【美容師あるある】技術練習は量をこなすに限る!同期の誰よりも練習する覚悟で【GARDEN W. トップアシスタント 中村大海さん】#2
美容業界でよくあるお悩みや課題にフォーカスする本企画。今回は、アシスタント美容師の「困った」に向き合います。前回に引き続き、「GARDEN W.」のトップアシスタント・中村大海さんにお話をお聞きします。前編では、お客様や周囲への気配りを身につけることや、お客様情報を事前に把握しておくことの大切さを教えていただきました。
後編では、社会人に必要な挨拶や礼儀、技術練習で大事なこと、お客様に響く物販のコツについて教えていただきます。
教えてくれたのは
GARDEN W. トップアシスタント 中村大海さん
アシスタント3年目。デビューを目前に控える、GARDEN期待の若手。誠実な接客スタイルと、謙虚な人柄、体育会系のメンタルで、お客様と先輩の双方に愛される。Instagramのフォロワー数は2万人越えで、ショート・ミディアムヘアを得意とする。
美容師の社会人マナー:初対面の先輩には自分から自己紹介をする
――入社後に学んだ社会人マナーはありますか?
先輩にご飯に連れて行ってもらったときは、きちんとLINEで「今日はありがとうございました」と改めてお礼を伝えるようにしています。学生の頃だったら、口頭でお礼を言って終わりでしたけど(笑)。仲の良い先輩だとなあなあにしがちですが、社会人である以上はそこはしっかりしなきゃなと思っています。
――挨拶と礼儀は社会人の基本ですもんね。
違う店舗の先輩がうちの店に来ることもあるのですが、はじめてお会いする方には絶対に自分から「何年目の中村です」と名乗るようにしていました。そうするのが当たり前だよ、と先輩に教えられていたので。挨拶の基本を身につけさせてくれた先輩には今でも感謝しています。
――服装などの身嗜みについてはいかがですか?
ファッションに決まった規定はありませんが、カラー後の根元が伸びていたり、セットされていなかったり、服にシワがあるのはダメですね。そういう最低限のことは守ろうねと言われています。
美容師である以上、髪型がきちんとしていないままお客様の前に立つことはありません。寝坊してセットする時間がない日は帽子を被りますが、帽子から見える部分にはオイルをつけています。ナチュラルな髪型の場合でも、パサつきが出ないようにスタイリング剤をつけるなど、他のみんなも気を遣っています。
美容師の技術練習のやり方:効率よりも「毎日やること」の方が大事
――デビューに向けて、今はカットモデルさんへの施術がメインのようですが、どのくらいの頻度で行っていますか?
平日は営業後に1〜2人、休日は一日に5〜7人の予約を入れています。
――普段、カットモデルさんへの施術で気をつけていることはありますか?
営業時間外での施術になるし、モデルさんとして来ていただく形にはなるのですが、僕にとっては「お客様」なので、営業中と同じテンションで接客するようにしています。朝も、営業前だからといってお店が汚れているのも絶対にダメ。モデルさんが来店される前に掃除は済ませておきます。
――モデルさんはどのように集客していますか?
入社したばかりの頃はInstagramがあまり伸びていなかったので、モデルハントを結構やりましたね。声をかけるのは恥ずかしかったし、無視されると傷つくし…で大変でしたけど(笑)。
怪しまれないように、「すみません、少しよろしいですか? GARDENで美容師をやっているんですけど」という感じで下から目線で声をかけ、そこから仲良くなって、Instagramを交換していました。多いときだと3時間で2〜30人と交換したことも。その日のうちに交換した全員にDMを送りますが、実際に来店してくださったのはそのうちの半分くらい。
――日中はサロンワークをこなし、営業後は自分のお客様を呼ぶ。忙しい日々を過ごす上で、気力・体力はどのように維持してきたのですか?
カリキュラムとは別に、自分なりに目標設定をしていました。僕は負けず嫌いでもあるので、目標を持っていた方が燃えるし、「今日はやらなくても良いかな」みたいな甘えが出ないんです。
――技術練習をする上で意識していることは何ですか?
効率より、「毎日やること」を大事にしています。お客様を呼べない時期はより練習量を増やしていました。効率良くやることも大事なことかもしれませんが、量をこなさなければどうしても上達はできません。会社から強制されることはないですが、僕は休日も休んでいたらダメだと思ってしまうタイプ。負けず嫌いなのでカリキュラムを進めるペースも同期に負けたくないですし、同期の誰よりも練習するつもりでやってきました。
――同期と比べて落ち込んだときはどう気持ちを立て直していましたか?
ネガティブになるのは良くないし、同期に負けないように努力しているという自信もあったので、僕はあまり落ち込むことはなかったですね(笑)。
技術については先輩と比べるようにしていましたが、「同期の方がお客様と楽しそうに話してるな」とか「同期の方が気遣いが上手だな」とか、そういう部分は同期と比べて自分はまだまだだなと気付かされることが多くて。同期の中には接客が上手な人もいるので、すごく勉強になるんです。どれだけ技術が上手だろうが、サロンワークをこなすのが上手だろうが、気遣いができていなければカッコ悪いじゃないですか。
美容師の物販ノルマ:新商品が入荷したら即試す。実際に使ってからお勧めする方が響く
――物販のコツってありますか?
ミーティングで「〇〇が入荷しました」とお知らせがあったら、僕ら若手は積極的に全部試すようにしています。実際に使ってみて「良いな」と思ったものは、お客様にも勧めやすいんですよ。良い部分も悪い部分も含めて。スタッフ同士で感想を言い合ったり、パンフレットを読み込んで成分を把握したりするようにしています。
――実際に使った感想が一番説得力がありますもんね。
良いところしか伝えないのは逆に不自然ですしね。実際に使ってからお勧めするのと、使わずにお勧めするのとでは、お客様への響き方も、話すときのテンションも全然違います。
このサロンでは無理に押し売りするスタイルではないのですが、「お客様の髪質やお悩みに合った商品があれば自由にお勧めして良いよ」と言われています。それで間違ったものをお勧めしてしまっても先輩が訂正してくれるし、間違えたらそこで勉強すれば良いので、怖がらずに自分が良いと思ったものを提案するようにしています。
――最後に、人気アシスタントになるための秘訣を教えてください。
僕もまだまだではありますが、みんなと同じことをやっているだけでは差をつけられないということ。僕は誰よりも練習してきましたし、誰よりも早く出社して、誰よりも遅く帰っていました。今でも一年目の子より早く来て、遅く帰るという日も全然ありますし、先輩の方が早く出社していると悔しいなって思っちゃうんです。みんなが休んでいるときでも、自分は休まず練習してきました。成長したい!と思っているのであれば、全てにおいて誰よりもやらないと結果は出ないんじゃないかなと。
デビューを目前に控えていますが、デビュー初月の売上はGARDEN史上一位を取りたいと思っています。その僕の背中を、今頑張っている後輩たちにも見せてあげたいですね。
アシスタントが社会人マナー・技術練習・物販で気をつけたいポイント
1.先輩へのあいさつとお礼はメリハリをつけてきちんとする
2.練習は効率より量を重視
3.商品は実際に自分で使ってからお客様に勧める
取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/喜多二三雄