がむしゃらに働いた都心を離れ、見えてきたこととは【accorto代表 小森洋平さん】#2
ただ漠然と大学を出てサラリーマンになるものだと思っていたのが美容師となり、予約の取れない人気スタイリストになった、accorto代表の小森洋平さん。前編では、神宮前にご自身のサロンccortoをオープンするまでのお話を伺いました。
後編では、順調に業績を伸ばしていた神宮前の店舗を閉めて新浦安に移転したいきさつ、都心と地方都市との違いについて、これからの展望についてご紹介します。
何もかも順調だった神宮前を閉め、新天地の新浦安へ

――神宮前にはどのくらいいらしたんですか?
15年です。その間に結婚して子どもも産まれましたし、アシスタントだったスタッフもスタイリストになりました。
――なぜ神宮前店を閉じることに?
歳を取った時のことを考えたんですよね。神宮前では週休1日で夜の11時前まで営業しているのはザラでした。そんなことをずっと続けていけるんだろうかと。
子どもたちと過ごす時間も欲しいし、子どもたちに親が働いている姿を見せたいという気持ちもありました。
――成功している店を畳むのには勇気がいりますよね。
アシスタントからずっと育ててきたスタッフが、「店を辞めたい」って言ってきたのがきっかけですね。
ちょうどいい機会だから、神宮前の店を閉じて新しい場所で店をやろうと踏ん切りが付きました。
――それがこちらの新浦安なんですね。
僕の実家もあるし、僕たち家族もこっちに住んでいたのでちょうどよかったんです。
――神宮前に通っていたお客さまは戸惑ったでしょう?
そうでしょうね(笑)。遠くなるので「通えない」という方もいらっしゃったし、遠くても僕がいいとおっしゃってくださる方もいました。長く通ってくださっている方は、親子三代ですよ(笑)。
――すごいです。店舗探しはいかがでしたか?
いろいろな物件を見て回って、こちらの店舗に決めました。駅から近いですし、日当たりもいい。住宅街の中にあるので、そこそこ人通りもあります。本当にいい場所が見つかって良かったです。
――新浦安に移ったのはいつですか?
2020年で、ちょうどコロナの緊急事態宣言があった時期です。
すぐに数字を出したかったので、こっちで働いていたスタイリストと彼のアシスタントの二人を雇って、三人体制でスタートしました。
――順調でしたか?
家族がコロナになったのを僕がもらって店に出られない日があったり、スタッフとギクシャクすることがあったり、順調な滑り出しとはいかなかったですね。
ギクシャクしてストレスが溜まるくらいなら一人でいいと思って、二人には辞めてもらいました。
神宮前と新浦安。店舗戦略の違いとは?

――即戦力になるスタッフがいなくなって、大変だったでしょう?
いちばん困ったのは、事故でケガしたときですね。店が終わった帰り道で、電動キックボードで事故っちゃった(笑)。血だらけで家に帰ったら家族が驚いて、救急車で病院に運ばれました。肋骨が何本も折れた状態で「三週間は入院してください」って言われちゃったんですよ。
――タイミングが悪いですね。
その場で退院させてもらって、ジムのトレーナーにお願いしてテーピングしてもらいました。
――どういうことですか?
翌日も予約が入っていたので、お客さまに迷惑をかけられないじゃないですか。
保険を使えば店を休んでも何とかなったと思います。でもここで休んでしまうと、次はどうなるのかという不安もありました。
――シャンプーとかは?
たまたま「ここで働きたい」って言ってくれた美容学校の生徒がいて、その子にお願いしていました。
その子がこの夏、スタイリストデビューですよ。早いもんです。
――神宮前と新浦安とで、差別化はあるんですか?
店舗の雰囲気もまったく違います。神宮前は大人の女性を対象にした落ち着いた内装でしが、ここは年齢幅が広い。家族連れもいるし子どもも来る。お年寄りも多い。だから店内は居心地のいい明るい雰囲気にしています。
――確かに美容院ぽくない内装ですよね。
価格表もないし(笑)。神宮前にいたときは深夜まで働いていましたが、ここは18時まで。しかも週休2日です。働き方改革のもとでサロンを営業しています。
周りの人たちは「この店はきっとつぶれる」って思っていたんじゃないかな(笑)。
――確かに、価格表がないですね。
実は神宮前の頃より、価格設定を上げているんです。「新浦安で美容院といえばaccortoでしょ」と言われるくらい、価値観と存在感を上げていきたいですね。
いい意味で「ひと昔前の厳しさ」を徹底したい

――小森さんご自身、こちらに店を構えてから変わったことはありますか?
神宮前にいたときは、いつも身構えていた気がします。知り合いが多かったし。後輩に言わせると、近寄りがたい強面の印象があったようです。こっちに越してからは、以前の僕のことを知っている人がいないので気が楽ですね。
――お客様の層は?
僕と同年代から年上の女性が多いですね。ご近所だと、お客様がお客様を連れてきてくださる。中学生も多いですよ。この年代だと美容院で髪を切るのがある意味、大人になるステップみたいな部分があるじゃないですか。同年代の子どもがいるので面白いですね。
――スタッフの教育に関してはいかがですか?
怒るときはめちゃくちゃ怒ります。お客さまがいらっしゃるときでも、その場で叱ります。もちろんお客さまに許可を取りますけど。「こういうところに問題があったので、これからスタッフを叱ります」って。お客さまも叱られている現場に立ち会って、一緒にスタッフを育ててもらいたい、という気持ちもあります。
――スタッフの育て方は厳しい方だと思いますか?
ひと昔前の厳しさを、いい意味で受け継いでいきたいと思っています。
僕がアシスタントの時、先輩から「オレのお客さまなんだから、余計なことをするな」って怒られたことがあるんです。そのときは「良かれと思ってやったのに、何だよ!」って意味が分からなかった。
――どういうことですか?
今なら怒った理由がよく分かります。お客さまは、その先輩スタイリストの技術が気に入っているから来店している。僕がやったのは、お客さまにとっても余計なことだったんです。先輩スタイリストの仕事に、何も知らない僕が手出しをしてはいけなかった。
――そういう意味だったんですね。
だからスタッフにも「僕の言うとおりに動いて、それ以外のことはするな」って伝えています。自分の仕事ができるようになって、一人前になったら自分のお客さまに自分のやりたいことをやればいい。
――サロンを続けるのは、人材の育成も経営も難しくないですか?
自分が技術的にうまい美容師であれば、続けられるものだと思います。常に新しい技術やスタイルを常に学んで取り入れる努力は必要ですけど。
――小森さんは今も?
もちろんです。僕は美容師という仕事にハマってますから。家でもSNSでチェックするのは美容に関するものですね。「面白い!」とか「これは次に来る!」というのがあれば、すぐ自分でも取り入れます。
――どうやって取り入れるんですか?
お客さまにご提案します。「この次、絶対にこれが来ます!」って。お客さまは僕の事を信じてくださる。だから僕もそれに応えたい。そういう関係が築けるから、美容師にハマっているんでしょうね。
小森さんの成功の秘訣
1.「この人のために働きたい!」ほど尊敬できる人を見つける
2.その時々に合わせて働くスタイルを柔軟に変える
3.常に新しいスタイルや技術を学び続ける
撮影/森 浩司
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住所:千葉県浦安市入船4-17-261F
電話:047-712-5911
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