それぞれの軸をブラさず、自分らしく。経営・商品開発・講師・施術すべて全力投球【アイリスト・Ri’seyelashサロンオーナー 佐藤里奈さん】#2

アイリストの佐藤里奈さんは施術者を続けながら、アイラッシュサロン「Ri’seyelash(リズアイラッシュ)」の経営、商品開発・講師をこなしています。

佐藤さんが指導する生徒さんたちから佐藤さんと一緒に働きたいと声が上がり、店舗を展開したとのこと。「店舗展開は考えていなかった」と話す佐藤さんが、当初の想像を覆してまでスタッフに尽くすその想いについて深掘りします。

前編では、アイリストを目指したきっかけや独立&講師業に踏み切った経緯を伺いました。
後編ではスタッフに対する想いや商品開発に至った理由、それぞれをこなしながら今もなお、「現場で施術」を続けるワケをお聞きします。

お話を伺ったのは…
アイリスト・Ri’seyelashサロンオーナー 佐藤里奈さん

美容学校卒業後、地元の愛知県名古屋市のサロンに就職。講師を頼まれたことがきっかけで独立に踏み切る。祖母の美容室を改装し、サロンをオープン。「株式会社Ri’s(リズ)」の代表。サロン経営・まつげパーマ講師業・商材の開発販売、そして施術者として現場に立ち続けている。プライベートでは2児のママ。

instagram@rinalash2018

目標を持って働いてもらうためスタッフを徹底的にサポート

施術の様子。スタッフにも熱心に技術をレクチャーする佐藤さん

――店舗をスタッフに任せていると伺いましたが、具体的にはどのように?

ベースはスタッフに任せています。例えば、料金設定やメニュー展開など、担当者それぞれの技術力によって別々に料金を決めてもらっていいし、メニューも自分の得意な技術を積極的に取り入れてねって話をしています。

同じ料金で同じメニュー…とコンセプトが決まっているサロンが多いと思いますが、うちのサロンでは自由なお店づくりができるようにと、声をかけています。

知らんぷりして任せっきりというわけではありません。上から仕事をやらされているのではなく、「自らがこうしたい」、「こういう風に取り組みたい」と思う気持ちを大事にしてほしくて。明らかにおかしいと感じたり、スタッフが困っていたらすぐサポートします。

スタッフには自分で設定した目標に向かって、達成するまでの過程を楽しんでほしいと思っているんです。

――個人の能力に合わせて成長できそうですね。そこまで背負えるなんて頼もしい!

こんな風に思えるのは最初に就職したサロンオーナーの影響を受けているからだと感じます。いくらでも稼いで好きなようにして良いよと言われていたことで、私自身イキイキと働くことができたので、スタッフにも同じような気持ちで働いてもらえたらいいなと思うんです。

――スタッフを採用する際に見ているところは?

技術よりも人間性を見ることが多いかもしれませんが、一度の面接でそれを見抜くのは難しい。そのため、私は技術面を重視しています。もし、接客が得意ではなくても売上はあげられる。たとえ接客が苦手でも、働いているうちに学べばいいと思っています。入社して1ヶ月は私がサポートをしつつ、みっちりとマンツーマンで教えるため、そこでどのくらい頑張る意志があるのかを見極めさせてもらっていますね。

施術者目線がポイント。お客様も大満足な仕上がりがかなう商品を開発

佐藤さんと生徒さんたちの気持ちが詰まった商品は大人気

――佐藤さんが商品開発に携わることになった経緯をお聞かせください。

以前はまつげを上げるロットの種類が少なくて、それをいかに使いこなすかがアイリストとして問われている時代でした。でも、まつげの育毛剤が進化した背景を受け、昔よりもまつげが長い方が続々と増えていき、もともとあるロットのみでの施術に限界がきていて…

軽い気持ちで粘土を使って自作していたのですが、簡易的なものには限界があり、もっとしっかりした物を作りたいと思い、工場に直談判しに行くことに。実はお願いした工場はまつげ専用の商品を製造する工場ではなかったため、商品について一から説明する必要があるうえに、形の細かいところまで細かく伝えなければならなく、かなり苦労しました。

何回も失敗を繰り返した結果、何十万もつぎ込むことに。サンプルを一つ作るのに30万円もかかるんですよ、死ぬかと思いました(笑)。

そこで講習を受けている生徒さんたちにも開発の状況を説明したところ、「ほしい」という声がたくさん上がり、生徒さんが受けてくれた講習費のおかげで量産に踏み切れました。

――それから順調に商品化が進んでいったのですね。

一見順調そうに見えるかもしれませんが、試作に何百万かけて、何十回もやり直しを繰り返したからこそ、今のように広まっていったのだと思います。

何回も何十回も試行錯誤を繰り返す2年間、工場の社長も諦めず寄り添ってくれたので、お金が厳しくとも絶対やり切ろうと思えました。少しでも納得できない気持ちが残るような商品にはしたくなかったので、最後まで妥協せずに試作を繰り返し、完成させることができました。

――好評を得られたポイントは何だと思いますか?

自分の意見を前面に出して主張していたからでしょうか。個人の私が注目を集められたのは、現役の施術者であることに加えてInstagramなどで自分の意見や思いを発信していたからだと思います。私の考えはこうで、だからこういう商品がほしいとか、商品を作る経緯やそういうところを見た人たちに想いが伝わって、商品が広がっていったようです。

現役で施術をしているからこそ、お客様と施術者がそれぞれ求めるポイントが掴めたのかなと感じます。

――商品を開発する際、どんなところに気をつけていますか?

施術者が使いやすいことが第一。それから、自分がほしいと思うものとお客様目線を忘れないデザインを加えて形にしています。こういうデザインのカールにしたいなとか自分がお客様の立場になることも欠かさないです。

――今後の商品開発に対しての目標は?

自分の色を消さないようにしたいです。流行りによって無理やり作ったり、売上のために作りたくないものを生み出したり…そういうことなく、欲しいと思われる商品を作り続けたいです。

両立することの楽しさ。偏らず満遍なく見ていたい

佐藤さんに今後の意気込みを伺うと…「お客様に最高の施術を提供できるように、日々スタッフと歩んでいきたいです」

――使いやすさと理想を求める気持ちが商品化に反映されたようですね。施術者を続けながら、経営、講師、商品開発をするのは大変ではないですか?

全部楽しいと思えるのでできていますね。あとは人が好きで、暇が嫌いだから頑張れています(笑)。

――同時にこなしていくコツはありますか?

複数の仕事をする場合はどれかひとつに偏らないことが大切だと思います。講師業と商品の開発に注力しすぎて店を放ったらかしにしたらスタッフが悲しい気持ちになるので、全部見るように意識しています。全部に全力で真摯に対応すれば、みんなその気持ちを受け取ってくれるんです。分かりやすく言うと家族がたくさんいる状態。

自分が嫌だと思うことはなるべくしないように、人の気持ちを常に考えて行動しています

――佐藤さんご自身がお客様と接する際に気をつけていることは?

お客様ごとの本音を聞き出せるよう気をつけています。かしこまった接客は苦手なので、親しみを込めた対応を意識して、求めているデザインや要望を読み取るように心がけています。お客様は伝えるプロではないですし、一方的にデザインなどを決めるとリピートって難しい。こちらがいかにお客様の望みを汲み取れるかが重要です。

――今後の目標をお聞かせください。

経営者目線で言うと、現状維持。今は一人ではないですから、自分だけを優先した働き方や環境はできません。とにかくスタッフ一人ひとりに安定と充実した労働環境を与えられるようにしたいです。

自分軸をブラさず自分がしたいことに向けて進んでいけたらいいなと思います。

経営・講師・商品開発・施術者の4つを同時にこなせる人の特徴3つ

1.人に興味・関心が持てる心を持つ

2.いつでもお客様と施術者両方の立場となって物事を考える

3.大変ではなく、楽しいと思える精神力を身につける


取材・文/東 菜々(レ・キャトル)

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