5つの職業スキルを持つヘアスタイリストのメリット FORTE小林裕佳さん♯2
美容師・アイリスト・ブライダリスト・ネイリスト・スパニスト、5つの職業スキルを持つFORTE横浜店店長の小林裕佳さん。前編では、入社2年という短期間で5つの職業スキルを身につけられた理由を伺いました。小林さんは、FORTE独自の「Wワークシステム」と「ステージアップシステム」を利用し、時間も休みも気にせずがむしゃらにスキルアップを目指した結果、入社2年で5つの職業スキルを習得することができました。
後編では、多様なスキルを持つ小林さんのリアルな働き方とそのメリットに迫ります。爪の先から髪の毛まで、ひとりのお客様をトータルできれいにできることが最大のメリット。ダブルワークが広がっていくことは、美容師の価値づくりにも匹敵すると小林さんは語ってくれました。
お話を伺ったのは…
FORTE横浜店店長
小林裕佳さん
ハリウッド美容専門学校卒業後、FORTE入社。幅広い技術を習得するため、教育環境の整ったFORTE本拠地である静岡のサロンに勤務。1年9ヶ月でスタイリスト／アイリスト／ブライダリスト／ネイリスト／スパニスト5つの職種を習得。現在、入社5年目にして横浜店店長を任される。コンテスト入賞回数12回（優勝3回）。
爪の先から髪の毛まで、ひとりのお客様をトータルできれいにできる
小林さんが店長を務める横浜店は、ヘアだけでなくまつエクやエステもできるトータルビューティサロン。
――5つの職業スキルを持っていると、どんなスケジュールになるのですか？
その月によって違いますが、例えば9月はブライダルを2件担当させていただくので、サロンワーク7割：ブライダル3割といった感じです。多い月だと5件ブライダルが入ることもあって、リハーサル・前撮り・当日と1人の花嫁さんに3回携わるので、仕事全体の8割がブライダルになることもあります。横浜店には個室がないので現在スパニストとしての稼働はありませんが、ブライダルの中にアイリストやネイリストの仕事が入ってくるというイメージです。
――一日のうちではどんな動きになりますか？
例えば、ブライダルが1件入っている日は、式場に行って花嫁さんのヘアメイクをして、結婚式終了後にサロンに戻ってサロンワークをします。静岡に勤務しているときは、ブライダルが一日5組あった日もあり、一日中式場に詰めていたこともありました。担当する件数によって、朝から一日中のこともあれば、半日だけの日もあります。一日サロンワークの日は、10人以上予約が入る日もありますね。
ヘアとまつ毛エクステ、ヘアとアイブロウなどへアプラスもうひとつの施術を行うお客様が多いそう。
――ダブルワークのおすすめポイントを教えてください。
爪の先から髪の毛まで、ひとりのお客様をトータルできれいにできることです。例えばブライダルでは、式当日に涙を流す場面もあるので、まつ毛パーマやエクステをおすすめするんですね。そうすると、リハーサル後にお店に施術を受けに来てくださって、当日を迎える花嫁さんも多いです。結婚式前の花嫁さんは、いろんな準備で慌ただしいので、ヘアメイク、まつエク、ネイルなど「1ヶ所で完結できるからとても助かる」と喜んでくださいます。ダブルワークだと、美容家としていろんな提案ができることがメリットだと思います。
また、結婚式場はゲストのことを考えて場所を決めるので、横浜在住ではないけれど新幹線の便がいいので横浜でという方もいるんですね。ブライダルをご縁に、埼玉から定期的にお店に通ってくださる方もいて、結婚式直後に髪をばっさり切りたいとカットを担当させていただきました。お子さんが生まれてからはお子さんのカットも担当させていただいています。スタイリストとしてもずっと関われるのは嬉しいことですね。
――ひとりのお客様とブライダリスト、アイリスト、スタイリストとして関われるなんてスゴいですね。逆にダブルワークの大変なところは？
現在、設備は整っているけれどネイルができていないなど、担当できる職種の比重が偏ってしまうことがあるかもしれませんね。そうすると、疎遠になってしまう技術ができてしまうことも…。
――そういうときはどうするのですか？
教育用の動画があるので、自分でひたすらトレーニングして感覚を取り戻します。それから、ちょっと違うかもしれませんが、ひとりでいくつもの技術を担当できるので、いろいろやりたくなってしまい、予約をとりすぎてしまうことがあります。
でも、いまは店長という立場にいるので、アシスタントのデビュー時期などメンバーバランスも考えないといけない。ネイルもやりたいけど、スタッフのことを考えると、いまの自分は別のことをやらなきゃいけないという葛藤はありますね。
――店長としての立場が優先なんですね。ダブルワークだと待遇面は変わってくるのですか？
はい、ダブルワークをしているスタッフは給与に上乗せがあります。ブライダルは検定に合格すると基本給が上がり、さらに担当した件数でも変わってきます。スタイリストやアイリスト、スパニストは、指名や売上で評価が変わってきます。
ダブルワークが広がっていくことは「美容師の価値づくり」に匹敵する
「心残りのないように、人生を楽しく生きたい」と小林さん。
――いろいろな技術を習得されて、得たことは？
美容学生のときは、ブライダルとヘアができれば満足なんだろうなと思っていました。でもFORTEには、それ以外にも幅を広げられる環境があったので、やりたいと思うものは全部やってきました。さまざまなコンテストにチャレンジして、夢だったダンクスのコンテストでは優勝することもできました。さまざまなスキルを学んだ相乗効果で、それぞれの技術を高めることができ、その結果、横浜店への異動や店長の辞令もいただけたのだと思います。こういうチャンスをいただいて、もしお店を作るのであればトータル美容ができるお店がいいなと夢も膨らんできましたね。
――その夢について詳しく教えてください。
会社としても全国展開を進めていますし、静岡から東京・横浜エリアに進出したいメンバーもいるので、わたしは横浜エリアの店舗数を増やしていきたいと思います。逆に、横浜店には地方出身のメンバーもいるので、ここで育って、そしてまた別のエリアでも活躍できるような環境にしたいです。
そして大きな目標は、海外進出！ ハワイにお店をオープンしたいです。現在、ハワイにFORTEの事務所があるのですが、コロナ禍もありストップしている状態なので、そこを再開拓できたらいいですね。これは入社したときからの夢なんです。日本人のハワイでのブライダル需要は今後も伸びていくと思いますし、海外で活躍できるメンバーも育てたい。何より、自分が海外で活躍したい気持ちが強いんです。
――ぜひその夢も叶えてください。最後に、これからダブルワークを目指す人にアドバイスをお願いします。
美容師免許って、本当に価値の高いものだと思うんです。ヘアスタイリストとしてはもちろん、メイクやアイリストなど活躍できる幅が広く、ときにはお客様の人生を変えてしまうくらい喜んでもらえる。国家資格の中では価値が低いと言われがちですが、わたし個人的には、美容師免許はお医者さんと同じくらいの価値があると思っているんですね。AIには替われない、本当に誇りをもっていい職業だと思います。
そんな価値のある美容師免許をフルに活かしてダブルワークすることで、仕事や育児に忙しい女性に貢献することができます。ヘアカラーをしている間にまつ毛やネイルができたら、お客様の負担も少ないですし、お客様も信頼できる美容師にいろいろ任せられたら安心だと思うんですね。
わたしは、早い段階からさまざまなスキルを学べたので、現在26才でさまざまな施術を担当させていただいていますが、また新たな課題が出てきて、一生学び続けても足りないのではと感じています。だから、興味がある方には年齢問わずチャレンジしてほしいですね。ダブルワークやトリプルワークが広がっていくことは、FORTEとしてはもちろん、美容業界全体が取り組んでいる「美容師の価値づくり」に匹敵することだと思っています。
小林さんが考えるダブルワークのメリットは
小林さんが考えるダブルワークのメリットは、以下の3つです。
1.美容家としてさまざまな提案ができる。
2.ひとりのお客様をトータルで美しくできる。
3.美容従事者としての価値が高まり、収入が増える。
入社2年で5つの職業スキルを習得した小林さん。美容師・アイリスト・ブライダリスト・ネイリスト・スパニストとしての顔を持つ小林さんは、その最大のメリットはひとりのお客様をトータルで美しくできることと言います。今回、社内でダブルワークを実現した小林さんのお話を伺いましたが、すでにサロン運営している方やフリーランスの方もぜひ参考にしてみてください。
取材・文／永瀬紀子
