売上500万円超え。想像、引き出す、提案の3ステップで心をつかむカウンセリング「ioe」大垣峰志さん

2022年8月に独立し、美容室4店舗のほか、アイサロン1店舗、エステ1店舗の合計6店舗を経営している「ioe」の大垣峰志さん。23歳で売上500万円を記録し、現在もまだ29歳という若さでありながら、さまざまな実績を成し遂げてきた美容師です。

「今は誰でもある程度の技術を持っている時代。心を動かすほどの感動がなければリピートにはつながらないと思います」と大垣さん。大垣さんがお客さまを感動させるためにやってきたことが、1時間かけることもあるというカウンセリング。想像する、引き出す、提案する、の3つのステップで、お客さまの心をつかむことができるといいます。

今回、お話を伺ったのは…

大垣峰志さん

美容師/「ioe 」代表

専門学校卒業後、大阪の美容室に入社。1年半でスタイリストデビューしたあとすぐに売上100万円、23歳のときには500万円を達成する。その後、「CHAINON」を経て独立。現在は週の半分を「CHAINON」で業務委託美容師として働きながら、経営者としての手腕も発揮し、独立から約1年で美容室4店舗、アイサロン、エステサロン1店舗を出店するまでになる。

Instagram

「看護師3年目なら緩む頃」。想像するのがカウンセリングの第一歩

大垣さんがカットしたお客さま。大垣さんはお客さまに感動を与え、心を動かすことを大切にしてきたという

――売上500万円超えを経験したこともあるそうですが、どのようにして実現してきたのでしょうか。

お客さまの心を動かすことだけを考えてきました。今の時代、美容師の技術がいろんなところで公開されていて、ある程度みんなうまいし、だれが切ってもかわいくなる時代だと思うんです。プラスアルファで感動を与えないと、僕のところにまた行こうとは絶対に思わないはずです。感動させるためには、そのお客さまのことを知ることが絶対に必要で、その方法として最も重要なのがカウンセリングだと思っています。なんとなく施術をして、たまたまフィットして喜んでもらっても、お客さまは感動しないし、再現性がないと思うので、僕は感動を狙ってカウンセリングをしています。

――カウンセリングでは、どのようなことをお聞きしているのですか?

想像する、引き出す、提案する、の3つのステップがとても大事で、どれかひとつが欠けても感動はないと思っています。カウンセリングに入る前から、カウンセリングは始まっていると僕は思っていて、まずはお客さまと話す前に、お客さまの人柄、状況、思い、悩みなどを想像するところから始めます。カウンセリングシートに書いてもらった情報や、入店されたお客さまを見ながら、想像力を働かせお客さまの状況を1つでも多く考えることが大事です。

たとえば「成人式前だから髪を伸ばしたいだろうな」、「成人式が終わったから切りたいと思っているかも」、「そろそろ就職活動が始まるから落ち着かせたいかな」とか。職業と絡めて「看護師3年目だったら、少し髪色で遊んだりしたいころかな」などと考えるときもありますね。厳しい仕事に就かれている方って、1、2年目は「髪色で注意されるかもしれない」と抑えめの色でいく方が多いですが、3年目くらいになって慣れてくると、少し派手にしたいと思い始める頃なんですよね。

――なるほど。想像したあとは、どうするのでしょうか?

そのあとは、ひたすらお客さまの情報を引き出していきます。初めてのお客さまには「今日初めて担当させてもらうので、髪の毛の悩み、気になっていること、こんなのが好き、嫌い、こんな風にしてみたい、こんなのどうかななど何か思っていることがあったら1から100まで聞くので、何でも言ってください」と伝えます。お客さまが話し終わっても「ほんまに全部言いましたか?1000個でも聞くのでなんでも言ってくださいね」と聞くときもありますね。そこでひとつでも多くの情報を集める。手札を1枚でも多く集めるイメージです。

――ちなみに想像しておくことにはどんな意味があるのでしょうか?引き出せるのであれば、想像するステップはいらない気がしますが・・・。

何にも考えずに漠然と聞くのと、自分で答えを想像しておくのではお客さまの感動度は大きく違うと思います。想像していたことがお客さまの口から出てきたときに「そうですよね。そうだと思ったので、これを提案しようと思ってたんです」とさっと提案することにもつながる。お客さまが美容師に対して「この人わかってくれている」と思えたら、そのあとの提案もささりやすくなりと思います

最終ステップ「提案」でゴールをすりあわせる

大垣さんが担当したお客さま。しっかりとしたカウンセリングで、ゴールをすりあわせているそう

――次は、提案ですね。

自分が想像したところから、お客さまの実際の悩みや、やってみたいことを聞いて、提案する内容を決めます。おすすめするときの言い方や言葉選びもとっても重要で、お客さまにあわせて変えています。たとえばくせ毛で悩んでいる方に縮毛矯正をおすすめするのと、くせがちょっとあるけれど気付いていない方や、くせを直そうと思っていない人では提案の言葉が変わってきますよね。お客さまにささるような言葉を、カウンセリング中に探ります。

――カウンセリングには、どのくらいの時間をかけますか?

15分のときもあれば、1時間のときもあります。手札をたくさん集めて、お客さまが早く切ってほしいと思ってもらえたらゴールという感じなので、時間では決めていません。僕の場合はカウンセリング終わりのお客さまが早く切ってほしいと、ワクワクされていたら、「あ、この方はリピートしてくれるな」と分かるんです。

――技術で大きく失敗しなければ、ということですか?

カウンセリングがしっかりできていると、技術を失敗しようがなくなるんですよね。「何か違うな」という感覚が生まれてしまうのは、ゴールのすり合わせができてないからだと僕は思います。共通のゴールがイメージできていれば、施術中も迷うこともありません。

美容師の商品は「人」。自分のキャラクターにあう方法を探す

2022年に大垣さんが開業した「ioe」。スタッフには2つのことだけを意識してもらうように伝えているという

――今教えていただいたカウンセリングを実践すれば、だれでも売上はあがっていくと。

僕の真似をしても、僕のように売上をあげられる人は少ないと思うんです。というのも、美容師の商品は人だと思っているので、カウンセリングの方法はキャラクターにあわせて変えないとだめで。先ほどお話ししたのは、僕のキャラクターに合っているから、僕は成功できたんだと思います。僕はこれまで100回くらいカウンセリングのセミナー講師を担当させてもらったことがあるのですが、セミナーを受けて売上が伸びた人って多分数人くらいしかいないと思うんです。言われた通りにやる人も少ないし、再現性がそんなにない。

ただ、ベースの考え方は同じだと思います。感動してもらわないとお客さまは来てくれないし、そのためには想像する、引き出す、提案する、の3つのステップが効果的なのは間違いないので。カウンセリングの細かい言い方や言葉の使い方は、僕のやり方が正解なわけではないし、自分で試行錯誤するのがいいのかなと思います。

――では、サロンのスタッフの方にも細かいカウンセリング方法は伝えていないのですか?

はい。その代わり、2つのことだけは必ずやってね、と伝えていて、それが提案と次回予約です。この2つさえ意識してもらえればいいと思うんです。効果的な提案をするにはカウンセリングが必要なので、その効果的な方法は自分で考えてもらう。次回予約もまったく難しくなくて、一言「次回予約、取っていかれませんか?」と聞くくらいです。うちのサロンではそこまで次回予約率が高いわけではありませんが、それでもまったく次回予約をしていないサロンに比べれば、かなり早い段階で予約が入っている状態を実現できていると思います。

あとの細かい方法や技術については、スタッフそれぞれに任せていますが、うちのスタッフは入社して半年くらい経てば、ほとんどが100万円を達成できています。スタイリストであれば月給60万円くらいが平均値で、次回予約がある程度入っているから、休みのコントロールもしやすいと思います


大垣さんが500万円売上を達成したカウンセリングの、3つの極意

1.お客さまに入る前に、想像力をめぐらせ、手札を用意しておく

2.お客さまの情報をひたすらに引き出し、手札の答えあわせをする

3.言葉選びにまで注意しながら、提案をする

後編では、独立願望がほとんどなかったという大垣さんが独立し、たった1年で6つの店舗を構える至った経緯を伺います。その大きなきっかけとなったのが、「CHAINON」の坂口貴徳さんとの出会い。また経営するサロンのスタッフの多くが、100万円超えの売上を記録し、月収60万円を実現している理由についても掘り下げます。後編もお楽しみに!

1
2
求人数3万件!リジョブで求人を探してみる

Salon Data

ioe
大阪府大阪市北区鶴野町3-17ファースト・N・レジデンス501/502
この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事

近くの美容師求人をリジョブで探す

株式会社リジョブでは、美容・リラクゼーション・治療業界に特化した「リジョブ」も運営しております。
転職をご検討中の場合は、以下の地域からぜひ求人をお探しください。

関東
関西
東海
北海道
東北
甲信越・北陸
中国・四国
九州・沖縄