苦難の13年間で習得したマンツーマン施術の極意。お客様満足度が上がる瞬間とは…【フリーランス美容師 金子洋平さん】#1

フリーランス美容師として活動する金子洋平さん。新潟県内の個人サロンに13年勤務したのち、同県のフリーランスサロン「KOKUA」に移籍。正社員時代に磨いたマンツーマン施術のスキルは、フリーランス転身後も大いに活かされていると言います。

前編では、たった一人でお客様の満足度を上げるために、金子さんがこれまでに試行錯誤してきたトークスキルやサロンワークについて教えていただきます。お客様が心地よく過ごせるようにと、「無駄」を削ぎ落とした接客スタイルに注目です!

教えてくれたのは…
スタイリスト・金子洋平さん

新潟の専門学校を卒業後、同県内の個人サロンに就職。13年間勤めたのち、フリーランスへ転身。昨年、フリーランスサロン「KOKUA」に活動拠点を移し、売上&報酬の大幅アップを実現。現在はプライベートの充実により力を入れている。

13年間の平均月売上は80万。正社員勤めに限界を感じ、フリーランスに転身

お客様と信頼関係をつくる接客術は必見!

――金子さんはフリーランスになる前は正社員としてサロン勤めをされていたのですね。売上や手取り年収はどのくらいでしたか?

前のサロンはクーポンサイトに掲載していなかったので集客が大変でした。60万円でデビューしてからは思うように売上が伸びず、13年間の平均売上は80万円ほど。前のサロンでは「3年でデビュー」というルールがあったのですが、僕は4年かかっちゃって。そのペナルティで歩合もあまりつけてもらえず、お給料もちょっと引かれたりしていたんです。なんと、スタリイストになってからもアシスタントのときと手取りが変わらなかったという…(笑)。

――それでフリーランスへの転身を決めたということでしょうか。

人が転職する理由はお金・人間関係・労働時間の3つが大きな柱だと思いますが、僕はその全部でしたね(笑)。職場に対してずっと不満には思っていましたが、違うサロンに転職したとしても結局また同じような環境なんじゃないかという懸念がありました。

だったらフリーランスサロンで働いた方が良いのかなと思ったんです。しかしそうなると、新潟ではフリーランスサロンは単価が安く、カット3000円くらいのところがほとんど。僕は、単価は絶対に下げたくないというちょっとしたプライドがあって。

フリーランスとして働くことができ、かつ高価格のサロンを探していたところ、知人の紹介で「KOKUA」に出会ったんです。僕の理想の全てを叶えられそうなサロンを見つけ、やっと辞める決心がつきました

長時間になりやすいマンツーマン施術は、「無言でも許される」空気感づくりが必要


――フリーランスになる前に身につけておいて良かったと思うスキルはありますか?

一人でお客様の満足度を上げられるスキルですね。前のサロンでもマンツーマン施術だったので、自分だけの力でどれだけお客様を満足させられるかということを日々考えながらやっていました。

お客様の満足度を数値化するとわかりやすいですよね。100のうち、アシスタントなど複数人で接客する場合はアシスタントが20をやってくれれば、僕は80まで頑張れば良い。けれど、マンツーマンの場合は僕一人で100をやらなくてはいけません。150とか200とかまで出しちゃうのも実は良くないんです。のちのち苦しくなるので。「良い意味で期待を裏切る」をちょっとずつやっていくことがコツです

正直、カット技術はどの美容師さんもそれほど大差ないと思っています。満足度の上げ方で人気が変わってくるんじゃないかなと。

――他に、マンツーマン施術で大事にしてきたことは?

前のサロンはカット5500円とそこそこ高単価サロンでしたが、それだけの価値を感じてもらうための空気づくりは意識しました。マンツーマン施術ということはサロンの滞在時間が長くなるわけですが、例えば3時間メニューの場合、3時間ずっと美容師と話しているのは絶対に疲れるじゃないですか。なので、無言を恐れなくて済む信頼関係、無言でも良い空気感づくりを大事にしていました。

――無言でいられる空気感はどうやったらつくれるのでしょうか…?

思い出に残る話を一つすること。施術中、お客様との盛り上がりを一つつくり、その一つに全振りしているという感じ。だから、あとは全然話さなくてもOKみたいな。

それと、あまりプライベートなことまで踏み込まないこと。「このあとどこかに行かれるんですか」とか、正直どうでも良い内容じゃないですか。お客様が話してくださる分には良いけれど、こちらからはお聞きしないように気をつけています。

――内容のない会話であれば無理にする必要はないと。では、施術面で意識してきたことはありますか?

美容室で癒される施術といえばシャンプーやヘッドスパ、トリートメントくらいだと思いますが、その施術にはしっかり時間を取るようにし、カラーなどの不快感を感じやすい施術はなるべく早く済ませられるようにしています。

カットも一発で決めます。何回も切り直しません。

カウンセリングでは、お客様に細かく要望をお聞きすることはしません。細かい確認ってお客様にとっても鬱陶しいと思いますし、スタイルブック通りにするのであれば、それを見れば詳細を聞かなくても大体わかります。

スタイルブック通りの髪型にするのはおそらくどの美容師さんでもできます。しかしそうすると、カット5500円の価値って何だろう?となるわけで。どの美容師さんも同じものをつくれるのであれば安い方が良いじゃないですか。そこで僕を選んでもらう旨味は何かを考えた結果、「ディテール」だと思ったんです。「かっこいい感じに」「お洒落に」「都会的に」など、なりたい雰囲気やどう見られたいかということだけをすり合わせて、スタイルの細かいディテールは僕に任せてもらう。そうすると「この美容師さん、言わなくてもわかってくれてる」と信頼してもらえるのかなと


お客様との信頼関係を築くこと。お客様の満足度を上げること。金子さんの接客スタイルに集客の本質があるのかもしれません。後編では、フリーランスになったことで可能になった「人間力のブランディング」についてお聞きします。

取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)

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Salon Data

KOKUA
住所:新潟県三条市金子新田1697-1
電話:070-8344-8911
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