新しく建てるのがベターですが、タイミングが悪いことに私たち夫婦はマイホームを購入したばかり。融資を受けて新築の店舗を建てるのは賢い選択とは思えませんでした。そこで万が一、美容室の運営を続けられない場合でも、副収入が得られる環境を構築することにしたのです。具体的には、自分の店舗をモデルにしたコンサルティング業務をはじめようと、マーケティングや経営についての勉強をはじめました

お店の危機を救ったのはオンラインサロンを主催する経営者たち

現在はカットの新規予約受付を停止し、艶やかで美しい髪に導くグレイカラーエステに特化

――マーケティングや経営の勉強は独学だったのでしょうか?

いいえ、手はじめに創業からわずか4年で100店舗を展開した人気サロン「Dears」の代表、北原孝彦さんが主催するビジネス勉強グループ「北原と精神と時の部屋」に参加しました。私はパソコンに関する知識が一切ありませんでしたので、ほかにもSNSプロモーション特化型の美容師オンラインサロン「Routine」の岩田考司さんやTikTokの運用に強いマーケティング会社「メディアエイド」の九島遼大さんの元でも学ぶことにしたんです。その上でブログを開設し、ホームページも一新しました。現在もオンラインサロンなどでの勉強は続けていて5つの講座に参加しています。ちなみに所属している美容師コミュニティのメンバーは、みんな売上が伸び続けているんですよ。

――鈴木さんの経営する「hair space G.O.D」も急成長しているそうですね。

2021年の年商は、前年と比較して約400万円アップしました。夫婦二人で単月300万円を超える売上が出たこともあります。いずれは月間平均でも300万円を達成したいと考えているので、まだ道半ばですが。技術売上で言えば、勉強をはじめてから40万円はアップして月170万円ほどになっています。そこに商品売上130万円がプラスされると目標金額なのですが、なかなか難しく……達成できたのはまだ昨年12月だけですね。

――すごい業績の伸び率ですね。TikTokで投稿した動画が85万再生するなど注目を集めていますが、やはりSNS戦略が功を奏したのでしょうか?

じつはSNSでは集客していないんです。TikTokでバズった動画も「美容室前に絶対にやってほしい○○」というタイトルで、まったく中身のない内容でした(笑)。そのほかにも「モテない人がしている髪型3選」など、集客を考えずに娯楽性の高い動画を作っています。アカウントを立ち上げて最初の数本は経営論などを語ってみたのですが、全く再生数が伸びず(笑)。やはりTikTokユーザーは若者が中心で、基本的に求められているのは娯楽なのでしょう。

TikTokは将来を見越した実験の場。まずは100万再生を目指してトライ&エラー

集客はホームページとブログだけで十分まかなえるためTikTokでは新しい試みに挑戦中

――TikTokでの集客は難しいのでしょうか?

そもそもTikTokの運用はコンサルティング業への展開を考えてのもので、認知度を高めることを目的としています。動画の再生数を伸ばして「夫婦美容室経営者」というキャラクターを世間の方々に広めようと思ってはじめました。店舗は1ヶ月半くらい先まで予約が埋まっているので、現状では集客に力を入れる必要はありませんから。

ちなみに集客効果を狙うのであれば、最近はカウンセリングの様子をまとめた動画が流行っています。その場合、お客さまにご登場いただくことになるのですが、動画に寄せられるのはポジティブなコメントばかりではなく……85万再生を達成した動画も、注目を集めた分だけ批判的なご意見もいただきました。そうしたことでお客さまにご不快な想いをさせるのは絶対に避けなければなりません。モデルさんを雇って動画に登場してもらうこともできますが、広告費が発生するのであれば他にもっと費用対策効果に優れた集客方法があります

――TikTokの運用には試行錯誤が必要そうですね。

そうですね。ひとまず100万再生を超える動画を目標にしていますが、最近は伸び悩んでいます。再生数が伸びる法則性は理解してきたので、運用するアカウントを増やし、新しい企画にも挑戦する予定です。TikTokはまだまだ伸びしろのあるSNSだと思っています。1つの動画に対してAIが良し悪しを判別し、拡散してくれることもあって、新規参入がしやすいですから。私の投稿を楽しみにしているお客さまが大勢いらっしゃるので、これからも皆さまに喜んでいただけるよう動画製作をがんばりたいです。

――コンサルティング業への展開も楽しみにしています。

2022年6月には「1ヶ月予約が埋まるリピート戦略」というコンサルティング事業を展開します。名前の通り、店舗さまのリピート率を上げて30日間予約をいっぱいにするためのサービスです。SNSマーケティング特化型コミュニティ「センサーズ」で学んだ本質のSNSマーケティングを提案していきます。

私が「hair space G.O.D」をオープンした時代、まだ美容室は「待ち業」でした。新聞の折込チラシなどで告知もしましたが、基本的にはお客さまのご来店を待つのが当たり前の仕事だったのです。現在はSNSなどを通して見込み顧客を開拓することができます。その一歩を積み重ねることができれば、たとえどんな世界にお店が移転しても、経営を軌道に乗せることができると思っています


経営危機の際に実践して良かったという3つの行動

お話をうかがったなかで鈴木日出寿さんが大きな壁に直面した際に行ったのは、以下の3つの事柄でした。

1.安易に融資は受けず、副収入が得られる環境を構築することにした

2.マーケティングやプロモーションについての知識を有識者から学んだ

3.予約が埋まっている状況でもSNSを通じて見込み顧客を開拓した

後編では、お店の売上を大きく伸ばしたという鈴木さんの経営術について詳しく伺います。一般的な美容室から、なぜ白髪染め専門店に移行したのでしょう? お客さまからのご要望を叶えてきたことでたどり着いた天職とは? 後編もどうぞお楽しみに! 

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Salon Data

白髪染め専門美容室 HAIR SPACE GOD
住所:千葉県茂原市長尾2694−17
電話:0475-44-7496
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