「稼げないし、休めない」は本当か。美容師の可能性を広げるため独立 「ioe」大垣峰志さん

2022年8月に独立し、「美容室4店舗のほか、アイサロン1店舗、エステ1店舗の合計6店舗を経営している「ioe」の大垣峰志さん。前編では、23歳のときに売上500万円を達成したこともある大垣さんが実践してきた、お客さまの心をつかむカウンセリング術について伺いました。

後編では、独立願望がほとんどなかったという大垣さんが独立し、たった1年で6つの店舗を構える至った経緯を伺います。その大きなきっかけとなったのが、「CHAINON」の坂口貴徳さんとの出会い。また経営するサロンのスタッフの多くが、100万円超えの売上を記録し、月収60万円を実現している理由についても掘り下げます。

今回、お話を伺ったのは…

大垣峰志さん

美容師/「ioe 」代表

専門学校卒業後、大阪の美容室に入社。1年半でスタイリストデビューしたあとすぐに売上100万円、23歳のときには500万円を達成する。その後、「CHAINON」を経て独立。現在は週の半分を「CHAINON」で業務委託美容師として働きながら、経営者としての手腕も発揮し、独立から約1年で美容室4店舗、アイサロン、エステサロン1店舗を出店するまでになる。

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「おまえは独立せえ」。美容師の可能性を広げると決めて

大垣さんに経営について教えてくれたという「CHAINON」の坂口さん(右)

――大垣さんが、独立された理由を教えてください。

独立願望はありませんでしたが、最初のお店で働いていたときに「CHAINON」の坂口貴徳さんと「shes」の原田伸介さんに出会って。「おまえは独立せえ」と言われたときに、それが妙に納得できてしまったんです(笑)。経営者の考え方ができているから、経営をやったほうがいいと。

その後、「CHAINON」に入社して坂口さんの近くで働いてみて、経営についてたくさん学ばせてもらいました。坂口さんは革新的な経営方法を取り入れていらっしゃって、これまでの美容師では考えられないような労働環境を作り上げていました。世間では「美容師は給料が安い」とか「休みが取れない」と言われていますが、経営のやり方によっては給料をもっと高く、休みも取れるようになるのではないかと、可能性を感じられるようになりました。自分で美容室を経営し、その状態を実現したい思いが強くなり、独立することを決めたんです。

――今でも週の半分を「CHAINON」でサロンワークしているそうですが、その理由は?

「CHAINON」がとてもいいお店ですし、坂口さんから経営について学ぶこともたくさんあるので、辞める必要性をまったく感じなかったことが大きいです。経営者が自分のお店でサロンワークをするメリットは、自分の売上をサロンに計上できるからだと思うのですが、うちのサロンではスタッフも売上をあげてくれていますし、そこまで気にすることはないと思ったんです。

ちなみに今、「CHAINON」の表参道で働いているのは、将来的に東京出店を考えているためです。準備も含めて月に何度か東京に行くので、そのタイミングで以前担当していて今は東京にいるお客さまを担当させていただいています。

目標設定、会議では、売上はあがらない

店名の「ioe」は、日本語で五百重、「積み重ね思い通りに満足する」を意味する造語

――坂口さんから学んだことで印象的なことは?

たくさんあって、ひとつに絞るのは難しいのですが、これまで通りの美容室経営をしていたらだめで、ほかの業種のもっと成功している経営者から学ぼう、ということですね。日本の美容師業界の市場ははっきり言ってもう天井が見えてしまっている状態です。それなのに美容室だけがどんどん増えて、その小さな市場を取りあっている。今までの美容師経営がすべて間違っているとは思わないですが、そのやり方を続けていても限界があるということを学びました。

――経営の方法で具体的に学んだことはありますか?

うちの会社でもその方法を真似させてもらっているのですが、売上目標を立てていませんし、会議もやりません。個人が売上目標を立てても売上があがることはなく、あまり意味がないということですよね。もちろん、目標を立てることで目標が達成できるようになる、数字が良くなる人もいるかもしれませんが、それは稀だと思います。それであれば売上をあげる方法について具体的に教えたほうがいい。うちのサロンでは、前編でもお話しした「提案する」と「次回予約を取る」がその方法です。会議も非効率だと思っています。

――会議が非効率な理由は?

たとえば1店舗で10人のスタイリストがいるサロンだとしたら、意味のある会議をやるために10人を管理できる人をまず育てないといけないと思うんです。その人が意味のある会議をできるようになるために、意味のない会議を2年も3年もやり続けるって、すっごく非効率なことではないかと思っています。

仲間と一緒に、美容室の可能性を広げていく

今後は東京、海外にも店舗展開をしていきたいと大垣さん

――経営者となり、サロンワークから離れていく人も多いなか、サロンワークを続ける理由は?

単純に美容師の仕事が好きだからですね。お客さまも好きだし、お客さまに喜んでもらうことも楽しいし、ずっと続けていきたいと思っています。前編でカウンセリングのことを色々と話しましたけど、僕の根本にはお客さまに喜んでほしいという軸があって。美容師になる前は、結婚式場でバイトをしていたのですが、ホスピタリティを高めてお客さまに喜んでもらうことの楽しさをそこで学びました。今でもお客さまに喜んでもらうことを考えるのが大好きで、「ioe」では来店したお客さまに一輪のお花をプレゼントしています。

――最後に今後の目標を教えてください。

10億円企業を目指しています。大阪と兵庫に店舗があるので、関西圏にももっと店舗展開していきたいのと、東京、海外にも展開していけたらいいなと思って動いているところです。美容師としてサロンワークをするのも大好きですが、逆に経営者を続ける理由としては、美容師の可能性を社会全体にもっと広げていきたいからです。それは1人で美容師を続けているだけではできないことなので、仲間と一緒に実現できたらと考えています


「ioe」が開業から約1年で、成果をあげている3つの理由

1.成功している人の考え方を学び、実直に実践している

2.売上目標や会議をなくし、スタッフには2つの方法論だけ守ってもらえるよう伝えている

3.代表である大垣さんが美容師という仕事を楽しみ、その可能性を広げていきたいと行動している

若くしてさまざまな実績を残している大垣さん。お話を聞いていて感じたのは、大垣さんのサービス精神の旺盛さ。人に喜んでもらいたいという思いが、お客さまにもスタッフにも伝わっているのだと感じました。美容師としてもっと活躍したい人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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Salon Data

ioe
大阪府大阪市北区鶴野町3-17ファースト・N・レジデンス501/502
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