FCを経験し、念願の独立。北海道にいるからこそ達成できた目標【美容師・経営者 藤山ショウタさん】#1
北海道・札幌市にて4店舗の美容室を経営する、美容師・経営者の藤山ショウタさん。いずれのサロンもお客様から高く評価されており、口コミサイトでは3年連続トップを獲得。札幌の人気サロンとして走り続けています。東京ではなく、サロン展開の地に札幌を選んだ経緯とは?
前編では美容師に進んだきっかけを伺い、現在経営するサロンがどのようにしてできあがっていったのか、詳しくお聞きします。
お話を伺ったのは…
美容師・経営者 藤山ショウタさん
幼少期より美容師を志す。専門学校卒業後、地元・札幌にある美容室を2店舗経験したのちに独立。個人事業主を経て、30歳で株式会社69を設立し、代表に。現在は、北海道を拠点に4店舗の美容室を展開し、いずれも高評価を得ている。また、20代の社員にして、月間指名売り上げ200万円を獲得させる敏腕経営者としても活躍しており、社員からの信頼も厚い。
独立前の経験を糧に。FC店舗の店長を経て、独立へ
――いつから美容師を目指していたのですか?
小学生の頃からすでに、美容師になることだけ考えていました。きっかけは母に連れて行ってもらった美容室に感動したこと。それまで僕は父に床屋に連れて行ってもらっていて、いつも角刈りカット&仕上げはジェルでパリパリ、という感じだったので、美容室で初めて角刈り以外のカットになり、ワックスをつけてもらったときに感動しちゃったんです(笑)。それから自分でもいろんなスタイリングを試すようになりました。ついには友人の髪の毛も切ったりと、髪型を変えたら気持ちが変わることが楽しくて、自然と美容師を目指していました。
ただ、専門学生の頃になると遊びに夢中になってしまい、多くの美容室の選考が終わっていて…。とりあえず就職を、ということで家の近くの美容室に就職することにりました。美容室自体は洗練されていておしゃれなイメージだったのですが、いざ入社してみたらがっつり体育会系の文化が根付いており、常に休む間もなく働かざるを得ない状態が続き…。そのうち、ここでスタイリストになっても先が見えなくて不安しかないと感じるようになって違う美容室への転職を決意しました。
再就職したのは、札幌の中心エリアにある、幅広い層をターゲットにした美容室。決め手は、週休2日制だったこと。いたって普通のことなんですが、以前ブラックな形態で働いていた僕からしたらとても魅力的に思えましたね。
そこでようやくスタイリストデビューを果たすこともできて、実際に休日以外の待遇や環境もよく、働きやすかったです。今思うとここでの経験がなければ今の自分はないと感じます。
――といいますと?
実は、当時から美容師になることと同時にいずれは自分のお店を出したいと思っていて。デビューしてから独立することを考えていました。
働き始めて数年ほどした頃に当時のオーナーに相談したら、「完全に独立する前にまずは経験を積んでおけ」と言って、会社からFC形式でお店を用意してくれたんです。
――手厚いですね!もともと会社にそのようなサポートがあったのですか?
それがないんです、僕が初めてで(笑)。オーナーは僕とは性格は真逆でしたが経営面については本当に尊敬できる人。それからは、経営面はほとんどそのオーナーに教わりましたね。
1年半くらい店長を務めて、約束した売上をすぐに達成し、お店はそのまま僕が引き取る形に。独立後、満を持してスタートしたお店というのが今のrostar(ロスター)という店舗です。
ここは自分の夢をかなえられる場所。「北海道といえば」と言われる美容室を目指す
――rostarをはじめ、いずれの店舗も北海道で展開されているのは何か理由があるのでしょうか?
僕の目標は「自分のお店を構える」こと。単純に、それだけのシンプルな目標だったので、むしろ北海道を出ない方が目標を実現しやすいと思いました。有名になりたいとか強いこだわりがあったわけでもなかったので、他に北海道を出る理由もなかったですね。
ただ、rostarでの独立により早くに目標を達成していたので、次にどうしようか考えたとき、北海道には東京のように有名な美容室がないことに気づいたんです。多くの人が東京の美容室を目指して北海道を出て行っちゃうわけです。それが本当にもったいないと感じていましたし、北海道でも美容師として輝けるんだということを示したいと思って、北海道といえば…と言われるような華のある美容室を出そうと、目標を立てました。
――では、実現のために何から始めましたか?
まずは、会社を設立しました。rostarを譲り受けてから2年ほどは個人事業主でしたが、北海道で大きくて有名な美容室にさせるためには、店舗展開は必要だと思ってのことです。
――独立してから大変だったことは?
当時rostarのほかにMUKU(ムク)という美容室をオープンさせたのですが、店舗展開していくことを考えると小さい美容室が無数にあっても目立たないと思い、まずはrostarを拡張することにしたんですね。
けれど、その矢先にコロナ禍による影響をもろに受けてしまって。オープンした当初は全然売上がとれなくて「終わった…」と思いましたね(笑)。とにかくその時期は休まず営業を続けることのみ。コロナ対策が緩和した頃にはお客様も戻ってくださり、売上も安定し始めました。
それからは売上も安定し、けっこう早いスピードで3つ目、4つ目と店舗を展開することができました。
――4店舗の特徴について、それぞれお聞かせください。
各店舗内装にはかなりこだわっていますが、細かいコンセプトなどは用意していません。どの店舗にも共通していることを強いて言えば、「ちょっぴり背伸びをしたスタンダードさ」。東京に比べて、北海道は奇抜すぎると需要がありませんから、いかに万人に受けるヘアを提案できるかが肝心だと考えてのコンセプトです。
あとは各店舗に大まかな要素を散りばめました。rostarはかっこいい女性をベースにトレンドに合わせた提案すること、MUKUは大人女性が通える美容室として、UCUCU(ウクク)は可愛いをテーマにウキウキワクワク心が弾む美容室、といったベースだけを決めて、あとは個々のスタッフの色を足していくことでお店が出来上がっていくというイメージ。そのテーマに沿うスタッフをあてはめていくほうが、集客しやすいと思ったからです。
読み通り、それぞれの店舗にご来店くださるお客様の層がはまっていると実感を得ています。
自身の夢をかなえたあと、今度は後輩たちが北海道で美容師として輝ける場所づくりを目標に、着々と歩みを進めています。後編では、社員の教育や独自の育成方法、大事にしているモットーなどについて伺います。
取材・文/東菜々(レ・キャトル)