予想もしていなかった講師業がきっかけ! 独立して経営者に【アイリスト・Ri’seyelashサロンオーナー 佐藤里奈さん】#1
愛知県名古屋市内でアイラッシュサロン「Ri’s eyelash(リズアイラッシュ)」「ricony by Ri’s」,「Ⅿaine lashlift&eyebrow」の3店舗を経営している佐藤里奈さん。経営・商品開発・講師・施術者のそれぞれをこなしながら、地元の人々より信頼を集めるサロンを実現させています。一挙に4つの軸を担うことになったその理由とは?
前編では、アイリストを目指したきっかけや独立までの経緯をお聞きします。
お話を伺ったのは…
アイリスト・Ri’seyelashサロンオーナー 佐藤里奈さん
美容学校卒業後、地元の愛知県名古屋市のサロンに就職。講師を頼まれたことがきっかけで独立に踏み切る。祖母の美容室を改装し、サロンをオープン。「株式会社Ri’s(リズ)」の代表。サロン経営・まつげパーマ講師業・商材の開発販売、そして施術者として現場に立ち続けている。プライベートでは2児のママ。
独立のきっかけは、講師業! 各々のペースに合わせた指導を行う
――アイリストになるまでの経緯をお聞かせください。
実は元々体育の先生になりたかったんです。そのため進学校へ入学したものの、「学力があっても外見は素朴でいないといけない」という校則に納得がいかず、高校で進路を変更して美容の道へ進みました。その後、専門学校在学中に妊娠をしたため、通信コースに切り替えて専門学校を卒業。
私の家系が祖母の代から美容師をやっている美容一家だったため、親からは「美容師になってほしい」と言われていましたが、子育てをしながら美容師を両立させるのは難しいと感じていて…そのとき浮かんだ職業がアイリストでした。
幼少期より手先が器用で細かいものを作ることが得意で、美容師としてカットしたりカラーしたりするよりも、ヘアアレンジなどのセットをする方が好きだった私は、アイラッシュのまつげの形を作る作業が楽しく思えたんです。
――それでアイリストの道に進んだのですね。就職したサロンの決め手はなんでしたか?
子育てに理解があるのはもちろん、個性を尊重する職場を理想としていました。就職を決めたサロンのオーナーは女性で、現役の施術者でありながらスタッフ一人ひとりの個性を理解していて、とても魅力的に感じたんです。どうしても入社したいと思い、面接の時点でお金や昇給の面について詳しく聞き出して(笑)。そんな私の前のめりさをやる気があると見込んでいただけたようで、無事採用となりました。
――独立はどのタイミングで?
最初は独立するなんて考えてもいませんでしたが、会社員として3年間勤務したのちに独立を決意しました。
独立した理由は3つあります。1つ目は当時憧れていた先輩が辞めてしまったこと。デザインが綺麗で目標にしていたのですが、辞めてしまったので目標を失った感じでした。
2つ目は、時間で売り上げが限られてしまうこと。当時子供が小さかったため、勤務時間は保育園のお迎えの17時まで。限られた時間の中で「施術を早くすること」が最大の売り上げを出す方法でした。雇われたままではスタッフごとに別料金でのメニュー価格の設定はできないため、数をこなすだけでは売り上げは上がらずで限界がありました。
3つ目は講師を始めたこと。講師をするのはオーナーに承諾してもらえましたが、あくまで会社の人間として講師をしてほしいという条件つき。そうなると、お金や労働時間の面でいろいろ折り合いをつけるのが難しいうえに、会社にいる限りは講師が続けられないと思ったんです。
――講師を始めたタイミングで独立したのですね。どんなきっかけだったのですか?
InstagramのDMに技術を教わりたいとメッセージをいただいたのがきっかけです。Instagramでは、自分の手がけたデザインのまつ毛エクステやパーマを形として残しておきたくて投稿していただけだったので、驚きました。
――連絡がきたのはなぜだと思いますか?
当時まつ毛パーマはあまり主流ではなかったのですが、私がまつ毛パーマが好きで、積極的に取り入れていたんです。でも、市内でまつげパーマを取り入れるサロンが少なくて…それで注目してくれたのかなと。
講師をするために投稿したわけではなかったので、「私でいいの?」という状態でした。
――それから講師を兼業するようになったのですね。
ストーリーズに何気なく、講師をしましたって載せたら結構な反響があって(笑)。各方面から「指導しているんですか?」「私にも教えてほしいです」とメッセージが多数寄せられたんです。
そんなに反響があるなら、と依頼を受けるようになり、講師の仕事が増え始めました。
――講師をするうえで心がけていることは?
私自身が人に教わって技術を習得したわけではなかったので、最初はお金を出してまで教えてほしい人の気持ちが分からず、知識だけ一方的に教えていました。
ところが、何人か教えるうちにいろいろな人がいて考えもそれぞれなら学習方法も違うんだと気づくようになったんです。それからはアドバイス形式で、求めている答えや方法ってなんだろうと探りながら指導しています。
想定外の展開によって経営者に。志願者が集まり、店舗を展開した
――独立するために準備したことを教えてください。
私を雇ってくれたオーナーや職場のスタッフに迷惑をかけたくないという気持ちから、私が抜けても安定した売上が立てられるように、1年間かけて3人の後輩育成をしてから退社しました。
それから場所の確保は、祖母が経営していた美容室を改装して使用することに。一から店舗を探すとなると、結構大変なんです。例えば、名古屋市で美容商をするには玄関が2つある建物でないと営業ができなくて。祖母が既にそれらをクリアして美容室を営業していたので、かかった費用は外装と内装くらいで助かりました(笑)。
――順調に準備を進められたようですが、不安はありましたか?
場所が若者が集まる名古屋駅より少し離れている住宅街なところだったこともあり、以前のサロンでは1ヶ月満席になるくらいの集客ができていた私でも埋まらなかったらどうしようと不安で…。ただ、技術力に自信があったので気負いながらもなんとかスタートさせました。
とりあえず大手広告サイトに登録したところ、2ヶ月先まで予約が埋まるようになり、解約。半数は以前のサロンからのお客様でしたが、他はInstagramを見てくださった方や口コミによって来てくださったようなんです。
――投稿にどんな工夫をしたのですか?
「#(ハッシュタグ)」をつけるようにしていました。実は集客のためではなく、以前から実際に逆まつげに悩むお客様が結構いて、「里奈さんがいないと目に刺さって大変!」と救いを求められまして(笑)。そういう人たちを助けたい気持ちから、見つけてもらえるようにと思って「#下まつげパーマ#逆まつげ矯正#上下まつ毛パーマ名古屋」をつけ始めたところ、反響をいただけるようになりました。「悩み」に着目するのは大事だと感じます。
――意図せず、集客に繋がったのですね。本店の他に2店舗を展開した理由をお聞かせください。
講師をしていた生徒さんから「一緒に働きたい」と言われたのがきっかけです。最初は一人だけ雇うつもりだったので本店の1店舗のみで問題ないと思っていたのですが、Instagramのストーリーズで「店を出したら一緒に働いてくれますか?」と問いかけてみたところ、思ったより応答があり、1店舗じゃ納まらないとなったんです(笑)。
考えてみたら本店が名古屋駅などの中心部から離れている場所だったので、そういった場所に店舗を展開するのもいいなと思ったんです。あわせて自分がしっかり教えた人になら、店舗を任せられると思い、店舗拡大に踏み切りました。
――2店舗一気に…?
およそ2ヶ月違いくらいです。当初は大きいところを1箇所だけ借りようと考えていたんです。
――2店舗にした理由はなんでしょう?
スタッフの安定性を求めた結果です。例えば、一気に大人数が辞めてしまったら残りの人間で大きいサロンを回していかないといけない。少ない人数で辞めた人たちの分まで補うなんて大変じゃないですか。それから潰れるとなった場合、一次負担金も大きいですし、何よりスタッフが路頭に迷うようなことだけは避けたいと思いました。そこへ2店舗あればもう1店舗が潰れそう…!となっても移ってもらえば済む話。一番は安定した経営ができれば良いのですが、いざというときのことも考えて2店舗をほぼ同時期に展開しました。
現在、本店は私を中心に、他の店舗はスタッフに任せて回しています。
突然のメッセージがきっかけとなり、店舗展開まで行った佐藤さん。もともと独立すら考えていなかったという佐藤さんですが、スタッフを想う気持ちが伝わってきました。後編ではスタッフとの関係性を保つためにしていることやサロンを円滑に経営できている秘訣を伺います。
取材・文/東 菜々(レ・キャトル)