アシスタント時代からヘアメイクの入客も!MIYUKIさんが辿り着いた「自分なりの働き方」【ヘアメイク/美容師・MIYUKIさん】#1
洗練されたヘアメイクが話題となり、ブライダルシーンや成人式などの特別な日を任され、多くの人から支持されているヘアメイク/美容師のMIYUKIさん。
前編では、ヘアメイク/美容師を目指すことになったきっかけや、特別な日のヘアメイクをすることの思い、そして多くの人に支持されるようになった背景について深掘りしていきます。
教えてくれたのは…
ヘアメイク/美容師・MIYUKIさん
大阪ビューティーアート専門学校を卒業後、20歳のときに上京し表参道のU-REALM(ユーレルム)に入社。5年間アシスタントを経験した後にスタイリストデビュー。現在はヘアメイクを中心に手がけており、2023年にはフリーランスとして独立。ヘアメイクを中心に活躍の幅を広げている。
活躍の場を広げるため、ヘアメイクから美容師へ
――まずはじめに美容業界を目指し始めた理由を教えてください。
実は、昔から美容師になりたかったというわけではないんです。商業高校に通っていたので、卒業したら就職するという子ばかりで。みんなが就活をしているなかで、私は求人票を見てもピンとくるものがなかったんです。ちゃんと人から求められるような、自分の存在意義がある仕事がしたいなっていう思いが結構が強かったのもありますね。
あとは体育祭や文化祭のときに、友達にヘアアレンジをして欲しいと頼まれることが多くて。当時ヘアアレンジがすごく上手だったわけではないんですけど、幼い頃にピアノを習っていて、大会やコンクールのときにヘアセットをしてもらうことが多かったんですね。やっぱりいつもと違うヘアスタイルにしてもらうと嬉しかったですし、そこにトキメキを感じることもあって。でも、「これを仕事にしたい!」という気持ちは当時はありませんでした。
そんななか、後に私が入学した専門学校に通っていた先輩がたまたまいて、話を聞いてみようと思ったんです。そしたらちょっと楽しそうだなって感じて、一旦美容学校に進学してみようと思ったのが美容業界に入ったきっかけです。ただそのときは「絶対に美容師になりたい」という気持ちが明確にあったわけではないですね。
――現在はヘアメイクとしても活躍していますが、美容師としても経験を積んできているんですよね。
最終的に就職するなら大阪か京都、地元の滋賀などその辺かなと考えていたので、大阪の専門学校に入学したんですけど、色々学び始めてみたら結構楽しくて。先輩の影響が大きいんですけど、その先輩が大阪から東京のサロンを見に行ったりしていて、「MIYUKIも行ってきたら?就職って意外と早いよ」みたいな感じで言われたんです。
最初は東京に行くつもりは全然なかったんですけど、たまたま友達と東京に遊びに行く機会があって、ついでに美容室にも行ってみたら「東京もいいかも」って思って。私はヘアメイクコースを専攻していたので、ヘアメイクの方に最初は興味があったんですけど、色々話を聞いたら「カットができた方がいい」「美容師業全般できておいた方がいいよ」と言われて、一旦美容師になってみようかなと思って、美容師の道へと進みました。
ただ美容師になってみたら、やっぱり美容師業ばかりで。でも1年目のときはとりあえず仕事を覚えるのに必死だったので、ヘアメイクがやりたいという感じでもなく、とりあえずスタイリストになるのが目標でした。でも個人的に作品撮りはしていて、その写真をInstagramに載せていたら、当時のサロンの社長から「来週からヘアメイクで入客して」と言われて、急遽予約を開放することになったんです。
今の時代はあるかもしれないんですけど、当時はまだアシスタント2年目で入客することになったので、異例みたいな感じで。でもそれがきっかけで、フリーランスになった今ヘアメイクを中心にできているのかなと思います。
SNS投稿がきっかけで、アシスタント時代にヘアメイクの入客も
――アシスタント時代の作品を頻繁にInstagramに投稿していたのですか?
そうですね。全然上手ではなかったんですけど、ただ普通に好きで載せてただけなんです。でも私がヘアアレンジに興味があるということを、当時のサロンの社長はみてくださっていて。
普通にサロンスタイルを撮影した後に、ちょっとアレンジをさせてもらって、その写真をInstagramに載せていたんです。当時サロンにはヘアセットのお客様が来ることはなくて、稀によく先輩のスタイリストのところにくるお客さんが「今度結婚式あるんだけど、ヘアセットってやってるの?」って話になるくらいで、「得意じゃないけど簡単なセットならやります」という感じがほとんどだったんです。
でも私がInstagramに載せたヘアアレンジを先輩たちも見てくれていたので、私を推してくれてヘアセットのときだけ入るようになりました。そのときの写真をまたInstagramに載せていたら、社長から「ヘアメイクの入客をして」と言われ、アシスタントだったんですけどヘアセットの予約を取らせてもらえることになって。私の場合は、アシスタント給料に合わせてヘアセットの歩合制も導入してくださりとてもありがたい環境をいただいたので、より頑張りたいという気持ちが強くなり、本格的にインスタグラムを投稿するようになりました。
成人式、卒業式、そして結婚式。お客様と長く付き合うために
――ブライダルのお仕事も増えているというMIYUKIさんですが、特別な日のヘアメイクを任せてもらうことに対して、どのように感じていますか?
ブライダルもそうですし、成人式や卒業式にしても、一生に一度のもの。たとえばブライダル専門のヘアメイクさんだったら、基本新規のお客様の繰り返しという感じなので、一度だけ携わってその後また一緒になることって少ないと思うんです。
でも私の場合はちょっと特別で、美容師もやっているのでブライダルを担当させていただいた花嫁さんが、今度は友達の結婚式の参列のときに来てくれたりするんです。成人式のときに来てくれたお客様が、次は卒業式のときに来てくれる。実際に卒業式の担当をさせてもらったお客様の結婚式に、ヘアメイクとして入ることも決まっています。
私はその1回だけで終わるのではなくて、次に繋げたいなっていう思いがあって。成人式からスタートして、卒業式、そして結婚式。その後は子どもが生まれたら七五三とか、次にどんどん繋げられるすごくいい立場にいるなと自分的には思っています。一生に一度なのはもちろんなんですけど、次にも繋げたいなっていう気持ちでやってる部分が強くあるかな。
毎月任せていただくのも嬉しいんですけど、やっぱり大切な節目のときに「任せたい」と思ってもらえるってすごくありがたいなって思っていて。高校の卒業式も任せてもらって、今年成人なので成人式当日も任せてもらうお客様がいるんですけど、「MIYUKIさんにお願いしたいです」って言ってもらえるのはすごく嬉しいですし、その方の役に立てているなと感じるので、ありがたい仕事だなと思っています。
丁寧な接客で「なりたいスタイル」を叶える
――お客様の理想を叶えるために、接客の際に気をつけていることを教えてください。
お客様の理想とのすり合わせは、かなり大事にしています。たとえばヘアメイクだけじゃなくて、カットカラーもそうなんですけど、理想とするヘアカラーの写真を見せてもらったときに、「何色が一番強く見えますか?」と聞くようにしているんです。やっぱり人によって色の見え方も変わってくるので。
ヘアメイクであれば、そのヘアメイクのどういう部分が好きで、どのあたりが自分には合わないと思ってるかなど、そこのすり合わせはちゃんとしています。ヘアセットって結構顔まわりのバランスが大事で、私は丸顔だからより気になるんですよね。人にやってもらうときは「もうちょっとこうしてほしい」とか、自分のこだわりがあるタイプなので、絶対にお客様にもこだわりがあるだろうなって思って。そういった特に気になる部分はしっかり聞くようにしています。
あとは、どういうヘアスタイルにしたいかよりも、自分がどういう雰囲気になりたいかを聞くようにしていますね。たとえばモードでクールな感じが好きなのかとか。大体その人の服装とか雰囲気でわかると思うんですけど、成人式や卒業式、ブライダルってその一回しかない。だからこそそのときになりたいスタイルと、日々の自分のスタイルって違ったりもすると思うんですね。当日着るウエディングドレスはかわいい系だから、いつもよりキュートな感じに仕上げたいとか。
その日着るものや身につけるもの、そして纏いたい雰囲気をちゃんとお客様とすり合わせてすべてを明確にしてから、スタイルを提案するようにしています。
アシスタント時代から才能を発揮し、ヘアメイクとしての地位を確立してきたMIYUKIさん。後編では、SNSで多くのフォロワーから支持されるMIYUKIさんに、SNSの運用方法や運用するにあたってのアドバイス、そして今後の目標について伺っていきます。
写真/Shohei
取材・文/菊地菜々