キャラクター、ストーリー、サービス、限定感――ファンを生むのは4つの差別化。美容師 ワタベヨシキさん

SALOWIN千葉店にて施術を行うフリーランス美容師のワタベヨシキさん。「艶髪」を押し出した施術で予約は2ヶ月待ちと人気を呼んでいます。前編では、ワタベさんのLINEをメインに活用する集客方法や、自身のブランディングについてお話を伺いました。
後編では、ワタベさんが取り入れているマーケティングの考え方について教えていただきました。身近で人気なサービスを例にとり、「なぜ人気なのか」という理由を要素分解して、自分に落とし込んでいるそう。ワタベさんはディズニーリゾートを例にして、自身のキャラクター性を高めたり、ストーリー性を感じてもらう工夫をしているんだとか。また意外なことにSNSではバズることを狙っておらず、新規よりも顧客を大事にして、自分のファン化を進められるよう努めているのだそうです。

今回、お話を伺ったのは…

ワタベヨシキさん

フリーランス美容師。SALOWIN千葉店にて施術中。個室でマンツーマン施術を行う。「千葉No.1艶髪師」として縮毛矯正×髪質改善に力を入れ、年間1500人以上を施術。圧倒的に柔らかく美しい艶髪が手に入ると評判に。現在、予約は2ヶ月待ち。

インスタグラム:@0031watabe.yoshiki

目指すは自分のディズニー化。長く愛される美容師に

サロンワークの日は黒をメインとしたファッションをするのがワタベさんのルーティーン

――ワタベさんは美容師さんとして、マーケティングの観点を取り入れていらっしゃいますよね。美容師さんが取り入れやすいマーケティングの例があれば教えていただけますか。

「身近なサービスの人気の理由」を分析して自分自身に取り入れてみるのがいいかもしれないですね。僕は「コスパより質を求める上品なオトナ女性」をターゲット層に決めたのですが、そんな方々から長年愛されているものってなんだろうと考えてみたんです。そこで思いついたのは、ディズニーリゾート。他の遊園地との違いを考えてみたら、キャラクターの有無、ストーリー性、サービス、限定感の4つが差別化につながっていると感じたんです。それを美容師バージョンとして落とし込んでみることにしました。
キャラクターの有無は、服装で表現することにしました。僕は黒の服を着て、赤い靴下を履くというのをルーティーンにしているんです。ワタベといえば、というイメージが付くといいなと思ってこうしています。
ストーリー性については、僕の美容師人生を包み隠さずお客さまにお見せすることで再現しています。僕自身への親しみを持ってもらえるように、Instagaramのストーリーズの投稿で自分の歩みをお見せしています。

――サービスや限定感については、どんなふうに演出されているんですか。

サービスについては、ターゲット層に向けてチューニングをしています。「コスパよりも質を求める上品な女性」とうたっている通り、品質に対して納得がいけば適切な代金を支払いたいと思っている方が顧客層なので、使用する薬剤や製品などを上質なものにしています。そしてお客さまの美容に関する知識量に合わせて、噛み砕いた説明をするというのも重要です。せっかくよいものをつかっていてもそれが伝わらないのでは意味がありません。内容の説明には、とても心を傾けています。
また限定感は、高級ブランドのヘアミストを使うことで演出しています。人間は五感のなかで香りが一番記憶に残りやすいんです。「このヘアミストの香りはワタベさんだ!」と覚えてもらえるようにしたくて、上質な香りのものを使用しています。

バズりは狙わない。大事なのはファンを作ること

Instagramのキャッチコピーなどは全てワタベさんの考案だそう

――「艶に初恋」や「幸せは髪に宿る」など、インパクトのあるフレーズをワタベさんのInstagramで拝見しました。こういった言葉はすべてワタベさんが考えていらっしゃるんですか?

そうです(笑)。僕がフリーランスになるタイミングで、千葉県のサロンや美容師さんで、Instagramの投稿画像に文字を入れている美容師さんが少なかったんです。そこで、コピーライティングの本を読んだりして独学で勉強を重ねて、言葉選びのセンスを磨いていきました。
一番勉強になったのは、コスメを中心に置いている大手雑貨屋さんに行くこと。コスメコーナーを覗くと、女性が好むキャッチコピーが溢れかえっているんですよね。そこから個性的な言葉をインプットするようにしていました。カラーの言い回しなども、工夫次第でかわいらしい感じになるんですよ。
SNSに対しては、いい反応があればもちろんうれしいですが、決してバズることを狙っているわけではないんですよね

――そうなんですか!なぜバズることを狙わないのでしょうか。

「お客様層のコントロールをするため」です。
事業を始めたばかりの頃は、SNSがバズったほうが多くの方の認知を集めることが出来るので、コストを掛けずに集客をすることができます。しかし、SNSのバズりによって来店して下さるお客さまのほとんどは、興味本位やお試しの気持ちでの来店なのです。そのため、当日キャンセルや無断キャンセルの可能性が高くなるんです。

ですからSNSでのバズりを狙うよりも、「こういったお客様に来てほしい」という層を設定し、そういった方が流入しやすいように戦略を練って予約動線をつなげていくことが重要だと考えます。僕はバズらなくてもいいから、顧客がじわじわとファン化してくれることのほうが大事だと思うんですよね。新規顧客を増やしていくというよりも、顧客の方と長くお付き合いしていきたいと思っています
コロナ禍で改めて、既存顧客を大切にしていてよかったと思いました。あのとき多くの美容室は大打撃を受けたと思うのですが、顧客がファン化してくださっていたおかげで失客せず、打撃が少なくてすんだんですよ。

艶髪×○○で「美容室に行く理由」を作り出す

ワタベさんの艶髪技術を皆伝したお弟子さん。今ではワタベさんと肩を並べるほどの売上で大活躍なのだとか

――元々は別のサロンで活躍していた3人の美容師さんをフリーランスサロンにスカウトし、艶髪の技術を教えているとお聞きしました。

はい、弟子と呼べる存在が3人いて、艶髪を教えています。
コロナが始まってから、お客さまが「無意味なものにお金を払わなくなったな」と感じることが多いんです
。いままでは「なんとなく」で消費していたけれど、コロナ以後は特に意味がないとお金を出さず、行動しない人が多くなった気がするんです。これは美容室に対しても同じ。だから今まで以上に、「美容師が提供できる価値」がお客さまに問われていると思うんです。
これからは、「美容室に行く理由」を作り出せないといけないなと思っています。僕の場合は艶髪ですが、これも徐々に一般的になりつつあるので、艶髪と別の技術を掛け合わせていく必要が出てくると予想しています。艶髪を教えた僕の弟子たちは、艶髪とショート、縮毛矯正による艶髪とブリーチ毛の組み合わせなど技術の掛け合わせをしてがんばっていますよ!あえて僕とは違うことに特化した弟子を持つことで、「お客様が選びやすい艶髪チーム」を作っています。

――ワタベさんの今後の目標をお聞かせください。

ひとつは、「街の雰囲気を変えること」です。先日僕のお客さまに「千葉駅で髪が艶々の人を見たんだけど、あれってワタベさんのお客さんじゃない?」と言われたんです。それがすごくうれしくて…!ゆくゆくは、自分の艶髪メソッドをセミナー化して、多くの人に技術を伝えて、街なかの人の髪が艶々になっているところを見たいんです。
もうひとつは、将来アジア圏で艶髪メソッドを広げること。とくに今はマレーシアと韓国の美容技術に興味津々。最近では、アジア圏の水質について調べています(笑)。千葉県だけではなく、日本中、アジア中で艶髪が広がり、多くのお客さまに喜んでもらえたら本望です。


ワタベヨシキさんが躍進を続ける3つのポイント

1.「身近なサービスの人気の理由」を分析し、美容師としての活動に落とし込む

2.SNSでバズるよりも、自分の顧客のファン化を促進することを目指す

3.「 艶髪×他の技術」で、美容室に行く理由を世の中に提供し続ける

自分のなりたい美容師像を明確にし、ひとつひとつ目標をクリアしながら着実に進んでいかれている姿が眩しいワタベさん。美容師さんとしての技術の強みが見つからない方、今後どうやって目標をクリアしていくかお悩みの方は、ワタベさんの歩みを参考にされてみてはいかがでしょうか?

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Salon Data

SALOWIN 千葉
住所:千葉県千葉市中央区新千葉2-1-1 アグリポート2F
電話:043-306-6644
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