ブログの打ち出しを変え、勤務時間を減らしながら売上キープを実現!「eau」田中亜彌さん
フリーランス時代に、1年で100万円の売上を達成した美容師の田中亜彌さん。顧客ゼロからどのようにして100万円を達成したのかを前編では伺いました。ポイントとなっていたのは、大人女性にしぼったターゲット設定と、その層がよく見るSNSとしてブログを選択したこと。ただ情報を羅列するのではなく、悩みを検索した人が読んで、お店に来てくれるように工夫をして発信しているそうです。
後編では完全週休二日制、平均して120万円の売上をキープするようになるまでにやってきたことを伺います。ポイントとなったのはブログにカットのみの発信をするのをやめ、カットカラーをセットにして打ち出すようになったこと。それにより、9,000円から15,000円と大幅な単価アップに成功したそうです。また「eau」をオープンするにあたり行った、クラウドファンディングについても伺います。
今回、お話を伺ったのは…
田中亜彌さん
美容師・「eau(オー)」オーナー
浦安のサロンを経て、31歳で原宿のフリーランス美容師に転身。その後、2021年6月オープンの「devoted」を経て、2022年7月にはTHE SALONS渋谷246内に「eau(オー)」をオープンさせる。また開業のために行ったクラウドファンディングでは、目標金額50万円に対して約144万円でサクセスするなど、業界で熱い視線を集める美容師のひとり。
instagram:@ami_tanaka1231
9,000円から15,000円の大幅客単価アップで、勤務時間を減らしながら売上をキープ
――フリーランス美容師になり、100万円の売上を達成されたそうですが、その後売上の推移はいかがでしょうか?
フリーランス美容師時代は、とにかく売上重視で働いていて、営業時間は10時から21時まで、休みは月4日程度で、150万円くらいはあげられていたのですが、これをずっと続けるのは体力的に厳しいと思ったんです。そこで35歳までに120万円くらいで売上をキープしながら、余裕のある働き方ができるようにシフトすることを次の目標にしました。「devoted」在籍時は36歳だったのですが、完全週休二日制が達成できましたね。
――具体的にはどのようにシフトしていったのでしょうか?
予約がほぼすべて埋まるようになってから、まず価格の見直しを行いました。そのあとカット、カラーをセットで頼んでもらえるように、ブログの打ち出しを変えて、客単価のアップを目指したんです。
フリーランス美容師時代、周りの美容師さんを見ていて思ったのは、カットばかりやっている美容師さんはまったく休む時間がないということ。そして単価も安くなってしまいます。そこでブログでは、カットのみをおすすめする記事を出すのをやめ、カットとカラーをセットで提供することで、悩みにアプローチできるという打ち出しに変更。カットのみのお客さまがほとんどいなくなり、フリーランスになりたてのころは単価9,000円だったのが15,000円になり、単価が大幅にアップしました。1日に担当する人数も4~5人くらいになり、時間的にも余裕がもてるようになったんです。
達成率298%!共感を生む文章でクラウドファンディングに大成功!
――「eau」の立ち上げに際して、クラウドファンディングをされたそうですね。
周りにもクラウドファンディングをやっている美容師さんが何人かいて、興味があったんです。仮に目標金額を達成しなくても、また何か面白いことをやっていると思ってもらえるんじゃないかと思いました。
――結果として、目標金額の50万円を大きく上回る、144万8,000円を集めたそうですね。成功のコツはあるんでしょうか。
クラファンの運営会社の方にアドバイスいただいたのは、思いがこもっている文章、共感の生まれる文章かどうかが重要だということでした。元々ブログで、自分の思いを書くのは得意だったこともあって、最初に文章を見てもらったときから「結構いいですね」と言っていただいて(笑)。うまい文章とか、格好いいことが書いてある文章だと、助けようという気持ちが働きづらいのかなと思います。
オープン準備でも多くの人に助けてもらいました。THE SALONSの内装を手がけたことがある美容師仲間が手伝うと言ってくれたので、内装は業者を入れずに仕上げることができたんです。たくさんの方の支えがなければここまでこれなかったので、本当に感謝しています。
自分のなりたい姿を目指し、階段をかけ上がるように一歩一歩進む
――田中さんが美容師として大切にしてきたことは?
お客さまと自分の物差しは違うということを、常に意識してきました。たとえば3センチ切りたいと言っても、実際の3センチとは違う長さだったりしますし、やりたいことは髪を切りたいわけではなくて、たださっぱりしたいとか、ただ髪を明るくしたいという気持ちが隠れていることも多いと思うんです。だから言葉通りに受け取って自分の物差しにあてはめずに、「この方のおっしゃる3センチとは何なのか」を常に探るようにしてきました。カウンセリングの時間は長めにとって、表情や言葉から本当にやりたいことを感じ取れるように心がけてきましたね。
――最後にこれから美容師として活躍したい人に、アドバイスをお願いします。
自分のなりたい姿を思い浮かべて、そこにたどり着くには何が必要なのかを分解して、なりたい姿までの階段を作っていくしかないと思います。そのなりたい姿は人によって全然違うと思うんです。組織のなかで輝く人もいれば、個人で輝く人もいる。さらに売上をたくさんあげることが幸せな人もいれば、そうでない人もいます。自分の幸せの基準を知ったら、あとは行動するしかない。
私もフリーランスとして独立したばかりのころは、お客さまがほとんどいなくてカーテンを閉め切った状態で、泣きながらブログを書いていたこともありました(笑)。でもその階段をちゃんとかけることができれば、少しずつ自分のなりたい姿に近づくことができるのかなと思います。
田中さんが理想の働き方を実現した、3つの方法
1.予約が埋まるようになったところで、価格改定を行った
2.カット・カラーをセットにしてブログで発信することで、客単価をあげた
3.自分とお客さまの物差しは違うことを意識し、丁寧なカウンセリングを行った
田中さん成功の鍵になっていると思ったのが、わからないことは詳しい人に聞き、聞いたことはすぐ実践するという姿勢。「ググレカス、なんて言葉もありますが、私は詳しい人に聞いたほうが学びが多いと思うので、お互いにノウハウを提供しあえるような関係性を作るようにしています」と田中さん。だからこそ確実に「なりたい自分」に近づいているのだなと感じました。美容師として成功したい人は参考にしてみてはいかがでしょうか。