リサーチ力とヘアケア推しで5 年で6店舗のサロンを展開！美容師・和田光弘さん
大阪で6店舗のサロンを経営する株式会社afrodite 代表取締役の和田光弘さん。2018年に独立して1店舗目をオープンし、5年間の間に多店舗展開を続々と成功させています。店舗を拡大する理由は、多くの美容師が自分らしく楽しく働ける場所を提供するため。前編では短期間で多くの店舗展開をかなえた集客の秘訣を伺います。
今回、お話を伺ったのは…
和田光弘さん
大阪府出身。大阪美容専門学校卒業後、3つのサロンに所属し、サロンワークのほか経営のノウハウも学ぶ。2018年に独立し「afrodite（アフロディーテ）」をオープン。現在は京橋に3店舗、天王寺に2店舗、枚方に1店舗、合計6店舗の経営を一手に担っている。
美容師が楽しく働く場所を作るため、5年で6店舗のサロンをオープン
広々とした清潔感のある空間もサロンの魅力
――5年間で6店舗とすごい速さで店舗を展開されていますが、和田さんが多店舗展開を行う理由を教えてください。
より多くの優秀な美容師が自分らしく、楽しく働く場所を作るためです。最近の美容業界はかなり環境が整ってきましたが、僕が独立した5年前は給料が少ない、休みの日も強制的に講習が入る、それなのに集客の責任は個人に託されるなど厳しい環境で、優秀な美容師ほどやめてしまう状況が続いていました。そんな人たちを救いたいという思いをもとに独立。自分のサロンを持ちたいというよりも会社を作って美容師が働きやすい仕組みを構築することが目的でした。
多くの優秀な美容師が集まれる場所を作り、そこでやりたいことにどんどん挑戦してもらうためには場所も資金も必要。それをかなえるためには多店舗展開が必須だったんです。
――これだけ短期間で店舗を増やすには資金が必要かと思います。どのようにして売上を上げてきたのですか？
以前働いていたサロンでは管理職も担当していたので、数字の見方や集客の方法、利益の出し方などはそこで学びました。さらに独立も視野に入れていたので、個人でも情報を収集し、会社で実践。その経験があったからこそ1店舗目オープンの際はある程度勝算は見えていましたし、2店舗目にいくまでは早かったですね。
――具体的な集客方法を教えてください。
基本はネット広告です。事前にオープンするサロンの周辺の情報を美容の予約サイトやgoogle広告などで徹底的にリサーチします。たとえば何店舗のサロンがあって、それぞれ何を得意としているのか、価格帯、客層など。さらに時代の流れや多く検索されているワードなどをとことん調べることも大切。それをふまえて、サロン周辺のエリアの方がなにを求めていて、なにが足りていないのかを分析し、店舗の売りを考えてきます。そこまでやればあとはお客さまに選んでいただくだけ。情報量と事前のリサーチが一番重要です。
一流の設備を取り入れお客さまの満足度をあげる
「afrodite」には最高級の設備が整っている
――各店舗によって売りやターゲットは異なるのでしょうか。
はい。サロン全体の大きなコンセプトはありますが、働くスタッフによって店舗のカラーは違ってくると思うので。オープン時のリサーチと集客の導線づくりだけは僕のほうで行って、あとは現場のスタッフの特技だったりやりたいことだったりを尊重してそれぞれ任せるようにしています。
――サロン全体の大きなコンセプトとは？
「afrodite」グループではヘアケアを重視しています。髪や肌の細胞や、遺伝子を直接活性化させる技術が用いられた「レプリナイザー」という高級ドライヤーを全席に完備したり、シャワーヘッドのすべてに「マイクロバブル」を導入したり、一流のものを取り揃えました。トリートメントも全国で数店舗しか取り扱っていない契約商品を導入して、徹底的にヘアケアに力を入れています。
――なぜそこまでヘアケアを重視しているのですか？
理由はふたつあります。ひとつは5年前にオープンした当初、まだ周りにヘアケアを推しているサロンが少なかったからです。もうひとつは個人によって技術に差が出にくいため。もちろんトリートメントにも技術が必要ですが、カラーやカットに比べると経験やスキルの差が表れにくく、共有しやすいのが特徴です。人によって得意、不得意はあると思うので、高度なスキルを全員に身につけてほしいとは思っていません。
サロンの売りであり習得しやすいトリートメントの技術を身につけて、そのうえでカラーやカットなどそれぞれの得意分野を伸ばしていってほしいと思っています。
初心を忘れず現場の声を聞くことが多店舗経営のコツ
今では全体で約50名のスタッフがサロンに勤務している
――多店舗展開を行ううえで和田さんが重要だと思うことはなんですか？
軸がぶれないことだと思います。僕が会社をつくった理由は、美容師の待遇をよくすること、優秀な方がやめない環境をつくることです。なぜ店舗を増やしているのか、初心を忘れないことはつねに意識しています。
――和田さんご自身はサロンに出ているのですか？
新規店舗には何日間か通いますが、スタッフが慣れてきたら店舗に任せるようにしています。何店舗も経営しているので、1つの店舗にずっといられるわけではありません。僕がいるときといないときの差が出ないようにサロンワークにはあまり立ち入らないようにしています。ただし、集金などで毎週必ず各店舗をまわるので、そのときにはサロンの雰囲気を感じたり、スタッフとコミュニケーションをとったりして現場の声を聞くことは忘れません。
――サロンを訪れる際に意識していることはありますか？
社長という立場を忘れるくらいフランクに接するように意識しています。かしこまってしまうと本音で話してもらえないと思うので。スタッフはどう思っているかわかりませんが、僕は距離を感じずに同じ立場で話したいと思っています。
和田さんが短期間で多店舗展開を成功させた3つの秘訣
1.サロンの周辺情報や流行などを徹底的にリサーチ
2.競合の少ないヘアケアを売りとする
3.美容師の働く環境を良くするという軸をつねに意識する
後編ではすべての雇用が業務委託契約という「afrodite」の具体的な勤務体制やスタッフの満足度の高め方について伺います。5年間で退職者がほとんどいないという「afrodite」。その裏にはスタッフの個性を尊重した自由な働き方がありました。
Salon Data
住所：大阪府大阪市都島区東野田町1-6-16 ワタヤコスモスビル8Ｆ
TEL：06-6809-5180
