ZACCというブランドでみんなが幸せになる環境をつくる。これが今の大きな目標！【ZACC JINGU 伊藤塁さん】#2
さまざまな独立の形をご紹介する本企画。前編に続いて、ZACCからフランチャイズ1号店として神宮前にサロンを立ち上げた伊藤塁さんにお話しを伺います。
前編ではフランチャイズという方法を選んだ理由や独立を決意するまでの心の動きをご紹介しました。後編では伊藤さんの考えるフランチャイズのメリット、起業してよかったことと大変なことについて直撃しました。
お話を伺ったのは…
ZACC JINGU
代表 伊藤塁さん
美容専門学校を卒業後、オーストラリアへ語学留学する。ここでメイクの経験と実績を積み、帰国後もヘアメイクアップアーティストとして活動。その後、27歳で美容師となるべくZACCに入社。2023年2月11日ZACC JINGUをオープンさせる。
先が見えない状況なのに「一緒に働きたい」と言ってくれたスタッフと新店舗へ
2月11日オープンに先駆けて、前日にレセプションパーティを開催。ZACC代表高橋和義さんも駆けつけてくださったとか。
――オープニングのスタッフはどうやって集めたんですか？
現在はスタイリスト4名、アシスタント2名。全員がZACC出身です。
僕がZACCを辞めて独立する話をしたら、「一緒について行きたい」と言ってくれたんです。僕から「一緒にやらないか」と声はかけていません。それはマナー違反です。本部からしても、せっかく育てた人材が辞めてしまうのは、快く思わないでしょう。
――フランチャイズとは言え、上手くいくか分からないサロンに付いてきてくれるのは、よほど信頼関係あったんですね。
付いてきてくれたのは、僕と一緒に働いてきたスタッフです。僕が辞める時に「一緒に仕事をしたい」と言われたときは本当に嬉しかったですね。だからこそ大事にしないといけないと思っています。
上手くいくかどうか分からないのに、賭に出てくれた。若さっていいですね（笑）。
――スタッフに「一緒に仕事をしたい」と思わせる、理想のサロンは？
独立はひとつのゴールですよね。スタッフたちと一緒に未来をつくっていくのが理想です。完全に独立というかたちにするのか、共同経営なのか、フランチャイズなのか、形はいろいろあると思います。1つのチームとして仕事をしていきたいですね。
これからさらに2名のアシスタントを入れて、安定したら次の店舗を作ろうと思っています。
――現在のサロンは神宮前ですが、表参道からも近い。場所はどうやって決めましたか？
僕が担当していたお客さまがサロンを移っても通いやすいように、表参道で物件を探しました。でも物件がなかなか見つからなくて。新築でこのビルを見つけたんです。新築だけに初期費用がとてつもなくかかりました。独立していちばん大変だったのは、銀行の融資ですね。
ZACCというブランド力を生かせるのがフランチャイズのメリット
‘23年2月11日にオープン。ベージュを基調にした清潔感にあふれた店内。
――フランチャイズでの独立をなさいましたが、どんなメリットを感じますか？
ZACCというブランド力はやはり大きいですね。35年の歴史には力があります。逆を言えば、フランチャイズによってその歴史を引き継いでいるので、名前を汚せません。ZACCという名前を生かせば、いろいろな面で伸びしろがもっとあるはずなので、そこのあたりを探していきたいですね。
今まで（ZACC代表の）高橋が築き上げてきた人脈などのつながりは、創業5年や10年のサロンに比べようがないほど大きいと思います。そのあたりを生かせるのが強みですよね。
具体的に言えば求人。求人を出してもなかなか人が集まらないサロンが多いですよね。でも、今までの実績や美容学校とのつながりがあって、毎年それなりの応募者数がちゃんとあって、人が入ってこないということはありません。
――実際に起業なさって、改めて感じることはありますか？
雇われの身はめちゃくちゃラクだったなぁって感じました（笑）。反面、自分の想いややりたいことを叶えられるのが独立したメリットですよね。すべてにやりがいを感じます。
雇われていることは、つまり守られていることなんですよね。いろいろワガママを言ってきましたが、相当いろいろ応えてくれたんだな…と感謝の気持ちしかありません。
オーストラリアへ留学したときから始めた趣味のひとつが絵を描くこと。気持ちがリセットされると同時に仕事にも生かされているとか。
――起業するために身につけておきたいことはありますか？
お金に関する知識でしょうか。今はYouTubeとかオンラインサロンでも勉強する機会がたくさんあります。ここで最低限の知識を得て、後は飛び込んでみるしかない。実際に経営に携わってみると、分からないことだらけですから、もがくしかないです（笑）。飛び込んだ上で、やり続けることに尽きます。知識通りには物事は進みません。最後には人間力がモノをいうんですよね。
――これから起業する方に向けて、アドバイスをお願いします。
いったん始めたら、歩み続けるしかありません。歩みを止めたら、それで終わりです。簡単なようで、続けることがいちばん難しいんですよね。どんな世界でも続けた者勝ち。実は僕、続けることがいちばん苦手だったんです。学生時代から何をやっても続けられず、すぐ諦めていました。そんな自分を変えたい、変えなくちゃいけないとずっと思っていたときにオーストラリア留学が転機になりました。
留学していたときに始めた絵も料理も、時間があれば続けています。そのほかにも、ジムで身体を鍛えることも続いていますね。ムキムキの筋肉をつくりたいワケではありませんが（笑）、サボれば腕の筋肉が落ちるのですぐに分かってしまう。続けないと健康が維持できませんから。
もうひとつ続けているのは、SNSへの投稿ですね。始めた当初は1日10投稿はしていましたが、最低でも1日1投稿は欠かしません。継続することの大切さは経営にも通じます。
伊藤さん流！起業を軌道に乗せるためのポイント
1．スタッフの働きやすさを第一に考えること
2．最低限の知識でもOK。あとは人間力で乗りきる
3．やると決めたことは、休まずにコツコツ続けること
オーストラリア留学を経て、ヘアメイクから美容師の道を歩んできた伊藤さん。ドラマチックな経歴の持ち主だからこそ、「人間力」の大切さを説く言葉に重みを感じました。
撮影／古谷利幸（F-REXon）
